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世界中の人々が自分たちの小さな都会のアパートや郊外の家から逃避することを夢見る今、世界各地でそれが実現されようとしている。
バルバドスやバミューダといった一部の場所では、海外からの旅行者向けにリモート・ビザのプログラムを導入し、ポルトガルやドイツといった国でも、数年にわたって同様のプログラムが実施されている。
こうしたプログラムは今、これまで以上に多くの国や人を引き付けている。
人はどこにいても仕事ができることを知り、国は国境の閉鎖やロックダウン(都市封鎖)で大打撃を受けた地元経済をサポートしたいと考えている。長期滞在者たちに、現地で暮らす人々の仕事を奪うことなく、現地経済を支えてほしいと望んでいるのだ。
リモートワーカーを歓迎するプログラムを実施している11の国・地域を見ていこう。
※申請手続きや条件など、詳細はそれぞれ公式サイトなどで確認してください。
アンティグア・バーブーダは最大2年間、現地からリモートワークできる新たな居住プログラムを導入している。
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アンティグア・バーブーダは最大2年間、現地で生活し、リモートワークできる「ノマド・デジタル・レジンデンス・プログラム」を発表した。
公式サイトによると、このステータスを得るためには、少なくとも年収5万ドル(約530万円)以上で、本人とその家族(同行する場合は)を養えることを証明しなければならない。また、自身の雇い主がカリブ諸国以外に拠点を置いていることも証明しなければならない。滞在中は健康保険を維持する必要もある。
公式サイトによると申請料は1人1500ドルで、カップルは一組2000ドル、3人以上の家族は一組3000ドルだ。
アルバは最大90日間、現地からリモートワークできるプログラムを発表した。
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アルバの新たなプログラム「ワン・ハッピー・ワーケーション」は最大90日間、このカリブ海の島で暮らし、リモートワークすることができる。現地のホテル、チェーン・リゾート、貸家の割引もある。
アルバでは6月以降、一部の国からの観光客を受け入れていて、その対象国を増やしている。公式サイトによると、アメリカのパスポートを持っていれば、特別なビザや書類は必要ないという。
このプログラムを利用する人は、1週間以上のパッケージを予約しなければならない。現時点では滞在可能な期間は最大90日間だが、今後、さらに延びる可能性もあるという。
リモートワーカーは現地以外の企業に雇われているまたは自営でなければならず、公式サイトによると、アルバの個人や企業のために働くことはできない。
バルバドスは最大1年間の「バルバドス・ウェルカム・スタンプ」を導入した。
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バルバドスの新たなビザ・プログラムでは最大1年間、島で暮らしながらリモートワークできる。
オンライン申請は7月から始まっていて、パスポートの写真や出生証明書などの情報をアップロードする必要がある。
ビザ・プログラムは、移住を検討している家族にも開かれている。
公式サイトによると、申請が認められた場合、1人2000ドル、家族の場合は一組3000ドルをビザ取得のために払う必要がある。
エストニアも、デジタル・ノマド向けのビザ・プログラムを導入している。
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エストニアは8月、EU(欧州連合)初だという新たなデジタル・ノマド・ビザを導入した。
公式サイトによると、このビザを取得すれば最大で1年間、エストニアで暮らしながらリモートワークできるという。
ビザを希望する人は、リモートで働けること、エストニア国外の企業に雇われているまたは自営もしくはエストニア国外のクライアントと主に仕事をしているフリーランスであることを証明しなければならない。また、申請の半年前から月収が3504ユーロ(約43万5000円)以上でなくてはならないという。
公式サイトによると、申請料は80~100ユーロだ(滞在期間の長さによる)。
バミューダで仕事や勉強をしながら、砂浜を楽しもう。
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バミューダは7月、新たな居住者証明の政策を導入すると発表した。
これは、学生も対象となる数少ないプログラムの1つだ。
最大で1年間、このカリブ海の島で暮らしながらリモートワークをしたり、勉強ができる。
公式サイトによると、申請者は18歳以上で健康保険に加入していること、就業証明または在学証明を提出し、十分な収入源があることを示さなければならない。
長期滞在の場合、証明の費用は263ドルだ。
ビーチにはあまり興味がないという人には、ジョージアが長期滞在者向けのプログラムを用意している。
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ジョージアの新たなビザ・プログラムは、自営のリモートワーカーを対象にしている。
公式サイトによると、このビザはジョージアに半年以上滞在したいと考えているデジタル・ノマド向けだという。
政府系ニュースサイト「Agenda.ge」によると、申請するには、月収2000ドル以上でジョージアに滞在中も税金が払えることを証明し、滞在中も健康保険に加入していなければならない。また、到着後は12日間の隔離(自費)を受け入れ、その後、新型コロナウイルスの検査を受けなければならないという。
チェコ共和国のプログラムは新しいものではないが、今こそ利用するにはまたとないチャンスだ。
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チェコは以前から長期のビジネスビザ「Zivno visa」を出している。
大使館によると、このビザはある程度まとまった時間をチェコで暮らしたいと考えているフリーランサーやリモートワーカーをターゲットにしている。
申請を希望する人は大使館または領事館に連絡する必要がある。
自営業者向けのビザでポルトガルに1年間滞在するのもいい。
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このビザ・プログラムは、独立して働いている人向けに一時滞在を許可するものだ。ただし、申請者は自分のスキルがポルトガルで必要とされていることを示さなければならない。
申請者はフリーランサーとして国に登録し、ポルトガルにクライアントがいればプラスに働く。希望する滞在期間の長さに応じて、ポルトガルの外務省が異なるビザ・プログラムを示す。
申請には、ポルトガルの銀行口座を持っているなど、さまざまなクリアすべき条件がある。詳細は移住者向けのウェブサイト「BePortugal」で紹介されている。
自営業なら、スペインに行ってみよう。
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フリーランサーや自営業者なら、スペインの自営業者向けの就労ビザを申請できる。
このビザがあれば最大1年間、スペインで生活しながら働くことができる。
申請の詳細はこちら。
ドイツでリモートワークをしながら、プレッツェルとビールを楽しもう。
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ドイツにもフリーランサーやリモートワーカーを対象としたプログラムがある。
申請の条件など、詳細は政府のウェブサイトで確認できる。
申請には、収入証明や保険加入、前の雇用主からの推薦状などが必要だ。
一時滞在ビザで最大4年間、メキシコで暮らし、働くこともできる。
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メキシコの一時滞在ビザで、渡航者は1年間メキシコで生活することができる。その後、3年延長することも可能だ。
ビザを希望する人は、月収1620ドル以上または銀行口座の残高が2万7000ドル以上あることを示さなければならない。
ただ、このビザでは現地の企業などで働くことはできない。
※編集部より:一部、表現を改めました(2021年2月6日、午後7時8分)。
[原文:11 countries welcoming remote workers]
(翻訳、編集:山口佳美)