“都民版GoTo”予約スタート、1回の利用は「5泊まで」…利用前に知っておきたい6つのポイント

銀座4丁目交差点。左は和光、右は銀座三越。銀座を象徴する場所だ。

銀座4丁目交差点。左は和光、右は銀座三越。銀座を象徴する場所だ。

撮影:吉川慧(2020年7月撮影)

東京都民が都内を旅行する場合に一人1泊あたり最大5000円の旅行代金助成する「もっと楽しもう!TokyoTokyo」の旅行予約が10月23日午後からはじまる。事業内容から「東京都民版のGoTo」とも評されるが、どんな内容なのか。そして、どうすれば利用できるのか。都と共同で事業を実施する公益財団法人・東京観光財団への取材などをもとに、利用方法や注意点などをまとめた。

1. 利用できるのは「都民」の都内旅行

日本橋には主要7国道の起点「日本国道路元標」がある。

日本橋には主要7国道の起点「日本国道路元標」がある。

撮影:吉川慧

「もっと楽しもう!TokyoTokyo」は、国の「GoToトラベル」キャンペーンとは別に都独自で実施する観光促進事業だ。

利用できるのは、東京都民による都内旅行のみ。宿泊旅行、日帰り旅行ともに利用できる。

利用者は予約時と旅行時(観光バス乗車時や宿泊施設でのチェックイン時など)に現住所が確認できる証明書(運転免許証、国民健康保険証、住民票、マイナンバーカードなど公的機関が発行・証明したものに限る)などを提示する必要がある。

また、予約後に引っ越した場合などは利用できない。あくまで予約時・利用時とも「都民」であることが条件だ。

都によると、利用できる宿泊旅行と日帰り旅行の定義は以下の通り。

  • 宿泊旅行:都内を宿泊地・目的地とする宿泊を伴う旅行(都内周遊に限る)。旅行形態は個人旅行、団体旅行のいずれも可
  • 日帰り旅行:都内を目的地とする日帰り旅行(都内周遊に限る)。旅行業者が予約・手配する交通機関(バス、ハイヤー、タクシー、船舶、航空機、鉄道など)の利用やガイドの同行があり、かつ、予め食事等を行程に組み込んだ募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行。旅行形態は個人旅行、団体旅行のいずれも可

2. 助成金は宿泊5000円、日帰り2500円

出典:公益財団法人東京観光財団

宿泊旅行の場合、旅行業者や予約サイトが販売するプランを利用すると1泊5000円の助成金が出る。日帰り旅行では旅行業者が販売・手配する旅行プランを利用した場合のみ適用され、1回あたり2500円が助成される。

ただし、助成対象のプランは宿泊で1人1泊税込6000円以上、日帰りだと3000円以上のプランが助成対象だ。

3. GoToとの併用が「できる」

『忠臣蔵』の聖地として知られる港区・泉岳寺の山門。都会とは思えない静寂に包まれている。境内には赤穂四十七士と浅野内匠頭らが眠る

『忠臣蔵』の聖地として知られる港区・泉岳寺の山門。都会とは思えない静寂に包まれている。境内には赤穂四十七士と浅野内匠頭らが眠る

撮影:吉川慧

いずれの場合も国のGoToトラベルとも併用できる。都も、併用されることを想定した事業計画を組んだ。

併用時は、宿泊旅行は割引前の価格が税込9000円以上、日帰りは4500円以上のプランが対象。宿泊事業者に直接予約した場合も利用できる。

例えば、国のGoToトラベルと都の助成金を併用して1泊9000円の旅行の場合…

・国から3150円(GoToトラベル事業、旅行代金の35%)
・都から5000円

が助成され、旅行者の支払いは850円となる計算だ。

出典:公益財団法人東京観光財団

旅行プランに子ども料金が設定されている場合、子どもが助成対象になるかどうかは、1人あたりの平均旅行代金の金額で異なる

参加者全員の旅行代金を利用人数で割り、1人あたりの平均旅行代金が基準額(GoToトラベル併用の場合9000 円以上、併用しない場合6000 円以上)に達していれば助成対象となる。

大人2人(1人あたり1万円)+子ども1人(7000 円)の旅行プランの場合<※GoToトラベル併用時>
=旅行代金総額(2万7000 円)÷利用人数(3人)
=1人あたり9000 円(平均額)で3人とも助成対象となる

一方、旅行代金の総額を利用人数で割ったとき、1人あたりの平均旅行代金が基準額に達していない場合は、基準額を達している利用人数分のみ助成対象となる。

大人2人(1人あたり9000 円)+子供1人(7000 円)の場合<※GoToトラベル併用時>
=旅行代金総額(2万5000 円)÷利用人数(3人)
=1人あたり8333 円(平均額)となり、大人2人のみが助成対象となる。

