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退院はしたけれど…… トランプ大統領の主治医は引き続き「警戒」、治療はホワイトハウスで継続

トランプ大統領

退院し、ホワイトハウスに戻ったトランプ大統領(2020年10月5日)。

REUTERS/Erin Scott

  • アメリカのトランプ大統領は10月5日の夕方(現地時間)、入院していたウォルター・リード米軍医療センターから退院した。引き続きホワイトハウスで治療を受ける。
  • 大統領は、一般的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者が受ける2つの治療を受けている。
  • 大統領の主治医は、「完全に回復したわけではない」とし、「最後の安堵の深いため息をつく」にはもう1週間待たなければならないだろうと語った。

トランプ大統領は10月5日の夕方、ウォルター・リード米軍医療センターから退院した。約3日間の入院だった。

大統領の主治医ショーン・コンリー(Sean Conley)氏は5日に開いた記者会見で、大統領は72時間以上発熱しておらず、血中酸素濃度にも問題はないと語った。

「この24時間、大統領の症状は改善し続けている」とコンリー氏は報道陣に語った。

「大統領は退院の条件を全て満たしている」

トランプ大統領は、退院後もホワイトハウスで治療を続ける。大統領は2日以降、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認した抗ウイルス薬レムデシビルを使用している。この薬は一般的に、人口呼吸器や集中治療室(ICU)での治療を必要とする入院中の重症患者に使われるものだ。

「完全に回復したわけではないが、チームとわたしは全ての評価…… そして最も重要な大統領の臨床状態から、大統領が安全に帰宅できると判断した。大統領は世界トップクラスの医療を24時間体制で受けられる」とコンリー氏は語った。

ただ、7~10日間と言われる新型コロナウイルスの重症化が見られやすい期間がまだ過ぎていないことから、大統領の主治医らは引き続き「警戒」していると付け加えた。感染から比較的早い段階で実験的薬剤を投与したことで、大統領にどのような影響があるか、まだよく分からないという。

「月曜日(12日)まで大統領の状態が今のまま維持される、または改善されれば、わたしたちは最後の安堵の深いため息をつけるだろう」とコンリー氏は話した。

ホワイトハウスに戻っても、治療内容はほぼ変わらず

トランプ大統領

ウォルター・リード米軍医療センターから退院したトランプ大統領(2020年10月5日)。

REUTERS/Jonathan Ernst

トランプ大統領がホワイトハウスの医療ユニットに移っても、治療という意味ではあまり違いはなさそうだ。

「わたしからすれば『患者をICUから中間床に移すよ』と言うのと同じだ」と、ジョンズ・ホプキンズ・ベイビュー・メディカル・センターの肺疾患が専門の医師パナギス・ガリアトサトス(Panagis Galiatsatos)氏はBusiness Insiderに語った。

コンリー氏は、大統領がホワイトハウスに移ってもステロイド薬デキサメタゾンの投与は続け、レムデシビルの5回目、6回目の投与も行うだろうと話している。

「ホワイトハウスは、わたしの家でもあなたの家でもない」とBusiness Insiderに語ったのは、タフツ医療センターの感染症が専門の医師ヘレン・バウチャー(Helen Boucher)氏だ。「(ホワイトハウスは)治療をする能力が高く、非常に優秀な医師がいることも分かっている」という。

新型コロナウイルス感染症の重症患者は一般的に、症状が出始めてから約10日前後で入院したりICUに入ることから、ホワイトハウスの医師らは週後半にかけて、特に注意を払うことになるだろう。肺炎、敗血症、急性呼吸促迫症候群(ARDS)になる患者もいる。トランプ大統領に最初の症状が出たのが検査で陽性となった10月1日なら、重要な"7~10日間"は10月7~10日あたりになる。

ただ、大統領の主治医らは、具体的にいつから大統領の体調が悪くなり始めたのか、明らかにしていない。

「わたしたちは慎重な楽観主義、そして警戒を続ける」とコンリー氏は語った。「かなり早い段階で治療を受けた患者について、わたしたちは未知の領域にいるようなところがある」という。

治療内容からは分からない、大統領の症状の深刻度

トランプ大統領の主治医らは、大統領が2度酸素吸入をしたことを認めている。このうちの少なくとも1度は2日、ホワイトハウスで、だ。大統領の血中酸素濃度は3日、通常の範囲を下回る93%まで下がったとコンリー氏は話している。報道陣から、大統領の酸素レベルが90%以下になったことはないかと尋ねられると、同氏は「80%台前半」にはなっていないと答えた。世界保健機関(WHO)は、血中酸素濃度が90%以下の患者をCOVID-19の「重症」患者と定義している。

5日午後、トランプ大統領は「本当に体調が良い」とツイートした

「コロナウイルスを恐れるな。ウイルスに人生を支配させるな。トランプ政権下で我々は素晴らしい薬と知識を得てきた。わたしは20年前よりも気分がいい!」と大統領は書いた。

コンリー氏。

記者会見をする大統領の主治医ショーン・コンリー氏(2020年10月5日)。

REUTERS/Jonathan Ernst

ただ、トランプ大統領はCOVID-19の一般的な治療を大幅に上回る治療を受けている。これほどの注意を払われ、これほどの治療へのアクセスがある人間はまずいないだろう。

トランプ大統領は1日の夜にバイオテック企業リジェネロン(Regeneron)が開発した抗体カクテル療法を受けたと、ホワイトハウスのある高官はCBS Newsに語っている。この治療法はFDAの承認をまだ受けておらず、一般には手に入らないが、275人を対象とした臨床試験によって最近、患者の体内のウイルス量が減ることが分かった。症状も早く解消するという。

大統領はまた、3日にステロイド薬デキサメタゾンも投与されている。デキサメタゾンの投与は通常、COVID-19の最も症状の重い患者に使用されることから、このニュースは多くの医師を困惑させた。医療チームの発表以上に大統領の状態が悪いのではないかと見る医師もいれば、大統領の指示で必要以上の治療をしているのではないかと見る医師もいた。

「ドナルド・トランプはVIP中のVIPだ。性格も攻撃的で、何かしたがるタイプだ」とブリガム・アンド・ウィメンズ病院の救急医ジェレミー・ファウスト(Jeremy Faust)氏はBusiness Insiderに語った。「こうした会話を交わさなければならない医師たちを、わたしはうらやましいとは思わない」 と話した。

ただ、コンリー氏はウォルター・リード米軍医療センターの医療チームに大統領はただ「注目されている」だけだと言う。

「何が安全で何が妥当か、わたしたちは試行錯誤している。大統領は安全かつ妥当な対応以上のことをわたしたちに強いたことはない」

[原文:Trump is set to leave the hospital, but his physician said the medical team won't breathe a 'deep sigh of relief' for another full week

(翻訳、編集:山口佳美)

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