Knotの遠藤弘満社長とファッションジャーナリストの軍地彩弓さん。
撮影:今村拓馬
ファッションエディターの軍地彩弓さんが小売りや消費の次のトレンドを探るための対談連載1回目は、国産腕時計メーカーのKnot(ノット)。前編ではKnotがなぜメンバーシップ制という形をとったのか、新しい顧客との関係を中心に遠藤弘満社長に聞いた。
後編では、国産にこだわった遠藤社長の思い、そして「メイド・イン・ジャパン」が抱える課題などを聞いた。
軍地彩弓(以下、軍地):メーカーはどうしてもこれまでピラミッド構造になりがちで、ものづくりを担う職人さんは下請けという扱いでした。しかし、御社では職人さんを大切なパートナーと位置づけ、新たなものづくりのネットワークの形をつくられています。着物の組み紐をベルトという製品に生まれ変わらせたのも、新しい発想ですね。これは、職人さんにとっても嬉しいことですよね。
遠藤弘満(以下、遠藤):プロジェクトスタート時のコンセプトは、「カスタムオーダー」「プライスバリュー」の2つでした。実は「メイド・イン・ジャパン」は、最後に付け加えたものなんです。「パートナー構想」は創業時にはありませんでした。
しかし、彼らと何度も話し合いを重ねるうちに、日本のものづくりに対する使命感が芽生えてきたんです。職人さんがいなければ、Knotの製品はつくれません。私たちにとって、彼らはかけがえのない大切な存在であるという思いから「パートナー構想」が生まれたのです。