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- フェイスブックやグーグルなど、中国での使用が禁止されている海外のプラットフォームを使えるようになるブラウザアプリが、アプリストアから姿を消したとCNBCが報じた。
- 報道によると、中国を拠点とする奇虎360の子会社のアプリ「Tuber」がアップルとファーウェイのアプリストアでリリースされたが、今はどちらでも入手できない。
- 中国政府は、インターネットの検閲を行い、ウェブサイトやその他のサービスを通じて市民がアクセスできるコンテンツを制限してきた。
- 中国のインターネットユーザーは、VPNを使うことで「グレート・ファイアーウォール」を回避して、一部の禁止されているサイトにアクセスすることもできる。
CNBCは10月12日、フェイスブック(Facebook)、グーグル(Google)、ツイッター(Twitter)など、中国政府が禁止しているプラットフォームを中国で使えるようになるアプリがリリースされ、その直後にアプリストアから消えたと報じた。
そのブラウザアプリ「Tuber」を使えば、中国のオンラインユーザーは、人気の高いアメリカのサービスの使用を禁止する「グレートファイアーウォール」を回避することができる。しかし、この回避策は、短い命だった。リリースされたことを政府系メディアの環球時報(Global Times)の記者がツイートした後、Tuberはファーウェイのアプリストアから消えた、と報じられている。Tuberは、中国のサイバーセキュリティ企業、奇虎360の子会社によるアプリで、CNBCによると、すでにアップルのApp Storeでも入手できない。奇虎360はBusiness Insiderのコメント要請に対して回答していない。
中国はこれまで長い間、インターネットを検閲し、国内のユーザーがアクセスできるウェブサイトやサービスを厳しく制限してきた。その「グレート・ファイアーウォール」は、多くのアメリカのテック企業が何百万人もの中国ユーザーにアクセスすることを禁止しているが、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を使用することで、回避できるものもある。
Tuberは、中国ユーザーがVPNを使わずに禁止されているウェブサイトにアクセスできるようにするものだ。だがTechCrunchによるアプリの実験では「天安門」のような政治的にセンシティブな語句では検索結果が表示されず、依然として検閲されていることが明らかになった。またTuberを使用する際には電話番号の提供が必要なことも判明した。つまり、個人情報が政府機関に渡る可能性があるということだ。
Tuberがアプリストアから消えたというニュースは、米中間の緊張が高まっている中で報じられた。トランプ政権は、中国のアプリやサービスを取り締まっており、中国企業のバイトダンスが所有する人気のショートムービーアプリTikTokを禁止しようとしているのがその最たる例だ。さらに、トランプ大統領はテンセントが所有するソーシャルアプリWeChatの禁止も求めている。
アメリカ連邦裁判所は9月下旬、TikTokとWeChatを禁止するというトランプ大統領の措置を一時差し止めたが、今後については不透明だ。11月4日には公聴会が予定されており、政権によるTikTokの禁止を認めるかどうかを連邦裁判所が判断する。TikTokはアメリカでの事業売却の可能性についてオラクル(Oracle)と交渉中であり、この取引にはアメリカの規制当局の承認が必要となる。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)