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ここまで進んでいた!世界のサーキュラーグッズ20選【連載・サーキュラーエコノミー1】

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Shutterstock

猛暑、ゲリラ豪雨、台風による甚大な被害、そして冬の雪不足。日本に暮らしていても気候変動の影響を実感することが増えている。世界に目を向けると、ここ数年、国家レベルで「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」への取り組みが始まっている。サーキュラーエコノミーとは何か、なぜ今企業でも関心が高まっているのか。さまざまな角度からサーキュラーエコノミーについて取り上げていく。

第1回は、身近なモノを通して知るサーキュラーエコノミー。「使って捨てる」のではなく「使って使い続ける」発想で作られたグッズは、環境に良いのはもちろん、デザイン性に優れているものも多い。ファッション雑貨、インテリア、絵画・写真など生活と文化に関わるさまざまな商品を販売するH.P.FRANCEのエシカル事業部長の坂口真生さんと、オーストラリアを拠点に日本初のゼロ・ウェイストフレンドリーWebショップ「KoKeBee」を運営するAIY Australiaの遠藤明日香さんに自身も愛用するグッズを聞いた。

競争力を増してきた日本発のサーキュラーアイテム

「年に2回開催しているrooms(ルームス)という合同展示会を20年ほどやっています。2012年にエシカルエリアを立ち上げたときは3ブランドでしたが、現在は120ブランド以上。全体の4分の1を占めるほどになりました」

早くからエシカルな製品に着目していたH.P.FRANCEの坂口さんはそう話す。母数が増えることで、メーカーもデザイン力をつけてきているそうだ。エシカルグッズに精通する坂口さんが薦めるブランドとは。

再生ポリエステルでつくる「CLOUDY」Tシャツ

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ペットボトルと洋服のリサイクル素材を利用した「SHARE Tシャツ2700」。2700は、綿のTシャツを1枚作るのに2700リットルもの水を使用する、という意味で付けられた。

「もともとアフリカのファブリックを使った洋服を展開しているブランドが、極力水を使わず、ペットボトルと洋服のリサイクルを使ったTシャツを発売しました。アフリカの教育問題を解決するという明確な目標があって、ガーナ・ケニアで3つの小学校を建設したり、現地の工場で女性や障がい者を雇用したり、ビジネスと支援を直結させている、すごくエネルギーのあるブランドです」

廃棄される洋服のタグを付け替えて再販「Rename」

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続けて挙げるのが「取り組み自体がサーキュラーになっている」というブランドだ。 数年前の調査データで、世界のアパレル業界で生産量の約6割が廃棄されているとも言われている。廃棄されてしまう洋服のタグを全部付け替え、新しいブランドとして販売するのが「Rename」だ。

「これまでも古着店やリサイクルショップなどはあったものの、廃棄品を再販するというビジネスがなかったのは、企業側がそういうやり方を認めなかったから。自分たちがどれだけ廃棄しているのか消費者に知られることは、ブランディングの点でもマイナスです。そこにチャレンジしてくるRenameのような事業が生まれたことで、アパレル側も歩み寄った。消費者の意識変容も後押ししていると思います」

休耕田からお米、エタノールを製造する「ファーメンステーション」

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岩手県奥州市の休耕田で栽培されたお米からエタノールを製造。発酵粕は鶏や牛のエサとして活用され、有機農法による肉としてブランド化もされている。

「一つの活動からいろいろなメリットが生まれる、僕たちはこれをポジティブ連鎖と呼んでいますが、一つのプロダクトを見るだけでは分からない背景があるところに、面白さがあります。この会社の活動を見学できる環境ツーリズムの仕組みが出来上がっているところも興味深いですね」

コスメで循環する森を。「フプの森」

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環境に配慮したコスメは多いが、「フプの森(FUPUNOMORI)」がユニークなのは、北海道下川町の森を守ることをコンセプトとしている点だ。

「このブランドを通して、この場所を知ってほしい、森のことを考えてほしいといったメッセージが根底にあるところが、他のコスメブランドと一線を画すところです。プロダクトデザインもしっかりしているので、家に置いておきたいという気持ちになります」

