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トランプ大統領側近の辞任に超リベラルな15歳の娘の影響。大統領選をも左右するZ世代の力

テイラー・スウィフト

REUTERS/Andrew Kelly

この4年で、「トランプ大統領に対する意見の相違のせいで夫婦喧嘩が増えた」「友達を失った」「親とは政治の話をしないようにしている」などという話は、珍しくなくなった。「隠れトランプ支持者」には、家庭の円満のため、トランプに投票したことを妻や娘に秘密にしている人たちもいる。

トランプ当選以来、アメリカのメディアには感謝祭の時期になると、「ディナーで、政治的に意見の合わない親戚と同席しなくてはいけない人たちへのアドバイス」「トランプ支持者の親戚を黙らせる方法」という記事が頻出する。感謝祭は日本のお正月のようなもので、滅多に会わない親戚とも顔を合わせるし、1日中みんなでテーブルを囲む。衝突が起きるとせっかくの集まりが台無しになる。笑い事ではなく、この問題で悩んでいる人たちは少なくないのだ。

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家族の中でも政治について意見が異なることは、いつの時代でも起きることだ。でも、トランプ大統領ほど「Divisive」(分断を促す)な政治家、人々を激しく感情的にさせる大統領は、少なくともアメリカでは近年例がない。

トランプ大統領側近の突然の辞任

コンウェイ夫妻

大統領顧問を長く務めたケリーアン・コンウェイ氏(左)と、その夫で弁護士のジョージ・コンウェイ氏(右)。夫妻は、トランプ大統領支持という点で対立している。

REUTERS/Joshua Roberts

最近、それをまざまざと見せつけた家族が話題になった。コンウェイ一家だ。

2016年の大統領選挙のキャンペーンを仕切り、大統領顧問を長く務めたケリーアン・コンウェイ氏と、その夫で弁護士のジョージ・コンウェイ氏。ケリーアン氏はキャンペーン中から最もメディアに露出したトランプ側近の1人。強い忠誠心でトランプ氏を擁護し、議論の相手を容赦なく攻撃するため、トランプ氏からは絶賛され、リベラルからは嘲笑されてきた。

夫ジョージ氏は共和党系の弁護士で一度は政権に入る話もあったが、この3年余りで「アンチ・トランプ」の象徴的存在のようになっている。彼のTwitter(@gtconway3d)のアカウントは、今やトランプ批判のためにあると言っても過言ではなく、フォロワーは約150万人に上る。

トランプ氏も「ジョージ・コンウェイは、最低の負け犬で最悪の夫」「妻の成功に嫉妬している」とやり返し、応酬が続いている

ジョージ・コンウェイ氏は、共和党内から生まれた反トランプのスーパーPAC「リンカーン・プロジェクト」の発起人の1人でもある。プロジェクトのミッションは「トランプ大統領と、トランプ的なものを、投票所で敗北させること」だ。

コンウェイ夫妻の対立を多くの人々は面白がりつつも、「この家の中はどうなっているのだろうか?」と疑問に思っていたところ、8月23日、ケリーアン・コンウェイが突然、大統領顧問を辞任すると発表した。よりによって共和党全国党大会(RNC)の前日にだ。

同日ジョージ・コンウェイもTwitterに、

「私はリンカーン・プロジェクトから手を引くことになりました。家族との問題にもっと時間を注ぐためです。Twitterもしばらく休みます。言うまでもないことですが、私は引き続き、リンカーン・プロジェクトとそのミッションを支持し続けます。情熱を持って」

とポストした。

15歳の長女から突きつけられた三くだり半

このサプライズ・ニュースによって、もう1人のコンウェイに注目が集まることになった。クラウディア・コンウェイだ。

コンウェイ家(4人の子どもがいる)の長女クラウディアは15歳。芸能人でもなんでもないが、Twitter(@claudiamconwayy)では約50万人、動画サイトTikTokでは85万人以上のフォロワーを持つ(@datjerseygirl)有名人だ。

