英電気自動車(EV)ベンチャー、アライバル(Arrival)が物流大手UPSから受注した配送用EVバン。コスト、デザイン、効率性ともガソリン車を上回り、UPS側の運用コストを50%カットできるという。
提供:Arrival
- 米資産運用大手ブラックロックが、英電気自動車(EV)ベンチャーのアライバル(Arrival)に1億1800万ドル出資した。
- 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アライバルの評価額は今回の出資を含めて35億ドルに達した。
- アライバルはEVバスと商用EVバンの開発を進めており、航続距離は充電1回あたり最大300マイルという。
英EVベンチャーのアライバルは10月14日、米資産運用大手ブラックロックから1億1800万ドル(約124億円)の出資を受けたと発表した。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、この出資によりアライバルの評価額は35億ドル(約3675億円)となった。
ブラックロックの運用する資産は総額7兆ドル(約735兆円)、交通分野の環境企業への出資は今回が初めてではない。2019年には、EVピックアップトラック「R1T」を2021年に市場投入予定のリビアン(Rivian)に13億ドル(約1370億円)を投じている。
ロンドンに本拠を置くアライバルの設立は2015年。EVバスと商用EVバンを開発中で、同社のウェブサイトによれば、フル充電1回あたりの航続距離は300マイル(約480キロメートル)。
先行する出資企業は韓国の現代自動車(ヒュンダイ)、起亜自動車(キア・モータース)、米貨物輸送大手UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)。WSJの報道によれば、今回のブラックロックを含めた4社の保有する未公開株式を合計しても、筆頭株主の保有分には達しない。
アライバルは今回ブラックロックから調達した資金を、アメリカとヨーロッパに建設中の「マイクロファクトリー」(=高度な自動化・セル化により占有面積をしぼり込んだ工場)拡張を含む、生産設備の増強に使う。
そのおよそ3分の1にあたる4600万ドル(約48億3000万円)は、サウスカロライナ州のマイクロファクトリーに投じる。同工場は2021年夏に操業開始、冬には本格生産を始めるという。
米ノースカロライナ州に建設中のアライバル「マイクロファクトリー」。
Screenshot of Arrival Pressroom
現時点では、上記のマイクロファクトリー1カ所で年間1万台の商用バンあるいは年間1000台のバスを生産できるという。
アライバルの創業者で最高経営責任者(CEO)のデニス・スヴェドロフはこう語る。
「今回調達した資金は当社の成長拡大に投じる。今後、アメリカや他の新しい市場でのプレゼンスを拡大していく」
アライバルは商用EV市場への「本格参入」の端緒として、UPSからEVバン1万台を受注済み。さらに追加で1万台の追加受注も計画されている。
(翻訳・編集:川村力)