ミレニアルの感性で生まれた着物のリメイク服「MUSKAAN」

次は、製品をそのままの形で別の製品に蘇らせる「アップサイクル」のブランド3つをご紹介。

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「MUSKAAN」はタンスに眠るヴィンテージ着物をリメイクしたブランド。「新鋭ブランドですが、とにかくパッと伝わるセンスのよさがあります。感度が高くインパクトがある。roomsの出展ブランドの一つで、バイヤーさんの反応もすごくいいですね」

インドネシアの船の廃材を利用した「gleam」の家具

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コンセプトは「旅する家具」。インドネシアの船の廃材を利用した家具を提案している。

「デザインの素晴らしさは言うまでもないのですが、ユニークなのは東京の次に、製造拠点であるインドネシアに出店をしたこと。現地の人たちの意見を聞きながら運営しています。製造と消費の拠点が一つになるという動きも面白いですね。2008年に創業してもう10年以上続いているのも素晴らしいと思います」

コーヒーの麻袋をアップサイクルした「KISSACO」バッグ

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廃棄されたコーヒーの麻袋をおしゃれなバッグにしているのが「KISSACO」だ。

「こういった生地を使ったバッグはたくさんありますが、注目すべきは完成度の高さ。バッグデザイナーとして研鑽を積んできた方が作っているので、作りがしっかりしているし、実物を見たらつい買ってしまうぐらいセンスがいい。生産者に戻す仕組みのプロジェクトをしている点にも注目です」

チリ・パタゴニアのアイウエア「KARUN」

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海外には意外なアイテムもいろいろ見つかる。その一つが、サングラスやメガネといったアイウェア。サーキュラ―エコノミーの本質である「ゴミを再生し資材として使う」という視点で作られている。「KARUN」は、海洋ゴミを使用したアイウエアを展開しているブランド。「アイウエアというのが見た目も含めて意外性がありますよね」

壊れた部分だけ修理が可能。オランダ発「フェアフォン」

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フェアフォンは2013年にオランダで生まれた、世界初の“エシカルな”スマホ。紛争の資金源とならない原料を使用し、従業員の労働環境や健康、安全性などに配慮した工場で生産をしている。それだけではなく、利用者がより長く携帯電話を使えるように工夫がされているという。

「フェアフォンの特徴は、自分で簡単にスマホが分解できること。壊れた部品だけ取り出して、メーカーに送れば新しい部品が届く。買い換えなくても長く使うことができます。それだけでなく、原料にフェアトレード認証のゴールドを使用したり、生産工場では従業員の労働環境に配慮したり、すべてがザ・サーキュラー。日本では販売されていませんが、SIMフリーにすれば日本でも使えます」

海洋廃棄プラスチックから生まれた「GOT BAG.」バッグ

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「GOTBAG」は、海洋廃棄プラスチックをリサイクル素材として作ったバッグ。「日本の老舗企業である、三栄コーポレーションが推進するサステナブルなプロジェクト『Our EARTH Project』で扱う商品の一つ。デザインも良く、注目しています」

4年も使える?「みつろうエコラップ」

「オーストラリアは日本と比べるとエコ先進国。ここで生活していると、消費者一人ひとりの意識が高く、その目で日本を見るとプラスチックの量が気になってしまう。日本の皆さんにもプラスチックフリーを提唱したいというのが原点にあります」 というのは、身近なものをサーキュラーなものに切り替える提案をしているAIY Australiaの3人。

最初に挙げたのは、プラスチックの代わりにみつろう(ミツバチの巣を精製)を使ったエコラップ、その名も「みつろうエコラップ」だ。

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オーガニックの布とみつろうでできているので、洗って何度も繰り返し使えて、最終的には土に還すことができる。

「市販のエコラップの寿命は1年と言われますが、この商品なら新たにろうを足してアイロンをかければ長持ちします。私たちは4年ぐらい使っていますが、まだまだ使えます。あまりに古くなったものは、バーベキューの火種としても使えて、ゴミが出ません」

パッケージのゴミがゼロになる「プロデュースバッグ」

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草木染めで色が付けてあるオーガニックコットンの小袋。日本ではまだ馴染みがないが、エコバッグの次に来ると言われている。プロデュースは名詞で「農産物」、つまりプロデュースバッグとは「農産物を入れる袋」という意味だ。

