『IT/イット』は全世界で7億ドルの興行収入を上げた。
Brooke Palmer/Warner Bros.
- スティーブン・キングの作品は約3分の1が映像化されている。
- 映画興行収入は『IT(イット) “それ”が見えたら、終わり。』が7億170万ドルで1位だ。
- 『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(4億7300万ドル)と『グリーンマイル』(2億8680万ドル)がそれに続いている。
スティーブン・キング(Stephen King)の作品の3分の1は、映画やテレビドラマになっている。
代表的なホラー作家であるキングの作品は、『キャリー』、『IT』、『シャイニング』といった古典的名作だけでなく、『ショーシャンクの空に』のようなドラマ作品も映画化されている。
Box Office Mojoによる、キングの作品を原作とした映画の全世界興行収入ランキングは以下の通り(インフレなど貨幣価値の変動は考慮していない)。
『ショーシャンクの空に』(1994年)…2880万ドル
The Shawshank Redemption
Columbia Pictures
監督はフランク・ダラボン(Frank Darabont)。1982年の小説『刑務所のリタ・ヘイワース』が原作で、架空のショーシャンク州立刑務所で希望を見いだす2人の囚人をティム・ロビンス(Tim Robbins)とモーガン・フリーマン(Morgan Freeman)が演じた。この映画は公開時には人気が出なかったが、アカデミー賞では7部門にノミネートされ、今では名作と言われている。
『スリープウォーカーズ』(1992年)…3050万ドル
Sleepwalkers
Columbia Pictures
監督はミック・ギャリス(Mick Garris)。この作品はキング原作ではなく、彼が脚本を書いた。 キングはまた、墓地の管理人としてカメオ出演した。
『アトランティスのこころ』(2001年)…3090万ドル
Hearts in Atlantis
Warner Bros. Pictures
監督はスコット・ヒックス(Scott Hicks)。この作品はキングの小説『1960年 黄色いコートの下衆男たち』などをプロットに用いている。アンソニー・ホプキンス(Anthony Hopkins)演じる年輩の男性と仲良くなった少年(アントン・イェルチン、Anton Yelchin)は、近所で奇妙な出来事が起きていることに気づき始める。
『バーチャル・ウォーズ』(1992年)…3210万ドル
The Lawnmower Man
New Line Cinema
監督はブレット・レナード(Brett Leonard)。原作は1975年に発表した短編『芝刈り機の男』だが、映画の内容があまりにも原作からかけ離れていたので、キングは映画会社を訴えて、彼の名前を宣伝文句に使わないようにさせた。
『キャリー』(1976年)…3380万ドル
Carrie(1976)
United Artists
主演はシシー・スペイセク(Sissy Spacek)、監督はブライアン・デ・パルマ(Brian De Palmer)。過激な宗教思想を持つ母親に育てられたキャリーは、学校のパーティーで豚の血を浴びせられ、その超能力でクラスメートに復讐する。
『バトルランナー』(1987年)…3810万ドル
アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)が主演したディストピア・ホラー。監督はポール・マイケル・グレイザー(Paul Michael Glaser)。シュワルツェネッガーは、生涯ゲームショーで競わなければならない罪を着せられた元警察官、ベン·リチャーズを演じている。Screenrantによると、キングはこの脚色を気に入らず、すべてのマーケティング資料から自分の名前を削除するよう求めたという。
『シャイニング』(1980年)…4640万ドル
The Shining
Warner Bros
スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)が監督のカルトホラー。原作小説の『シャイニング』はキング初のハードカバー・ベストセラーになり、彼の名前を有名にした。映画作品としても成功し、ジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)がアドリブで発した「Here's Johnny!」などのセリフもポップカルチャーで人気となった。
『スタンド・バイ・ミー』(1986年)…5220万ドル
原作は1982年の小説『スタンド・バイ・ミー(原題:The Body)』。監督はロブ・ライナー(Rob Reiner)。オレゴン州で殺された見知らぬ人の遺体を見つけるために旅に出た4人の少年の物語だ。
『ペット・セメタリー』(1989年)…5746万ドル
Pet Sematary(1989)
Paramount Pictures
監督はメアリー・ランバート(Mary Lambert)。死者を復活させる力を備えた埋葬地が舞台。主人公の医師、クリードは近所の「ペット・セメタリー(ペット霊園)」に猫を埋めると猫が生き返ったことから、息子が事故で死んだとき、警告を無視して、その埋葬地で彼を生き返らせようとする。
『ミスト』(2007年)…5747万ドル
The Mist
Dimension Films
キングをジャンプさせるほど怖かったとフランク・ダラボン(Frank Darabont)監督が解説で語っている。この映画の結末はダラボンが書き加えたもので、キングはそれを気に入り、「フランクは、すばらしい映画のエンディングを思いついた。とても衝撃的で、こうすべきだと自分に言い聞かせた」と記者会見で語った。
『ミザリー』(1990年)…6100万ドル
Misery
Columbia Pictures
小説『ミザリー』はベストセラーとなり、キングの最高のホラー小説の1つとして称賛されているます。1990年に公開された映画版はロブ・ライナーが監督してヒットした。キャシー・ベイツ(Kathy Bates)は、元看護師のアニー役として、本当に恐ろしい演技を披露しており、ホラーの中でも最高の悪役として評価され、オスカーを受賞した。
『ドリームキャッチャー』(2003年)…8120万ドル
Dreamcatcher
Warner Bros.