彼女は政治的に保守的な両親のもとで育ったにもかかわらず、超がつくリベラルだ。以前からSNSで自分の家庭環境のひどさや、トランプの危険性についておおっぴらに発信してきた。親の思想を躊躇なく批判し、辛辣でユーモアのセンスある動画を活発に投稿している。それが同世代のユーザーたちから支持され、今や屈指のインフルエンサーになっている。

ケリーアン氏は辞任会見で、

「夫と私は多くの点で意見が異なる。でも、最も重要なことでは一致している。子どもたちだ」

と説明。彼女の決断は、前日の22日にクラウディアが発信したSNSが引き金になっているのではと推測されている。クラウディアがTwitterとTikTokで、事実上「親との縁を切る」と宣言したからだ。

「母がRNCでマジで演説するって知って絶望してる。どう表現していいかわからないほどに」

「本格的にこの家からの脱出に向けて動きだすつもり。あいにく、どうやったところで騒ぎになるだろうけど。私の人生にようこそ」

「母の仕事のせいで私の人生は台無しになった。子どもたちが何年にもわたって苦しんでいるのを見ているくせに、彼女は自分の進んでいる道を変えようとはしない。それを思うと胸が潰れそうになる。自分勝手すぎる。全てはお金と名声のためなんだから」

過去の発言にはこんなものもある。

「私はものすごく保守的な家庭で育った。だから、長い間、そういう思想だけが私の知っているものだった。でも、私は自分で自分を教育し、自分の頭で考えることにしようって決めたの」


「無知は、教育と知識が足りないせいで起きるもの。知識はパワーだと信じてる」

「私の母の『擁護』のためと称して私を軽んじてきた全ての大人に言いたい。あなたたちには関係ないし、私は私自身の意思を持った1人の人間なの。私はあなたと同じだけの尊厳と知性を持っている。私は、私の世代を良くするために自分のプラットフォームを使って活動しているんです」

なお彼女は、「両親とは政治的な意見が合わないだけで、彼らを軽蔑している訳でも嫌いな訳でもない」ともハッキリ言っている。むしろ「私の発言のせいでうちの両親を嫌いにならないで」とも。父親のコンウェイは、娘に「自分の頭で考えるのは良いことだ」と言って、彼女の活動をサポートしているようだ(少なくともクラウディアはそう言っている)。

親世代とかけ離れた感覚持つZ世代

BLM運動

ニューヨーク市でのBLM運動(9月3日撮影)。Z世代の若者たちの多くはBLMをきっかけに、親世代のレイシズムに対する感覚が、自分たちとはかけ離れていることに気がついてしまった。

Getty Imags/Spencer Platt

彼女のような発言がいわゆるZ世代(1997年以降生まれ。現在23歳以下)に共感され、注目を集めるようになった背景にはBlack Lives Matter がある。

Z世代の(特に白人の)若者たちの多くはBLMをきっかけに、親世代のレイシズムに対する感覚が、自分たちとはかけ離れたものであることに気がついてしまった。彼らの多くは自分自身でたどり着いたリベラルな考え方を信じ、同世代の似たような価値観の若者たちとのコミュニティに精神的な拠り所を求めるようになっている。その連帯の手段はSNSだ。

世代間の価値観・世界観のギャップは新しい話ではなく、10代の若者たちが「大人は分かってくれない」「うちの親は頭が古くてイケてない」と感じることはいつの時代も同じだ。ただ、Z世代とその親世代(今の40−50代)の育った環境には、いくつかの面で劇的な違いがあるように思う。

そもそも、Z世代とはどんな特徴を持つ世代なのか。

人種的に多様でデジタル・ネイティブ

ソーシャルメディア

生まれた瞬間からスマートフォンやソーシャルメディアが当たり前に存在するZ世代。SNSを武器に瞬時に仲間と連帯する。

Shutterstock/Tada Images

2020年3月にピューリサーチセンターが発表した「Z世代について今のところ我々が知っていること」という調査がよくまとまっているので、要点をまとめてみよう。

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