「量り売りの店やマーケットに行ったときに、野菜やフルーツ、ナッツなどを入れてそのまま計算してもらい、購入。帰宅したら袋ごと冷蔵庫に入れて保管します。パッケージのゴミが出ないのが一番のメリット」

「LFCコンポスト」でマンションでも生ゴミを分解できる

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「ゴミが劇的に減る」と3人が口を揃えて推奨するのがこのアイテムだ。1日300gの生ごみを入れてかき混ぜると、2~3週間で堆肥が完成する。 「リサイクルペットボトルを原料にしたフエルト生地でできていて、臭いが出にくく、ファスナーを閉めれば虫も入ってきにくい。コンパクトサイズなので、ベランダに置けます。おかげで4人家族の我が家のゴミは1週間で両手に収まる程度なんです 」

プラスチックスポンジの代わりに「オーガニック へちまタワシ」

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へちまタワシは、日本では体を洗うスポンジとして昔から愛用されているが、それ以外にも用途はたくさんあるという。

「『オーガニック へちまタワシ』のおすすめの使い方は、食器を洗うこと。プラスチックスポンジのように油が吸着しないので、お湯とこれだけで食器がピカピカになります。最初は硬くても、使ううちに馴染んで柔らかくなります。古くなれば掃除用にしています」

洗剤なしで洗濯ができる「ソープナッツ」

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「ソープナッツ」は、洗剤ではなく、洗剤代わりに使える木の実。 「天然のサポニンが含まれているので、これを5~6個コットン袋に入れて、洗濯機に入れるだけ。使ったら洗濯物と一緒に干す。5回ぐらいは使えます。食洗器に入れて使えば、グラスもピカピカになります」

ジップロック代わりになる「BioBag」

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プラスチックの代わりにでんぷんで作られている食品保存用のバッグ、「BioBag(バイオバッグ)」。「使い切ったらコンポスト(生ゴミから堆肥を作る容器)に入れて処理できます。生ごみ用やペットの排せつ物用など、シリーズでいろいろあります」

万能の洗剤「バイオピュア プロバイオティックス家庭用クリーナー濃縮液」

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写真左下のボトルが、「バイオピュア プロバイオティックス家庭用クリーナー濃縮液」。善玉菌が高濃度に濃縮されている。「原液を水で薄めてスプレーボトルに入れて使っています。浴室の汚れを善玉菌が食べてきれいにしてくれる。化学原料を使わないので安全でもあります。これまでの除菌、殺菌とは全く違う新しい方向性のクリーニング剤です」

アップサイクル素材でつくる「フェアティー」

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2013年にオーストラリアで始まった、オーガニックな原料とフェアトレードにこだわったブランドが「フェアティー」。 「洋服はすべてアップサイクルしたもの。すべて無地でシンプルなデザインながらもおしゃれで色展開も多い。素材感もいいし生産方法も開示しているから、そういう点でも使っていて気持ちいいですね」

スウェーデン発シルエットが美しい「Nudie Jeans」

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スウェーデンで2001年に生まれたブランド、Nudie Jeans(ヌーディジーンズ)。原料生産からプロダクトが廃棄されるまで、いかに環境に配慮できるかに徹底的に取り組んでいる。例えば、原料にはオーガニックコットンを用い、製造工程でも極力薬品を用いず、再生可能エネルギーを用いた工場で生産する。一度購入したジーンズは何度でも無料で修理できる仕組みも作っている。

「環境にいいだけでなくシルエットもきれいと、若い人たちからの支持が高いブランドです」


エシカルな商品に興味はある人は6割に上るが、購入経験がある人は3割に過ぎないという調査結果もある(2017年、消費者庁「『倫理的消費』調査研究会」)。「興味がない」人も含め、購入率を上げるにはどうしたら良いのか。

H.P.FRANCEでエシカル事業部長を務める坂口さんは言う。

「環境を破壊する、フェアではない労働が背景にあることが明確に分かっているのにその商品を選ぶことは、そこに加担していることと同じ。そのような意識を持たなくてはいけないと思っています。自分たちの世代は良くても、次の世代に負債を残すことになるというマインドを持つことが必要ですね」

(文・池田純子、写真・各ブランド提供、連載ロゴデザイン・星野美緒、編集・高阪のぞみ)

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