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楽天・三木谷社長の「月額2980円の5G」新料金に見る期待と不安。“攻め時”は今しかないが…

楽天BIG

5G新料金と対応端末記者発表に登壇する、楽天の三木谷浩史会長兼社長。楽天モバイルの代表取締役会長兼CEOも務める。

出典:楽天

楽天モバイルは5Gサービスの詳細を発表した。

料金プランは月額2980円。4Gと一緒だ。他社の5Gプランは4Gプランよりも500〜1000円、値上げされているが、楽天モバイルでは据え置き。「tada(タダ)5G」とアピールされた。

スマホのラインナップとしては「Rakuten BIG」が発表となった。画面サイズが6.9インチでフェリカ対応。フロントカメラ内蔵ディスプレイを搭載しながらも6万9800円(税込み)と、かなり魅力的な端末になっている。

気になるネットワークだが、山田善久社長からは「東京都、神奈川県、埼玉県、北海道、大阪府、兵庫県の一部地域」と詳細された。

しかし、楽天モバイルのサイトで調べてみると、東京に関しては、

・世田谷区瀬田1丁目付近

・世田谷区瀬田2丁目付近

・世田谷区瀬田3丁目付近

・世田谷区瀬田4丁目付近

・世田谷区上野毛1丁目付近

・世田谷区上野毛2丁目付近

・世田谷区上野毛3丁目付近

・世田谷区上野毛4丁目付近

・世田谷区玉川1丁目付近

・世田谷区玉川2丁目付近

・世田谷区中町1丁目付近

・世田谷区野毛2丁目付近

・世田谷区野毛3丁目付近

・板橋区板橋3丁目付近

※楽天発表より、東京のエリアを抜粋

という有り様だ。楽天本社がある二子玉川周辺に集中しており、これでは「二子玉5Gモバイル」でしかない。

山田社長は、「他社を見ても最初はそれほど全国津々浦々すべてというわけではない。他社とそんなに遜色ない形でスタートできているのでは」というが、そもそも楽天モバイルは「完全仮想化技術で、5Gレディのネットワーク」であり、垂直立ち上げで5Gを展開できるのはなかったか。

他社が「やる気がない」タイミングだからこそ、今こそ攻め時ではないか。

そもそも6月スタートの計画から3カ月、遅れている。コロナ禍によって、インドの開発拠点がロックダウンされ、開発が遅れたと説明するが、基地局工事に時間の余裕ができていた割に、このエリア展開はあまりに寂しすぎる。

楽天の存在感を示す「5G」ではなかったか

Tada 5G

4G料金から月額料金据え置き、しかも今は1年間無料。とはいえエリアの問題は大きい。「Tada 5G」の触れ込みを、契約数拡大にうまくつなげられるだろうか。

出典:楽天

3キャリアが4Gで全国99.999%近い人口カバー率を実現している中、楽天モバイルが今から4Gネットワークですぐさま追いつくのは、限りなく困難だ。

ならば、楽天モバイルは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクと同じタイミングで周波数帯を割り当てられた「5Gのスタートダッシュ」で他社を引き離すという考えはなかったのか。

完全仮想化技術により、4Gネットワークを一気に5G対応にできるのであれば、すでに4Gとして展開しているエリアに5Gのアンテナを設置しておき、9月30日に一斉に5Gの電波を吹けば、それこそあっという間に「日本でナンバーワンの広さを誇る5Gキャリア」に昇格できたはずだ。

他キャリアは4Gに割り当てられた周波数帯で5Gスマホを使えるようにする準備を進めている。これが実現すれば、すぐに全国に5Gエリアが広がることになる。

一方、楽天モバイルはKDDIから4Gネットワークのみを借りる契約のため、5Gについてはすべて自力でネットワークを作っていくしかない。

楽天の5G月額料金

楽天モバイルのWebサイト上では、「無料」押し。

撮影:伊藤有

端末ラインナップに関して言えば、コンパクトサイズで大人気だったRakuten Miniに続き、Rakuten BIGを投入してきた。このように、オリジナリティで差別化してきたのは評価に値する。

とはいえ、華々しく5Gをスタートさせる割には、発売済みのシャープAQUOS R5GとRakuten BIGの2機種だけでは寂しすぎる気がする。

一般的なユーザーはとても保守的なので、仮に安さにひかれて3キャリアから楽天モバイルに乗り換えるとしても、端末は「今まで使っていたメーカーと同じがいい」という意見になりがちだ。

iPhoneを取り扱うとしたら、10月以降までお預けだろうが、5Gラインナップには他キャリアで人気のソニー・Xperiaの5G版があってもよかったのではないか。例えば、シャープであれば価格を抑えた5G「AQUOS Zero5G Basic」、サムスンなら「Galaxy A51」あたりが欲しいところだ。

さらに他キャリアではOPPOやXiaomi、ZTEなど「安価な中国メーカー製5Gスマホ」もけっこう売れている。

月額2980円(しかも今は1年間無料)で、コストパフォーマンスの良い中国メーカーの5Gスマホと組み合わせられたら、最高なのではないか。

「月額2980円の5G」が新鮮なうちしか勝負どころはない

楽天モバイルの山田善久社長

楽天モバイルの山田善久社長。

出典:楽天

楽天モバイルは5Gでスタートダッシュを決めてくるかと思っていたが、少々、肩透かしに終わってしまった。

同社では年内に300万契約を目指しているが、現在、公表されているのは3月3日から4カ月の累計で100万回線の申し込みを達成したという数字のみだ。

山田社長によれば年内300万に到達するかしないかギリギリのところだという。

菅首相の「キャリアは値下げ競争しろ」という思惑によって誕生したとも言われる第4のキャリア、楽天モバイル。しかし、菅首相の関心はすでに、NTTによるNTTドコモの完全子会社化を通じた「NTTドコモの値下げ」に移ってしまったとの声もある。

楽天モバイルは、いつの間にか菅首相からハシゴを外されてしまった格好になってないだろうか。

NTTドコモが値下げを強行し、KDDIとソフトバンクが対抗値下げをすれば、楽天モバイルは世間から見向きもされなくなる。

「月額2980円の5G」でどこまでユーザーを集められるか、引き続き注目したい。

(文・石川温)

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