4. 利用できるのは「10月24日利用分」から。

浅草・雷門も東京名物の一つ。現在の雷門は戦後に復興され、1960年に松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏が寄進した。

浅草・雷門も東京名物の一つ。現在の雷門は戦後に復興され、1960年に松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏が寄進した。

撮影:吉川慧(2020年1月撮影)

助成金対象となる旅行プランの購入や予約は10月23日からはじまる。

東京観光財団によると、助成プランを取り扱う旅行業者や予約サイト、宿泊事業者は10月23日の正午ごろに公開される特設サイトで発表する予定だ。

利用できる期間は、

2020年10月23日以降に予約・販売を開始し、10月24日以降に旅行が始まり2021年3月31日(水)までに完了する(4月1日チェックアウトまで)の都内旅行

となる。

新型コロナ禍の感染状況が気になるところだが、助成する旅行プランは「感染防止対策を徹底した旅行商品」などが条件だ。国の緊急事態宣言や都の外出自粛要請などが出された場合、事業予定期間内であっても事業を中止または停止する場合があるという。

5. 利用は「1度の旅行で5泊まで」。ただし、回数制限はナシ

神田川にかかる聖橋。秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では聖橋が舞台になったエピソードが登場する。

神田川にかかる聖橋。秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では聖橋が舞台になったエピソードが登場する。

撮影:吉川慧

宿泊での助成金利用は、1回の旅行予約で「1人5泊」までに制限されるが、利用回数の制限は設けない

東京観光財団の担当者はBusiness Insider Japanに対し、「より多くの方につかっていただけるような制度設計を考えた」と話す。

10月22日、東京観光財団は公式サイト上で登録事業者に向けて「『1回の宿泊旅行・宿泊における宿泊数の限度は1人5泊」となりました」と発表した。

10月22日、東京観光財団は公式サイト上で登録事業者に向けて「『1回の宿泊旅行・宿泊における宿泊数の限度は1人5泊」となりました」と発表した。

出典:東京観光財団

さて、今回の助成金配分の仕組みはこうだ。

まず都と東京観光財団は、営業実績などに基づいて助成金の枠を旅行事業者などに配分する。

ただ、国のGoTo事業のように開始早々に配分枠が枯渇することを避けるため、事業者ごとに助成金適用プランの販売スタート時期を分散させる

つまり、10月から助成金が利用できるプランを受け付けるところがあれば、11月〜12月から受け付ける事業者もある。販売スタート時期は各事業者の希望によるという。11月と12月には事業者の追加公募を実施する予定だ。

神田川にかかる浅草橋から、ライトアップされた柳橋を望む。柳橋は神田川の“出口”にあたり、隅田川との結節点。付近には屋形船の船宿がある。

神田川にかかる浅草橋から、ライトアップされた柳橋を望む。柳橋は神田川の“出口”にあたり、隅田川との結節点。付近には屋形船の船宿がある。

撮影:吉川慧

東京観光財団の担当者は、事業の設計についてこう語る

「今回の事業に登録していただいた旅行事業者さんは大小さまざまです。旅行プランも、ハロウィン向けであれば10月から、クリスマスやお正月向けであれば11月〜12月から販売する旅行事業者があると想定しています。一部ではスタート当初に配分された枠を使い切るところがあるかもしれませんが、翌月以降も利用できる事業者さんが必ず出てくる仕組みになっています。“早いもの勝ち”にならないようにしたいと考えています」

事業規模は「40万泊分」で予算が尽きれば期限内でも終了するが、「事業者や時期ごとに助成金の枠を分散させるので、なるべく利用機会がなくならないようにしたい」と話す。

同担当者は「どんな旅行プランが出てくるか、事業者さんごとに様々な工夫をされると思います。好みのプランを見つけたときなど、『ここぞ』という時に使っていただきたい。ぜひこの機会に、今まで知らなかった東京の魅力を都民の方に知っていただくきっかけになれば」と語った。

6. 島しょ部の観光誘致で「しまぽ通貨」を販売

出典:電子しまぽ

都は定額補助金とは別に、島しょ地域(※1)への観光奨励策とプレミアム付き宿泊旅行商品券「しまぽ通貨」を23日から販売する。

島しょ地域の加盟店や竹芝桟橋の客船ターミナルの一部店舗で利用できる1万円分の商品券が8000円で購入できる。

購入上限は1人8セット。購入はクレジットカードで。利用には電子クーポンのためスマートフォンが必要となる。現地の宿泊施設などの加盟店で支払いをする場合のみ、国のGoToトラベルや都の助成プランと併用できる。

(※1)島しょ地域:大島・利島(としま)・新島・式根島・神津島・三宅島・御蔵島・八丈島・青ヶ島・父島・母島の11島

(文・吉川慧

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