2001年発表の同名小説を原作としたローレンス・カスダン(Lawrence Kasdan)監督作品。毎年恒例のキャンプ旅行に出かけていた4人が、吹雪の中で奇妙な行動を示す男を発見する。彼らはすぐに男が致命的なウイルスに感染していることを知り、感染者や軍からの攻撃を生き延びようと奮闘する。物語の舞台は、『It』シリーズと同じ架空の町、メイン州デリー。
『キャリー』(2013年)…8470万ドル
Carrie(2013)
Sony Pictures
2013年にリメイクされた『キャリー』はキャリーをクロエ・グレース・モレッツ(Chloe Grace Moretz)、母をジュリアン・ムーア(Julianne Moore)が演じている。監督はキンバリー・ピアース(Kimberly Peirce)で、彼女はこの作品をリメイクではなく、リテリング(retelling)だと言っている。いくつかの現代的なアップデートが加えられていて、更衣室のシーンでは女性の裸体は出てこないが、キャリーは新たに発見したテレキネシスの能力によって、より強くなっている。
『シークレット ウインドウ』(2004年)…9290万ドル
Secret Window
Columbia Pictures
原作は中篇小説『秘密の窓、秘密の庭』。監督はデヴィッド・コープ(David Koepp)。ジョニー・デップ(Johnny Depp)演じる作家のモート・レイニーが、レイニーが自分の物語を盗んだと主張する農民にストーカーされていく姿を描いた作品。
『ペット・セメタリー』(2019年)…1億1310万ドル
Pet Sematary(2019)
Kerry Hayes/Paramount Pictures
ケヴィン・ケルシュ(Kevin Kölsch)とデニス・ウィドマイヤー(Dennis Widmyer)が監督したリメイク作品は、オリジナルの興行収入を上回った。リメイク版はいくつかの変更が加えられているが最大の変更点は、血に飢えた悪魔として生き返るのは息子ではなく、クリード家の娘になったことだ。
『ダークタワー』(2017年)…1億1320万ドル
The Dark Tower
Columbia Pictures, Sony Pictures
監督はニコライ・アーセル(Nikolaj Arcel)。この映画は、同名の長編小説をもとにしている。11歳のジェイクは「暗黒の塔と、塔を倒そうとする黒衣の男、そして黒衣の男を追うガンスリンガー」の夢に悩まされるようになる──。興行的には成功したもの関わらず、批評家からの評価は低い。
1408号室(2007年)…1億3290万ドル
1408
Metro-Goldwyn-Mayer
1999年の短編小説「一四〇八号室」が原作。監督はミカエル・ハフストローム(Mikael Håfström)。ホテルの幽霊の出る部屋の秘密を暴くためにやってきた超常現象捜査官を描く。映画のエンディングは試写で観客が暗すぎる感じたため、変更されている。
『グリーンマイル』(1999年)…2億8680万ドル
The Green Mile
Warner Bros.
トム・ハンクス(Tom Hanks)が主演し、フランク・ダラボンが監督した。1996年の同名小説が原作で、ある死刑囚が超能力を持っていることを知り、真犯人なのかどうかを疑いはじめる刑務官を描いている。原作を忠実に映画化したために上映時間は3時間9分になった。
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(2019年)…4億7300万ドル
It Chapter Two
Warner Bros.
監督は前作同様、アンドレス・ムスキエッティ(Andrés Muschietti)。『IT/イット』の続編が2番目に興行収入が多かった。メイン州デリーは27年後に再び大惨事に見舞われる。第1作の子どもたちは、今作では大人になり、邪悪なピエロを完全に倒すために団結しなければならない。
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)…7億170万ドル
IT
Warner Bros.
圧倒的な第1位となった本作の監督はアンドレス・ムスキエッティ(Andrés Muschietti)。『It/イット』は、1990年にティム・カリー(Tim Curry)が殺人ピエロのペニーワイズを演じてテレビで2回に分けて放映された。2017年の大ヒット作では、ビル・スカルスガルド(Bill Skarsgård)が、メイン州デリーという架空の小さな町の子どもたちを恐怖に陥れる威嚇的なキャラクターを演じている。原作は『IT』。
[原文:The 20 highest-grossing Stephen King movies, ranked]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)