夜のホワイトハウス。
AP Photo/Carolyn Kaster
- トランプ大統領は2020年大統領選挙の結果を受け入れるかどうか、態度を明らかにしておらず、アメリカ人の多くを不安にさせている。
- トランプ大統領は2017年の就任以来、2期以上在任する可能性について繰り返し述べてきた。
- シークレット・サービスがホワイトハウスを去ることを拒否する「前大統領」を追い出す役割を担うのかどうかは、不明のままだ。
- 一方、アメリカ軍のトップは、選挙で負けた大統領がホワイトハウスを去ることを拒否した場合は裁判所と議会が解決しなければならないと述べ、一切関与しないことを言明している。
トランプ(Trump)大統領は、選挙で敗れた場合に2021年1月に退任するかどうかについて矛盾した発言を続けており、平和な政権交代という概念は日に日に危ういものになってきている。ホワイトハウスから「前大統領」を物理的に追い出す責任を負うのは誰なのかという問題が現実のものとなるのは、おそらく近代史上初めてのことだ。
大統領就任式の日に、この悪夢のようなシナリオを実行しなければならないのが誰なのか、今のところ不明だが、可能性があるのは、新たに選ばれた大統領とシークレット・サービスだ。
仮に、1月末の任期満了後も選挙で敗れた大統領がホワイトハウスを占拠している場合、新たに選出された大統領は、シークレット・サービスに命じてその人物を敷地内から排除する権限を持っている可能性が高い。連邦捜査官は前大統領の指揮下にはないからだ。前大統領としてシークレット・サービスが付いているとしても、任期が終われば一般市民であり、もはや大統領の権限は持っていない。
2020年9月24日、記者に質問されたトランプ大統領は、選挙が公正でないと感じた場合の政権交代を拒否すると述べ、不正投票が増えると考えている郵便投票へと話題を変えた。
「何が起こるか、よく見ておかなければ」と大統領は述べた。
「私が郵便投票に強く抗議してきたことは知っているだろう。郵便投票は最悪だ。郵便投票をやめれば平和になる。率直に言って、交代ではなく継続、になるだろう」
6月、バイデン(Biden)候補はトレバー・ノア(Trevor Noah)が司会を務める「ザ・デイリー・ショー(The Daily Show)」に出演し、アメリカ軍の指導者は任期を終えたトランプ大統領をホワイトハウスにとどまらせることはないと信じている、と述べた。
「私は確信している。彼らが派遣され、彼[トランプ]をホワイトハウスからエスコートする(連れ出す)だろう」
だがバイデン候補の発言に反して、軍は選挙戦に関与することはない。議会の質問に応じた統合参謀本部議長のマーク・ミリー(Mark Milley)大将は「選挙に関する何らかの紛争が発生した場合には、法律上、軍ではなく、裁判所と議会が事態を解決することになっている」と述べた。
「我々がアメリカ合衆国憲法に背を向けることはない」
[原文:Here's what could happen if an ex-president refuses to leave the White House]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)