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香港に関する論文は匿名でOK…オックスフォード大学、国家安全維持法から学生を守るために

オックスフォード大学のボドリアン図書館。

オックスフォード大学のボドリアン図書館。

Oil Scarff/Getty Images

  • ガーディアンによると、オックスフォード大学は中国政治学を専攻する学生に対し、香港国家安全維持法に抵触しないよう、匿名で論文を提出するように通達した。
  • この法律は6月30日に施行され、中国は香港における「分離主義、国家転覆、テロ、外国の干渉」について定義し、処罰する権限を得た。
  • 中国は、それがすべての人に適用され、中国や香港にいない人も同様だとしている。
  • オックスフォード大学の中国政治学の准教授はガーディアンに対し、学生は「自分を守るために、匿名で論文を提出してよい」と語った。
  • プリンストンとハーバードのビジネス・スクールも、中国政治学を学ぶ学生を保護する措置を講じている

オックスフォード大学は、香港の国家安全維持法に抵触しないように、中国政治学専攻の学生に匿名で論文を提出するように求めている、とガーディアン(Guardian)が9月26日に報じた

この法律は、中国に香港における「分離主義、国家転覆、テロリズム、外国からの干渉」を定義し、処罰する権限を与えたもので、6月30日に施行された。

中国政府によると、この法律は海外にいる人物にも適用される。8月初旬には、アメリカ市民に対して同法に基づいて香港当局から逮捕状が発行されている

オックスフォード大学は学生の安全を守るため、中国政治学を専攻している学生に匿名で論文や課題を提出してもらうという措置をとった。また、グループでの指導も廃止され、1対1での指導が行われるようになった。

パトリシア・ソーントン(Patricia Thornton)准教授はガーディアンに「私の学生は、安全を強化するために、匿名で作品を提出して発表を行う」と述べた。

香港東部海底トンネルの工事現場で、新しい国家安全維持法を告知する看板。2020年6月29日。

香港東部海底トンネルの工事現場で、新しい国家安全維持法を告知する看板。2020年6月29日。

REUTERS/Tyrone Siu

「教育は、集団的で批判的な調査に基づくもので、その精神は教育機関がすべての人に言論・表現・学問の自由を保障する能力を持つかどうかに左右される」と彼女は言った。

「しかし、例外なく、治外法権条項をかざして自主検閲を呼び掛ける中国の新しい香港国家安全維持法に対してどうすべきなのか。中国があらゆるところに介入する権利を主張しているのに、どうやって学問の自由を守るのか」

「私は自分の指導内容を変えないことに決めた。しかし、アメリカの同僚と同じように、私も学生の守る義務があることを心に留めている。彼らの多くはイギリス国民ではない」

学生を保護する措置を取っているのはオックスフォード大学だけではない。テレグラフ(Telegraph)の報道によると、プリンストン大学で中国政治学を受講している学生は、自分の課題を指導教官に提出する際にコードネームを使用する予定だという。ハーバード・ビジネス・スクールでも、学生が自分の安全を懸念している場合、デリケートな話題について話すことを免除しているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じている。

習近平

中国の習近平国家主席

Noel Celis - Pool/Getty Images

イギリスもオックスフォード大学も、香港との間に長い歴史と愛着を持っている。 最後の香港総督であるバーンズのパッテン男爵、クリストファー・パッテン(Christopher Patten)が現在、オックスフォードの学長を務めている。パッテン卿はガーディアンに次のように語っている。

「我々の大学で学ぶために中国から来る学生は、教室にカメラがあり、何が起こっているのかを伝えるための密告者がいるような大学から来ている。我々は最新の注意を払わなければならない」

香港はイギリスに150年間統治されていたが、1997年に中国に返還され、特別行政区の地位を得た。

しかし、中国は2014年以降、香港の自治権を削りにかかり、まず犯罪容疑者の中国への強制送還を認める逃亡犯条例改正案を成立させようとしたが、この法案は、何カ月も続いた抗議運動を受けて廃案になった。結局、中国は国歌を軽視することを犯罪とすることに成功し、6月30日には新たな国家安全維持法が制定された。

6月2日、イギリスのボリス・ジョンソン首相は、中国の脅威があったにもかかわらず、300万人の香港市民にイギリスの市民権を得る道を開くと約束した

[原文:Oxford is asking students specializing in China to submit papers anonymously so they don't fall foul of Hong Kong's draconian national security law

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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