「実はずっと成長中」Twitchとも連携はじめた“アマゾン広告事業”の最新事情…事業責任者を直撃

アマゾンのトップページ

7月から、アマゾンのトップページ最上段そのものを広告枠として提供することも始めた。「日本ストア」とある部分がそのエリアだ。広告媒体としてのアマゾンを取り仕切るアマゾンアドバタイジング事業の状況を、国内事業責任者が語った。

撮影:伊藤有

大手ECとしてのアマゾン、テレビに接続されたFireTV、電子書籍Kindle、アレクサ、Prime Music……いま、アマゾンにはそうした多様な「広告媒体」としての側面もある。

国内のアマゾン広告事業を手掛けるアマゾンアドバタイジングジャパンは7月から、Amazonトップページ上部のスペースを、新たな広告枠として販売しはじめた。

同枠を使用した最初の広告は、NTTドコモのdポイントのキャンペーンだった。同施策では、サービス認知度・理解向上が約2.5倍(広告非接触者比)、獲得コスト(CPA)が目標値の4分の1に削減できるなど成果が得られたという。

こうした「高効率な広告枠」をウリにできる背景には、アマゾンが持つ多様なメディアを通じた消費者インサイトを熟知し、分析できる強みがあることは想像に難くない。

アマゾンの広告事業「アマゾンアドバタイジング」とはどんな事業なのか? 日本事業責任者が初めて、Business Insider Japanの取材に応じた。

9月から動画サービス「Twitch」とも連動開始

アマゾンアドバタイジングジャパン カントリーマネージャーの塚本信二氏

アマゾンアドバタイジングジャパン カントリーマネージャーの塚本信二氏。「STILL DAY ONE」は、毎日をDAY ONEのように挑戦し続けろというアマゾンの有名な企業理念。

撮影:伊藤有

アマゾンの広告事業は2000年代から日本で展開している。

国内では今まで、一般向けにその存在は目立っていない印象があるが、実際のところ「ビジネスはずっと伸び続けている」(アマゾンアドバタイジングジャパン カントリーマネージャーの塚本信二氏)と、着々と成長してきた事業だという。

アマゾンアドバタイジングの広告ソリューションにおける当初の目的は、「商品やブランドを、よりユーザーにとって見つけやすくする」こと。マーケティング用語の「ファネル」でいえば、比較・検討から購入へと、ユーザーとブランドをダイレクトにつなげる広告が中心だった(一般に、認知→興味/関心→比較/検討→購入という4段階のレイヤーがあるとされる)。

しかし、現在は認知から購入までの、いわゆる「フルファネル」の広告へと拡大している。

またその広告チャネルもAmazon.co.jpやアプリはもちろん、テレビに接続されたFire TVから、電子書籍Kindle、さらにはアマゾンの配送ボックスに同梱する添付物までを「アマゾンのメディア」とみなし、事業領域にしている。

9月8日からは、ゲームファンに人気のライブストリーミング「Twitch」(2014年に買収)の広告枠も、アマゾンアドバタイジングに取り込み、ブランド支援を強化している。

twitch

ゲームプレイのライブ配信プラットフォームとして人気のある「Twitch」。アマゾンは2014年に9億7000万ドル(約1025億円)で同サービスを買収している。

出展:Twitch

アマゾンアドバタイジングジャパン カントリーマネージャーの塚本信二氏

撮影:伊藤有

塚本氏が語るアマゾンユーザーのインサイトとして興味深いのは、Amazon.co.jpでの商品検索のうち、特定のブランド名を含んでいない「ビッグワード」での検索(例:“ビール”や“パソコン”など)は、69%に上っていることだ。アマゾンジャパンとマクロミルが2020年に共同で実施した調査によると、ユーザーの74%がAmazon.co.jpで新製品を見つけている、という調査結果も、こうした傾向の裏付けだ。

「多くのお客様が新しい商品やブランドを見つけるためにAmazon.co.jpを利用されています。その情報を参考に、Amazon.co.jpだけでなく、ブランドのウェブサイトや店頭へと行動するお客様も増えています」

また、オン・オフを問わない購買体験を設計するオムニチャンネル化が重視されるなかで、

「アマゾンの中でどのくらい売れたかというROAS(Return On Advertising Spend)だけを見るべきではありません。

お客様がどこで商品を買うかに関わらず、カスタマージャーニーに良い影響を与えるために、アマゾンの持つチャネル全体を広告媒体としてフルファネルを提供する。責任あるポジションになってきていると感じています」

とも言う。

「有益でより良い体験になる広告」とは?

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2019年の「映画ひつじのショーン UFOフィーバー!」のキャンペーンでは、アマゾンで購入し箱で配送される商品の緩衝材に、この「緩ショーン材」が使われた。これも「メディアとしてのアマゾン」の事例の1つ。

出典:Amazon.co.jpの紹介ページよりキャプチャー

アマゾンアドバタイジングが考える広告のあり方として、「お客様にとって有益なもの、より良い体験となることが絶対条件」だと塚本氏は言う。

それを示すユニークな事例の1つに、『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』の公開(2019年)を記念して実施されたキャンペーンがある。同キャンペーンでは、アマゾンの梱包箱に、キャラクターがプリントされた緩衝材ならぬ“緩ショーン材”が同梱され、SNSなどで話題となった。

記載されたQRコードからAmazon.co.jp内の特設サイトにアクセスすると、そこから映画の前売りチケットの購入や、キャラクターをあしらった期間限定のAmazonギフト券が購入できる仕組みだ。

この映画連動型の「緩ショーン材」のマーケティング施策も、アマゾンアドバタイジングの事例の1つだ。Web、緩衝材、ギフト券とAmazonの持つ幅広いチャネルを活用した、ユニークな例と言える。

Fire TV上で展開されるインラインバナー広告では、家の中の最も大きなディスプレイを通してメッセージを届けられる点に、大きな価値があると塚本氏は言う。

「過去数カ月にデジタルシフトが加速し、オンラインで情報を届けることの重要性はさらに高まっていると感じています。

たとえば毎日、缶コーヒーを飲んでいる人がいたとして、在宅勤務などによって出社しない場合は、駅の売店やオフィスの自販機の売り上げは下がるかもしれません。

しかし、だからといってニーズがなくなったわけじゃない、ということです。その人はきっと、別の手段や場所で買っているのです」(塚本氏)

こういう消費行動の変化は、誰しも思い当たるところがあるだろう。

「今、社会ではそういう“ニーズの変化”、“購買する場の変化”がたくさん起こっているはずです。アマゾンのインサイトを活用して、お客様をサポートする提案ができるのが我々の強みであり、広告主のニーズをお客様のトレンド(行動)に組み合わせることで、両者により良い体験をご提供できると考えています」(塚本氏)

在宅勤務の長期化を経て、人々の消費行動は、消費者によるブランドの乗り換えも含めて、大きく変化しているというレポートもある。

アフターコロナ時代は、「ブランド」にとって迷いの時代だ。いま消費者の価値観がどう変わり、何を、どこで「消費」するのか?

多様なインサイトを持つアマゾンにとって、「消費者のトレンドの分析」が必要ないまは、またとない攻めの機会と言える。

(文・太田百合子

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