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東京進出した北欧のフードデリバリー「Wolt」、後発の秘策は“持続可能な宅配” ── 対Uber・出前館戦略語る

Wolt アプリ

10月22日、フードデリバリーのWoltが東京でサービスを開始する。

撮影:小林優多郎

フィンランドのフードデリバリーサービス・Wolt(ウォルト)は10月22日から、東京エリアへのサービス拡大を開始する。

Woltは2014年にフィンランド・ヘルシンキで生まれたスタートアップ企業。日本には2020年3月に広島、6月に札幌、7月に仙台、10月に呉(くれ)でサービスを展開。東京でのサービス展開は、10月22日午前10時より渋谷区を中心として順次拡大していく。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、需要が激増しているフードデリバリー市場。既に「出前館」「Uber Eats」など強力なライバルがいる中で、後発が見出す勝機とは?

東京進出を皮切りに「2年後に100都市」目指す

東京上陸を発表したカントリーマネージャー

東京進出を発表するWolt Japanカントリーマーケティングマネージャーの新宅暁氏。

撮影:小林優多郎

WoltはUber Eatsとほぼ同じビジネスモデルで、個別に契約したレストランの商品を、個人事業主(配達パートナー)を通じて、注文者(ユーザー)に届ける。

他社との違いとしてあげられるWoltの主な特徴は以下の3点だ。

  • 問い合わせから1分以内に対応する人力のサポート体制
  • “地域密着”をテーマにレストランを厳選、スタッフも原則現地もしくは移住した人材で確保
  • 1.5km以内であれば99円といった業界最低水準(Wolt調べ)の配達料金

既に展開中の23カ国100都市では、2万以上のレストラン、4万5000人以上の配達パートナー、7000以上のユーザーの規模を有している。

日本へのコミットメント

Woltが発表した日本市場に対してのコミットメント。

撮影:小林優多郎

また、東京進出にあたって、従業員の採用や加盟店確保のための営業費用、プロモーション費用として100億円の初期投資や、2020年中に日本国内で新規4都市、2年後には累計100都市へのコミットメントを発表。

10月16日の記者向け説明会で、WoltのCEOを務めるMiki Kuusi(ミキ・クーシ)氏は、経済規模として世界3位の日本では他国に比べてフードデリバリーの普及が進んでいない点を挙げ、日本を「大きな機会のあるマーケット」と表現。

広島などでのスモールスタートで培ったユーザーからのフィードバックをもとに、東京進出をきっかけとした日本のフードデリバリー市場への本格参入する姿勢を見せた。

“サステナビリティー”重視の事業を展開

Wolt CEO

Wolt CEOのMiki Kuusi氏はZoomでインタビューにこたえた。

撮影:小林優多郎

とはいえ、前述のとおり日本は、すでに大小さまざまな規模の事業者が市場でしのぎを削っている。

Woltの掲げる強みはいずれも、“高い利用体験”にある。ただ、ていねいなサービスだけで、“後発”となる日本市場で戦うことは難しいのではないか。

これに対し、クーシ氏は「グローバルでも競合はたくさんおり、ヨーロッパでは既に一定の成功を収めている」と述べ、日本においても他国と同様に「サステナブルなビジネスにできるか」が鍵だと語る。

Woltが考えるサステナビリティーとは、以下の様なフードデリバリーに関わるすべての人にとって持続可能なビジネスとしてバランスをとることだ。

Wolt の取り組み

Woltの取り組みの例。

撮影:小林優多郎

  • ユーザーが求める持続性……日常でも使い続けられる低廉な手数料と安心して使えるサポート体制
  • レストランが求める持続性……安定した収益性とていねいなサポート体制
  • 配達パートナーが求める持続性……安定した収益性ともしものトラブルに備えられる安全性

そのため、例えばギグワーカーである配達事業者には一定の報酬の保証やトラブル時の補償(詳細はサービス開始時に発表)などを提供する。

また、サポート体制は現地で雇用したスタッフで構成されており、ユーザーだけではなく、レストランや配達パートナーにも同様の対応を行っていく。

都市ごとに「1、2年で黒字化」を想定

Wolt イメージカット

Woltの宅配員と受け取り時のイメージ(現在は標準で“置き配”での配達となる)。

撮影:小林優多郎

とはいえ、それぞれのプレイヤーのニーズを叶えていくために投資を続けるだけでは、ビジネスとして成り立たないだろう。

その点についてもクーシ氏はWolt自身の事業の継続性について、次のように語る。

「これまでも(世界の)各都市で、参入から12〜24カ月で黒字化を果たしてきた。日本全体で言えばより長期的に目線が必要だが、日本の各都市でも同様の展開を想定している」(クーシ氏)

その自信の源は、創業の地・ヘルシンキでの成功にあるという。ヘルシンキは、悪天候かつ人口が少なく、労働単価の高い都市であり、運送時の人的コストがかかるフードデリバリーサービスにとっては比較的困難な地域ではある。

Woltの歩み

2014年にフィンランドで生まれ、ヨーロッパ各国、そして日本へと徐々に手を広げているWolt。

撮影:小林優多郎

そんな地域で黒字化をしたこと、ヘルシンキをはじめとする各都市で培ってきたシステム的な効率化のテクノロジーを持つことが、日本での成功を後押しする要因だ。

Woltの理想を下支えするテクノロジーが、先行するUberなどのライバルの持つものにどれほどの優位性があるのか、それは日本の各所で本格展開された後に、サービスを体験してみない限りはわからない。

同社のサステナビリティーを重視した戦略が日本市場でも広がるのか、労働環境の面でも注目の集まるフードデリバリー業界なだけに、注視していきたい。

(文、撮影・小林優多郎

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