戦略的な価格と仕様でデビューした「Apple Watch SE」。Apple Watchとして初のSE展開になる。
出典:アップル
アップルは日本時間9月16日午前2時に開催したスペシャルイベントのなかで、AppleWatchについて2つの新モデル「Apple Watch Series 6」と「Apple Watch SE」を発表した。
Apple Watchシリーズとして初めてラインナップに加わった「SE」とはどんな製品なのか?
一言でいえば、iPhone最新モデル(現行機種ならiPhone 11 Pro)に対するiPhone SEという構図とまったく同じ位置付けの製品といえる。
価格は2万9800円(税抜)からで、本日9月16日から予約注文を開始、発売は9月18日から。どんな性能と特徴をもったモデルなのか、見て行こう。
「SE」はSeries 4とSeries 5を「融合」させたモデル
出典:アップル
写真だけを見ていると、正直なところ最新モデルのSeries 6との違いがほとんどわからないという人もいるかもしれない。しかし、比較表などの公式情報を見ていくと、いくつかの重要な要素が見えてくる。
特徴をまとめると以下の様なものになる。
- ディスプレイは常時点灯(Always-On Retina display)ではなく、普通のRetina display。しかし、Series 3より大きく、四隅ギリギリまで画面表示ができる方式。つまりSeries 4相当
- 心臓部のプロセッサー(SiP)は「S5」。つまりSeries 5相当。Series 4より高速になっている。
- 本体のカラバリは「ゴールド」「シルバー」「スペースグレイ」の3色展開。これはSeries 4と同じ
- 安価なGPSモデルのほかに、iPhoneなしで電話やストリーミング音楽が聴けるセルラーモデルを用意。セルラーモデルは3万4800円(税抜)から。
- 従来、Series 5でもSeries 4でも、セルラーモデルは常に5万円を超えており、SEは非常に戦略的な価格設定
- Series 5から搭載されている(日本利用不可)「ECG(心電図)」機能は、ハードウェア的に非搭載。
Series 6、SE、Series 3の公式の比較表。
出典:アップル
こうした性能と価格面の特徴があり、さらに装着できるバンドは最新型の繋ぎ目のないシリコンバンド「ソロループ」や紐を編んだようなデザインの「ブレインデッドソロループ」も選べる。
OSは最新のwatchOS7だから、外観のデザインだけでSeries 6と瞬時に見分けられる人は少ないかもしれない。
使ってみて一番の差があるのは、「画面が常時点灯かどうか」だろう。
Apple Watch SEにもナイキスポーツバンド仕様が用意。ウォッチフェイスは、おなじみのNIKE専用のものになる。
出典:アップル
常時点灯の有無の違いは、時計としてみると「時刻を確認するときに、画面をつけるために手を大袈裟に動かす必要がある」のをよしとするかどうか、だ。
watchOS7の文字盤デザイン。GMT機能やタイポグラフィー文字盤などが増えているが、これもSeries6と共通。
出典:アップル
最新のwatchOS7から搭載されるApple Watchの家族連携機能「Family Setup(ファミリー共有)」にも対応。
出典:アップル
国内価格もアメリカ価格と比べて為替レートにほぼ沿ったものになっており、かなり戦略的な価格設定だと言える。
長く使うという点でも、Series 3よりも古びた印象は受けにくいモデルだろう。
その意味でも、やはり最新型iPhoneに対するスタンダードの「iPhone SE」という位置付けと同じコンセプトを持つ製品、それがApple Watch SEということになる。
(文・伊藤有)