アマゾンはアレクサのプライバシーポリシー強化を狙い、YahooやGoogle、Slackで要職を歴任した専門家を招へいした。
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- アマゾンの音声アシスタント「アレクサ(Alexa)」のプライバシーとセキュリティポリシーを担当する「アレクサトラスト」チームにアン・トスが加わった。
- トスはヤフーに13年以上在籍し、チーフ・トラスト・オフィサーを務めた。その後、グーグル、スラック(Slack)、世界経済フォーラムでも同様のポジションを歴任している。
- ユーザーのプライバシーとセキュリティは、アマゾンにとっていま最も重要なテーマのひとつだ。アレクサが録音したユーザーとの会話をアマゾンの従業員が直接聴いていたことが報じられ、大きな問題となっている。
アマゾンの音声アシスタント「アレクサ」のプライバシーポリシー強化を目指すチームに、プライバシーとセキュリティの専門家として高名なアン・トスが加わった。
詳しい関係者によると、トスは8月にアマゾンにジョインし、「アレクサトラスト」チームの責任者に就任した。
アレクサトラストはより大きな「アレクサエクスペリエンス」チームの一部で、プライバシーおよびセキュリティポリシーの強化を担う。トスのリンクトイン(LinkedIn)のプロフィールもすでにアマゾンでのポジションにアップデートされている。
トスのヤフー時代の活躍はよく知られている。チーフ・トラスト・オフィサーとして同社初のプライバシーポリシー策定に尽力した。
13年以上をヤフーで過ごしたあと、グーグルとスラックでも同様のポジションを歴任。スラックでは人事とガバメント・リレーションズ(=政府・行政との関係構築)も担当した。
直近では、世界経済フォーラムのデータポリシー・プラットフォームの責任者を務めている。
プライバシーはアレクサ製品の「根幹」
アマゾンは近年、アレクサをめぐるプライバシーの問題に悪戦苦闘しており、トスの入社はその意味で注目を集めている。
ブルームバーグは2019年、アレクサを介して録音されたユーザーの(センシティブな内容やセックスシーンを含む)プライベートな会話を従業員が聴いていたと報じた。ほかにも、アレクサが録音した音声を所有者以外の見知らぬ人に送信したケースも複数報告されている。
アマゾンはアレクサのプライバシー機能の厳格化を徹底して求めるようになってきている。
9月24日に開催したオンラインイベントで、同社のハードウェアビジネスを率いるシニアバイスプレジデントのデイブ・リンプは、プライバシーがアレクサ製品の「基礎(あるいは根幹)」と発言。併せて、自動的に録音を消去したりプライバシー設定を確認したりできる音声コマンドなど、新たなプライバシー機能をいくつか発表した。
アレクサ製品がユーザーの個人的な空間・時間により深く入り込んでいくにしたがって、プライバシーはより大きく重要な部分になっていくことが想定される。
実際、24日のイベントでは、防犯カメラとして機能する室内飛行ドローンや子ども向けの新たなサービスも登場している。
(翻訳・編集:川村力)