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北朝鮮の大型ミサイルをアナリストが分析…なぜ大型化したのか? その運用方法は?

Kim Jong Un

KCNA/ via REUTERS

  • 北朝鮮が、ほぼ3年ぶりに新しい大陸間弾道ミサイル(ICBM)を披露した。
  • この液体燃料ICBMは2017年にテストされた2つのICBMよりもさらに大型だが、まだテストされておらず、アナリストは北朝鮮がなぜそれを作ったのかを解明しようとしている。
  • このような大型の液体燃料ミサイルは、多弾頭化、長距離化、弾頭の大型化などが可能になるが、特に生き残ることが難しい。
  • 専門家は、北朝鮮がこの新しいミサイルを配備して運用するために、よりリスクが高いがより存続可能なアプローチを採用することを意図しているかもしれない語った。

北朝鮮の金正恩委員長は、10月10日の軍事パレードで披露した巨大な新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有しており、場合によってはこのミサイルが貴重な戦力となる可能性がある。

北朝鮮は2017年7月、最初のICBM 「火星14号」 を2回発射し、同年11月により大型の 「火星15号」 を発射した。

専門家は、この移動式液体燃料ミサイルが北朝鮮の長距離打撃能力と核抑止力を大幅に強化したとし、火星14号はアメリカの西海岸に到達する可能性があり、大型の火星15号はアメリカ本土全域を射程に収める可能性があると分析した。

北朝鮮が3年ぶり発表した新型ICBMは、あるアナリストによると、世界最大級の移動式液体燃料ミサイルだという。オープン・ニュークリア・ネットワークのメリッサ・ハナム(Melissa Hanham)副局長は、このミサイルを「モンスター」と呼んだ。

ハナムは北朝鮮が大型液体燃料ミサイルの開発を決めた理由について「多くの人が頭をかきむしっている」と語っている。

新型ミサイルはサイズが大きいことから、より大きな弾頭でより高い威力が得られる可能性があり、破壊力が増大することで命中精度の要求が減少する。また、北朝鮮がアメリカのミサイル防衛システムを圧倒するための多弾頭式への扉を開くものでもある。

しかし、こうした能力の向上は、北朝鮮がそれを行使するのに十分な時間がある場合にのみ重要だ。

北朝鮮の新しい大陸間弾道ミサイル。

北朝鮮の新しい大陸間弾道ミサイル。

Screenshot from KCTV broadcast

先制攻撃されない陸上移動型ICBM部隊を構築しようとするならば、ロシアと中国が実証しているように、間違いなく固体燃料ミサイルが好ましい選択だ。

固体燃料ミサイルは「使用する前に事前に燃料を補給する必要がない。衛星に察知されることもない。そして全体的に見て、安全に運用できる」と国際平和カーネギー基金・核ポリシープログラムのシニア・フェロー、アンキット・パンダ(Ankit Panda)はBusiness Insiderに述べている。

液体燃料ミサイルは「酸化剤と燃料が接触すると自然に爆発する推進剤を使用しているため、隊員がエキサイトする可能性がある危機的な状況下では、ほとんどの核保有国が使用したくないだろう」とパンダは語った。

固体燃料のミサイルは、ほとんど、あるいはまったく警告なしに発射できるが、北朝鮮の新型ミサイルのような大型液体燃料のミサイルは、準備により時間がかかり、敵の攻撃の脅威にさらされることになる。

ハナムによると、このミサイルは22輪の非常に大型の発射車両に搭載されていて、北朝鮮が安全に配備・運用するためには、このミサイルの架設を支援する人員や燃料トラックのほか、場合によってはクレーンも必要になるという。これらの装備や人員はすべて、上空からミサイルを探している人にとって「非常に大きな目に見える特徴になるだろう」とハナムは付け加えた。

さらに、ミサイルに燃料を補給するには何時間もかかる。

「これは、長距離攻撃能力を備えたアメリカにとっては先制攻撃の大きなチャンスだ」とパンダは述べた。

液体燃料を使ったミサイルの主な利点は、より大きな弾頭や多くの弾頭などをより遠くに発射できることだが、その代償として脆弱性が高まるのだ。

「このミサイルは、複数の弾頭を発射することができ、場合によってはアメリカ本土への侵入を支援するかもしれない」とハナムは述べた。

「その引き換えに、ミサイルの位置が探知しやすく、先制攻撃しやすい」

北朝鮮の新しい大陸間弾道ミサイル。

北朝鮮の新しい大陸間弾道ミサイル。

Screenshot from KCTV broadcast

「私が金正恩ならば、火星15号でかなり満足すると思う。私は液体燃料ミサイルにそれ以上の投資はしないだろう」と、オープン・ニュークリア・ネットワークのアナリスト、Xu TianranはBusiness Insiderに語った。しかし、この国は他にも液体燃料ミサイルを製造しているので、独自の運用方法を考えているかもしれない。

北朝鮮が検討している可能性のあるミサイルの配備方式には、リスクはかなり高いものの、より生き残る可能性が高いものがある。水平給油だ。

Xuによると、新型ミサイルは「水平のまま燃料を注入する能力を持っているかもしれないし、持っていないかもしれない」が、現時点ではその可能性を排除することはできないという。

中国は、1970年代に運用を始めた、北朝鮮の新型ICBMに似たサイズの古い液体燃料ICBM「DF-4」を山の下のトンネルに格納している。中国がそれらを発射するとしたら、トンネルのすぐ外に運び出し、すぐに立てて発射するだろう。

北朝鮮も同様のアプローチを取るために、水平のままで燃料を補給するかもしれない。またその方が架台に負荷がかからないという。

「安全性の観点からは、ミサイルを立てる前に燃料を補給することは望ましくない」とハナムは言う。

「しかし、北朝鮮が発射速度を上げるために選択するかもしれない」

「完全な作戦ではないが、彼らが一定のリスクを取ることは想像できる」と、ミドルベリー国際問題研究所のジェームズ・マーティン不拡散研究センターの東アジア不拡散プログラムの責任者であるジェフリー・ルイス(Jeffrey Lewis)はBusiness Insiderに語った。

北朝鮮の新しい大陸間弾道ミサイル。

北朝鮮の新しい大陸間弾道ミサイル。

Screenshot from KCTV broadcast

効果を得るためには「完璧である必要はない」とルイスは言う。

10日に行われた軍事パレードで、北朝鮮は4つの新しいICBMを披露した。これは、やろうと思えば、さらに多くのICBMを建造できることを示していまる。するとミサイルを全国に配置することができる。そので問題になるのは、アメリカがそれらをすべて時間内に見つけることができるかどうかだ。

「もし、1基でも発射に成功すれば、それはアメリカにとって最悪の日になる。抑止力として機能するレベルだと思う」とルイスは言う。

「このシステムの価値はそれが存在するということだと思う」

パンダは、新型ICBMについても、その進展を抑制する努力にもかかわらず、「北朝鮮がミサイル能力の質を向上させ続けていることを知らしめるもの」だと述べた。

また、北朝鮮が固体燃料ICBMを配備していないからといって、その開発に取り組んでいないわけではない。

「北朝鮮の兵器庫はパレードで見せてくれたものしか存在しないと思ってはいけない」とルイスは言う。

「北朝鮮にはまだ見せていない多くの能力があると思う」

[原文:Kim Jong Un's new 'monster' ICBM could pack a punch, but only if it survives long enough for North Korea to use it

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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