10月8日のグローバル戦略発表会では、電気自動車(EV)EQシリーズの新車種「EQS」が2021年にデビューすることが明らかにされた。
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- 独メルセデス・ベンツは、同社の電気自動車(EV)の将来展開について詳細を明らかにした。
- メルセデスはEV向けの共通プラットフォーム「エレクトリック・ビークル・アーキテクチャ(EVA)」を開発し、新型EV「EQS」とともに2021年にデビューさせる。
- EQSは全電動、ガソリン車の「Sクラス」に近い高級セダン。
- 「AMG」「マイバッハ」「Gクラス」も順次EV化を進めるという。
2021年から始まるメルセデス・ベンツのEVラインナップに注目だ。
10月6日に発表したグローバル戦略のなかで、メルセデスは今後10年かけてラインナップの電動化を進めていく計画を明らかにした。
メルセデス・ベンツの電気自動車(EV)開発ロードマップ。
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まずは大型車のEV版の生産から始め、その後、高性能スポーツカー「AMG」、超高級車「マイバッハ」、多目的スポーツ車(SUV)「Gクラス」もEV化する。また、2025年には中小型車のEV化にも着手する。
電動化の動きはすぐに始まる。メルセデスは開発中の共通プラットフォーム「エレクトリック・ビークル・アーキテクチャ(EVA)」をベースとする新型EV4車種を発表。トップバッターは高級セダンの「EQS」で、2021年にも市場投入する。「Sクラス」のEV版に相当するという。
メルセデスのプレゼン資料より。共通プラットフォーム「エレクトリック・ビークル・アーキテクチャ(EVA)」とそれをベースにした「EQS」を2021年にデビューさせる。
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続くEVAベースの3車種は「EQE」「EQS-SUV」「EQE-SUV」。
メルセデスは新開発のプラットフォームEVAについて、あらゆる面において「スケーラブル(=拡張性が高い)」で、「モデルやカテゴリをまたいで共用できる」とする。
ホイールベース(=前後車軸間の距離)やトレッド(=左右車輪の中心間の距離)、電池システムコンポーネントなどは、プラットフォームをモジュール化したことで自在に変更できるようになり、セダンからSUVまであらゆるEVに対応する。
コンセプトとしては、独フォルクスワーゲンが開発中のEV専用プラットフォーム「モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリクス(MEB)」と、それをベースにした同社の新型EV「ID.4」によく似ている。
中小型車向けプラットフォーム、超高級車もEV化
独メルセデス・ベンツが2019年に公開した新型電気自動車(EV)のコンセプト「ヴィジョン EQS」。
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EVAベースの高級セダン「EQS」は2019年にそのコンセプト(当時の呼称は「ヴィジョンEQS」)が発表され、現在は最終テスト段階。ガソリン車「Sクラス」を生産する同社最大の生産拠点、ドイツ・ジンデルフィンゲンの「ファクトリー56」で開発が進められている。
2021年にデビュー予定で、世界の多くの国々が準拠する基準「乗用車等の国際統一燃費・排出ガス試験方法(WLTP)」にもとづく最大航続距離は700キロメートル。
対話型インフォテイメント(ドライバーアシスト)システム「メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス(MBUX)」のような「Sクラス」のテクノロジーも搭載される。
続いてデビューする「EQE」「EQS-SUV」「EQE-SUV」については、まだ詳細な情報は出ていない。
中小型車向けに開発中のEV共通プラットフォーム「メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャ(MMA)」に関するプレゼン資料。
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メルセデスは2025年に「さらに複数の」EVラインナップを追加する計画で、EVAとは別の共通プラットフォーム「メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャ(MMA)」がベースとなる。こちらは中小型車向けプラットフォームとしての位置づけだ。
また、同社はAMG、マイバッハ、Gクラスの全電動化も進める計画だが、こちらも詳細は明らかになっていない。
[原文:Mercedes details its electric future, including an EV versions of AMG, Maybach, and G models]
(翻訳・編集:川村力)