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ワクチン開発を急ぐアメリカ…各社のワクチンを比較検討せずに見切り発車で承認へ

2020年7月27日、ノースカロライナ州にあるフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズの研究センターを訪問したトランプ大統領。同センターではCOVID-19のワクチンを開発している。

2020年7月27日、ノースカロライナ州にあるフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズの研究センターを訪問したトランプ大統領。同センターではCOVID-19のワクチンを開発している。

REUTERS/Carlos Barria

  • ニューヨーク・タイムズによると、アメリカで最初のコロナウイルスワクチンは、開発を急いでいることもあり、「中程度の効果」にとどまり、マスク着用の必要性を減らすことはできないかもしれないという。
  • アメリカは「マスタープロトコル」と呼ばれる異なるワクチンを相互に比較検討する方法を取らず、個々の製薬会社が独自に試験を行うことを奨励している。
  • このアプローチは迅速ではあるが、どのワクチンが最も効果的なのかを判断するのが難しくなる、とNYTは報じている。
  • ドナルド・トランプ大統領は、1月までにワクチンを準備したいと述べており、健康に関する規制を迂回してワクチンを承認する可能性を示唆している。

アメリカではCOVID-19のワクチン開発が急ピッチで進められているが、専門家によると、急ぎすぎることで効果が低下する可能性があるという。

ニューヨーク・タイムス(NYT)によると、コロナウイルスワクチンの開発を急ぐことを任務とするトランプ政権の「オペレーション・ワープ・スピード(OWS)」チームは、異なるワクチンの比較テストをやめ、個々の企業に個別にテストさせることにしたという。

「マスタープロトコル」と呼ばれる異なるタイプのワクチンを互いにテストする方法を取れば、どのワクチンが最も効果的であるかを知ることができ、より効果的なワクチン開発につながっただろう、とNYTは報じている。

しかし、OWS の責任者を務めるモンセフ・スラウイ(Moncef Slaoui)博士はBusiness Insiderの取材に対し、マスタープロトコルでは時間がかかりすぎると述べている。その代わり、企業はアメリカ政府が義務付けている同一の手順で安全性と有効性のデータを検証することで、より多くのワクチンを承認することが可能になるとスラウイ博士は述べた。

「OWSがすべてのワクチンをテストしていたら、その作業は20万人のボランティアを集めたとしても数ヵ月を要する」とスラウイ博士は電子メールで述べた。加えて、個々の製薬会社には、自社のワクチンが競合他社とどう違うかを明らかにする必要がない。

同じ環境で異なる種類のワクチンをテストしなければ、どのワクチンがより効果的かを知ることはできないだろう。その結果、各社は、効果が中程度で、マスクの必要性を減らせないワクチンを発売することになるかもしれない。

ドナルド・トランプ大統領は、ワクチン開発のスピードを大統領選挙の重要な論点にしている。彼はワクチンを2021年1月までには完成させると豪語しており、健康に関する規制を無視しても実験的なワクチンを承認することを示唆している。

ファイザー(Pfizer)、モデルナ(Moderna)、アストラゼネカ(AstraZeneca)の各社はいずれも、自社のCOVID-19ワクチンの有効性に関するデータを年内に発表すると述べている。専門家は、まずこのデータを調べて、安全に服用できるかどうかを判断し、その後に、有効性を判断することになる。科学者たちがBusiness Insiderに語ったところによると、ワクチンの有効性が50%、つまり、100人のうち50人がCOVID-19に感染してしまうものだと「がっかりする」だろうが、それでも「価値はある」という。

専門家たちはこれまでずっと、ワクチンを接種したからといって、生活がパンデミック以前に戻るとは考えないよう、注意を促してきた。ベイラー医科大学のワクチン研究者、マリア・エレナ・ボッタッツィ(Maria Elena Bottazzi)はBusiness Insiderに、最初のワクチンは病気の症状を軽減するが、感染の予防は期待できないと語っている。

[原文:The Trump administration's race to get a coronavirus vaccine means Americans may not know which treatment works best

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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