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ペンギンの祖先は「失われた大陸」にいた…新発見の化石が示唆

300万年前のニュージーランドに生息していたペンギン「ユーディプテス・アタトゥー」(Eudyptes atatu)の想像図。

300万年前のニュージーランドに生息していたペンギン「ユーディプテス・アタトゥー」(Eudyptes atatu)の想像図。

Simone Giovanardi/Massey University

  • ニュージーランドの研究チームが、化石から新たなペンギンの絶滅種を発見した。
  • 数百万年前のニュージーランドに、マカロニペンギン属のペンギンが生息していたことを示す発見だ。
  • 分析結果から、現代のペンギンの共通の祖先となった古代の鳥類は、現在では海面下に沈む大陸ジーランディアに生息していたと考えられている。

失われた8番目の大陸、ジーランディア(Zealandia)は、今から5000万年から3500万年前に海面下に沈んだ。現在、わずかに海の上へ顔を出している部分がニュージーランドだ。

大陸が海面下に沈む前、約6000万年前ごろには、約500万平方キロメートルの面積があったとされるこのジーランディア大陸を古代のペンギンたちが歩き回っていたようだ。今回の新たな発見から、現生ペンギンの祖先は、ジーランディアに生息していた古代の鳥類である可能性が高いと考えられている。

新たに絶滅したペンギンであると特定された化石は、古代と現代のペンギンの間のミッシングリンクを埋めるものだ。

研究チームは8月、ニュージーランドの北島で、頭蓋骨や翼の骨からなる保存状態のよい300万年前の化石を発見したと発表した。彼らは、この化石がマカロニペンギン属に分類される未知の種のものであると特定し、「ユーディプテス・アタトゥー」(Eudyptes atatu)と命名した。

マッセー大学の動物学者で、この研究論文の筆頭著者であるダニエル・トーマス(Daniel Thomas)氏はBusiness Insiderの取材に対し、今回の発見は「ニュージーランドが数百万年前から海鳥の生物多様性のホットスポットであった可能性を示す重要な手がかり」だと述べている。

数百万年前というと、これまで知られていたよりはるかに古い時代だ。従来の研究では、ニュージーランドにマカロニペンギン属が存在していた証拠は約7000年前までしか確認されていなかったとトーマス氏は話す。新たに年表が書き替わったことで、この地域はペンギンの起源の地の最有力候補と考えられるようになった。

「我々は、ニュージーランドに、マカロニペンギン属の祖先と、すべてのペンギンの祖先が生息していた可能性が高いという仮説を提案した」と、トーマス氏は述べている。

ニュージーランドは海鳥の世界の中心だった

化石が示す、ユーディプテス・アタトゥーの主な特徴(画像左上)。現生のハシブトペンギン(画像右上)に比べてくちばしが細い。

化石が示す、ユーディプテス・アタトゥーの主な特徴。現生のハシブトペンギン(画像右上)に比べてくちばしが細い(画像左上)。

Jean-Claude Stahl, R. Paul Scofield/Museum of New Zealand Te Papa Tongarewa, Canterbury Museum

ユーディプテス・アタトゥー(Eudyptes atatu)の「atatu」は、先住民族であるマオリ族の言葉で夜明けを意味する「ata tū」に由来する。Eudyptesが意味するマカロニペンギン属は、目の上に黄色い冠羽をもつ種類だ。分類方法によって数は変わるが、現在の世界には4種から7種のマカロニペンギン属が存在する。

ニュージーランドで1年の一時期を過ごすペンギンは13種に上り、この数は世界で最も多い。さらに、ニュージーランドの自然保護局によると、この島国は「海鳥の世界的な首都」と考えられている。海鳥の在来種80種のうち3分の1以上が、ほかではみられないニュージーランドの固有種だという。

絶滅したユーディプテス・アタトゥーの化石は、ニュージーランド北島の西にあるタラナキ地方の沿岸部に近い岩の中から見つかった。地元の収集家が最初に発見し、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワの研究者に報告した。

分析の結果、化石は約300万年前のものであるとわかった。現生種のマカロニペンギン属の骨と比較したところ、古代のペンギンは現生のマカロニペンギン属と非常によく似ていたが、くちばしが現生種に比べて細かった。これは、古代のペンギンが、現生種が主なエサとする小魚やオキアミ、甲殻類とは異なるものを食べていたことを示唆している。

キタイワトビペンギンの群れ。ニュージーランドに生息するマカロニペンギン属の1種。

キタイワトビペンギンの群れ。ニュージーランドに生息するマカロニペンギン属の1種。

Irina Kulikova/Shutterstock

したがってユーディプテス・アタトゥーは、マカロニペンギン属の祖先か、あるいは共通の祖先をもつ姉妹種である可能性が考えられる。

研究チームは、調査で得た化石やその他の情報を使って、生物種が発生したとみられる起点と移動パターンをマッピングするソフトウェアプログラムで分析した。シミュレーションの結果、ペンギンのすべての現生種は、ジーランディアで生息していた共通の祖先から進化した可能性が高いという結論が導き出された。

古代のペンギンは「失われた大陸」に生息していた

ユーディプテス・アタトゥーが生きていたのは、ジーランディアの大半が海に沈んだ数千万年後のニュージーランドだ。しかし研究チームは、その祖先が出現したのは約6000万年前だったと考えている。その場合、かつてのジーランディアがまだほとんど陸地だった時代に、ペンギンたちがこの大陸を歩き回っていた可能性が高い。


ジーランディアの範囲(灰色の実線)。

ジーランディアの範囲(灰色の実線)。

World Data Center for Geophysics & Marine Geology / National Geophysical Data Center, NOAA

これら古代ペンギンは非常に大型だったかもしれない。2017年の研究によると、先史時代の「巨大ペンギン」は、体高が約173cm、体重が約100kgに達していたという。

オーストラリアの半分ほどの面積があったジーランディアは、現在その大部分が、海面から約1000メートル下に沈んでいる。そこはかつて、巨大ペンギンのほかに恐竜が生息し、豊かな熱帯雨林が生い茂る大陸だった可能性がある。


[原文:Fossils found in New Zealand suggest the ancestor of all penguins lived on Earth's lost 8th continent, Zealandia

(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)

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