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在宅勤務でOK、でも給料はカット…大手テック企業は居住地に応じた給与体系へ

リモートで給与カット

Alexi Rosenfeld/Getty Images

  • ブルームバーグによると、ソフトウェア会社VMwareは、シリコンバレーを離れる社員の給与カットに踏み切るという。
  • 従業員は恒久的にリモートで勤務できる一方で、例えばコロラド州デンバーに引っ越す場合には18%の給与カットに直面する可能性がある、とブルームバーグは報じている。
  • 社員の給与を見直す企業はVMwareだけではない。ニューヨーク・タイムズによれば、フェイスブックは2021年1月から、居住場所に応じて給与を調整するという。
  • ツイッターは何年も前から、社員の分散化を進めるという大きな計画の一環として、居住地域に応じた給与体系を整えている。

テックワーカーが、より広いスペースと安い生活費を求めてシリコンバレーを離れていく一方で、その雇い主である企業のほうも、この変化に対応しようとしている。従業員に払う給与を引き下げているのだ。

過去6カ月間で、サンフランシスコなどの大都市に住むテック企業従業員の多くは、それまでの住居に見切りをつけ、それほど人口が密集していない、生活費が安くて広々としたエリアへ移り住んでいる。彼らの中には、オフィスが再開したらベイエリアへ戻るつもりの人もいるが、永久に在宅勤務する前提で、恒久的に生活拠点を変えようとしている人もいる。

それに対応して、大手テック系企業は、ベイエリアを恒久的に離れる従業員の給与を見直し始めている。ブルームバーグ(Bloomberg)の最新の記事によれば、ソフトウェア会社VMwareは、生活費の安い都市に引っ越した社員の給与を引き下げることを決定したという。社員は恒久的に任意の場所で働けるが、ベイエリアを離れる場合には給料が低くなる可能性がある。たとえば、コロラド州デンバーへ引っ越した社員は給与を18%カットされる、とブルームバーグは伝えている。カリフォルニア州内で転居する場合でも、給与が引き下げられることがある。ブルームバーグによれば、サンディエゴやロサンゼルスに引っ越した社員の給料は8%カットされるという。

シリコンバレーを離れる社員の給与を見直そうとしている企業は、VMwareだけではない。フェイスブック(Facebook)は2020年5月下旬、恒久的な在宅勤務を認める方針を発表したが、2021年1月からは、従業員の選んだ居住地に応じて給与を調整することも明らかにしたとニューヨーク・タイムズ(The New York Times)が報じている

ツイッター(Twitter)では、地域に応じた給与調整は、何年も前から課題になっていた。2020年5月、ツイッターのジャック・ドーシーCEOが大手テック系企業のCEOとして初めて、永久に在宅勤務をする選択肢を従業員に与え、新型コロナウイルスの脅威が和らいでもサンフランシスコの本社へ戻ることは求めないと発表した。この動きは新型コロナウイルスの流行に対応したものだったが、社員の配置を分散するという、同社のより大きな計画の一環でもあった。

ドーシーは8月に配信されたポッドキャスト「The Boardroom: Out of Office(重役会議室:オフィスの外へ)」の中で、ツイッターは社員の分散化に向けて、パンデミックの「2年前とは言わないまでも、1年前から」動いていたと語った。そのため、同社では給与体系がすでに整っている。

ツイッターの広報担当者はBusiness Insiderに対して、「当社は以前から、地域に応じた給与体系に関して競争力の高いアプローチを採ってきた。この困難な時期に、さまざまな形で社員をサポートできることを誇りに思っている」と話した。

ツイッターの説明によれば、地域に応じた給与制度は、ベイエリアを離れて、生活費のより安い都市へ移る社員に適用されるという。同社が新型コロナウイルス関連で設けたその他の福利厚生制度(全社的な休業日、1000ドルの在宅勤務手当、児童扶養のための各種支援、健康維持プログラムなど)は、居住地にかかわらず、すべての従業員に適用される。

テック系労働者は必ずしも、給与のカットを悪いこととは捉えないかもしれない。実際、全体の生活コストを下げてワークライフバランスを向上させるための小さな代償と考える人もいるようだ。会社員向け匿名チャットアプリのBlindが、ベイエリア、ニューヨーク市、ワシントン州シアトルのユーザー2800人を対象に行った最新調査では、44%の回答者が、生活費の安い場所へ引っ越せるのなら給与がカットされてもかまわないと考えていることがわかった。

VMwareが生活費の安い都市に住む従業員の給与をカットするという報道を知ったあるVMware社員は、従業員たちは給与カットを「喜んで」受け入れるだろうと述べた。また、テック系労働者の多くが、基本給と成果給をもらっていることを考えればなおさらそうだろうと付け加えた。

「減額されるのは基本給であり、基本給が私の報酬に占める割合は半分ほどだ」とその社員はBlindに書いている。

「したがって、報酬総額が6.5%減るとしても、住宅費が収入の20%くらいの場所へ引っ越せるなら、税金だけでも5、6%の差を埋め合わせられるのではないか。自分としては、ぜひそうさせてほしい」

サンフランシスコは、住宅を購入したい人にとってはアメリカで最も高くつく都市だ。また、この地域で平均的な価格の住宅を購入する余裕がある世帯は、わずか18%にすぎない。サンフランシスコの収入の中央値は11万2376ドルだが、この街で住宅を買いたいのなら、少なくとも17万2153ドルの給料を稼いでいなければ、住宅ローンを払うことはできないだろう。

生活費がおそろしく高くなっているため、(比較的給料の高い)テックワーカーでさえ、それを賄うのに苦労している。Blindが最近実施した別の調査では、テック系労働者の70%が、ベイエリアで家を買う余裕はないと回答した。

Business Insiderが5月に専門家に取材したところによれば、ベイエリアの多くの労働者がより恒久的に在宅ワークをするようになるのに伴い、「大都市からの逃避行」が起きる可能性があるという。6月の時点で、サンフランシスコの家賃はすでに前年比で9.2%下がっていた。多くのテック系オフィスの閉鎖が続けば(来夏まで閉鎖する予定の企業もある)、この先もベイエリアからの脱出が続くかもしれない。

[原文:Tech companies are starting to let their employees work from anywhere — as long as they take a lower salary

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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