ロンドンにあるリーガル・アンド・ジェネラルのオフィスに掲げられたロゴ。
Reuters
- リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は同社の「気候影響誓約」の対象となる企業を1000社に拡大した。
- LGIMは、企業による環境への取り組みについて信号機のように赤、青、黄色で示すランキングを作成し、一般公開している。
- LGIMの発表によると、2019年からスコアが最も改善した10の企業のうち7社は、議決権の行使などの制裁の対象となっていた企業だった。
- 現時点の制裁対象リストには、エクソンモービルや中国建設銀行など、13の企業が載っている。LGIMは引き続き、気候変動への対応策がうまくいっていない、あるいはわずかな進歩しか見られない状況が続いている企業に対し、制裁を加えていくとしている。
1兆6000億ドル(約170兆円)の資産を管理するイギリス最大の資産運用会社、リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は、同社の「気候影響誓約(Climate Impact Pledge)」の対象となる企業を大幅に増やした。
気候変動抑制に関する国際的な協約、「パリ協定」が2015年に採択されて間もなく、LGIMは「気候影響誓約」を導入した。これは、6つのセクターにまたがる世界の大企業80社の気候変動対策を評価し、その取り組みの進展を促すものだった。
現在、LGIMは「気候影響誓約」の対象とする企業を1000社に拡大し、それらの企業による環境への取り組みについて信号機のように赤、青、黄色で示すランキングを作成し、一般公開している。
LGIMの「持続可能性と責任ある投資戦略」の責任者、メリアム・オミ(Meryam Omi)が同社のブログに投稿した記事によると、環境への影響が深刻な15のセクターから選ばれたこれらの企業は、全温室効果ガスの60%を排出しているという。
「気候変動への取り組みが活発化している今の勢いを加速させるために、LGIMは気候影響誓約のエンゲージメント・プログラムの積極的な取り組みを強化していく」とオミは述べた。
「我々は新たなデータと分析手法を活用して対象となるセクターと企業を大幅に増やし、市場の透明性を高め、企業がレジリエントな戦略を構築できるよう協力している。さらに『取り組みを結果につなげる』という我々の信条に基づき、議決権の行使や投資による制裁を通して企業に責任を果たしてもらうようにする」
LGIMはサスティナブル投資をリードする企業とみなされていて、国連主導で制定された責任投資原則(PRI)における「Leaders' Group 2020」に選定された。これは、PRIに署名し、かつ責任ある投資を実践して、気候変動へ向けた取り組みに関する情報開示にも積極的な団体が選ばれている。
LGIMは気候影響誓約の取り組みの1つとして、気候変動への対応策がうまくいっていない、あるいはわずかな進歩しか見られない状況が続いている企業について、制裁リストを作成している。
2020年10月に公開されたLGIMのレポートによると、2019年からスコアが最も伸びた10の企業のうち7社は、2019年の制裁リストに載っていた企業だった。現時点の制裁対象リストには、エクソンモービル(ExxonMobil)や中国建設銀行など、13の企業が載っている。
オミによると、規模の割にスコアの低い企業約500社は、持続可能性へのアプローチに関してLGIMが行った評価が詳細に記載された書簡を受け取ることになる。LGIMは引き続き、同社が課す最低限の基準を満たせない企業に対し、制裁を加えていくという。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)