2019年10月に台風19号が関東を直撃した直後に撮影された多摩川のようす。(撮影:2019年10月13日)
REUTERS/Kim Kyung-Hoon
「いつも大丈夫だから今回も大丈夫」
毎年のようにやってくる大雨や台風などの災害に、こう感じている人も多いのではないだろうか。
夏が終わり、太平洋沖では次々と台風が誕生する季節となった。
2019年には9月から10月にかけて巨大な台風が関東を連続して直撃。特に10月にやってきた台風19号「令和元年東日本台風」は、千葉県を中心とした関東全域に大規模な被害を与えた。
そもそも島国である日本では、沿岸部や川沿いに街が広がっていることが多い。標高が低く、水害のリスクの高い地域というのは、実はそれほど特殊な場所ではない、というのが実情だ。
自宅や職場の標高は衛星データでわかる
実際に、自分たちがどんな場所に住んでいるのか。
国土地理院が公開している主要都市のデジタル標高地形図を眺めてみよう。標高の低い地域に住んでいたり、自分の住んでいる地域に不安を感じたりした人は、あらためて自治体のハザードマップや避難情報などを確認して欲しい。
【注意】以下に出てくる全ての地形図で、色と標高が一致しているわけではありません。それぞれの地形図の説明に、標高の凡例の一部を記載しています。
出典:国土地理院デジタル標高地形図
川沿いの「青」の地域が多い江戸川区は、巨大台風や大雨による浸水被害が想定される際には「区外」への避難を推奨している。
江戸川区のハザードマップによると、大雨や台風がなくても江戸川区の大半の領域は周囲の河川の水位よりも低いという。
また、江戸川や隅田川が氾濫すると、江戸川区だけではなく、江東区、墨田区、葛飾区、足立区も同様に浸水被害が想定されている。
海沿いから離れた都心部は標高がある程度高いが、部分的に谷にような地形がみられる。渋谷駅は、名前の通り峡谷にある。
東京西部は平均的に標高が高い。ただし、多摩川や神田川、旧玉川上水など、川や水路に近い地域は周囲に比べて標高が低い。
横浜市は沿岸部を中心に総じて標高が低い。また、内陸部にも峡谷のようになっている地域がみられる。
川崎は沿岸部に加えて、多摩川、鶴見川沿いに標高が低い地域が続いている。
千葉では、沿岸の埋立地が総じて標高が低い。また、千葉駅の近くでは、都川の流域を中心に標高が低い地域が少し内陸側にまで広がっている。
関西では、大阪湾にいくつもの河川が流れ込んでいる影響か、大阪市の標高が総じて低い。また、淀川の上流にあたる内陸の京都でも標高は比較的低いままだ。
大阪をさらに細かく見てみると、大阪城は比較的標高の高い位置に建設されていることが分かる。また、大阪市鶴見区にある花博記念公園鶴見緑地付近も、飛び地のようになっている。
神戸の東側では、六甲山に近づくにつれて一気に標高は高くなっている。埋立地も多いが、武庫川の河口付近の少し内陸側が最も標高が低い。
神戸の西側から明石市。明石川の流域に、標高の低い地域が広がっている。
(文・三ツ村崇志)