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みずほ「週休3日制はコストカットではない」。“週5日働けなくなるのでは…”収入減へ不安も

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みずほFGが検討を発表した「週休3・4日制」に関心が高まっている。

撮影:今村拓馬

みずほフィナンシャルグループ(FG)が検討を発表した「週休3・4日制」。

Business Insider Japanが、週休3日制について読者にアンケートを実施したところ、8割以上が「普及してほしい」と回答し、期待の高さを感じさせる結果となった。

一方で、「基本給が維持されれば」という条件で、週休3日制にしたいと考えているのは約4割で、収入面での不安も大きいことが分かる。

みずほFGが導入を検討している制度では、週休3日だと基本給が8割、週休4日だと基本給は6割に減額になる。「実質的なコストカットにつなげる狙いではないか?」という指摘に対し、みずほFGは「あくまで希望する社員のみが使える制度だ」と説明している。

週休3日制への期待「趣味の時間増」が最多

週休3日制が普及して欲しい理由の集計結果

「『週休3日以上』について、今後、多くの企業で導入が進むことを期待してますか? 」という問いに「はい」と答えた人に質問。n=222

Business Insider Japan

Business Insider Japanでは2020年10月7日~19日、「週休3・4日制」に関する緊急アンケート調査をインターネットで実施し、252人が回答した。

「『週休3日以上』について、今後多くの企業で導入が進むことを期待していますか?」という質問には、大多数の86%が期待していると回答し、期待していないは7%だけだった。

期待する理由を複数回答で聞いたところ、「趣味に関する時間を増やしたい」が62%と最多で、「副業がしやすくなる」が57%、「スキルアップ・自己研鑽の時間が増える」が52%だった。

「育児」に関する時間を増やしたいが47%、「介護」に関する時間を増やしたいは26%だった。

その他の回答では、「育児・介護のために女性だけがキャリアを犠牲にしている。男性にも同等に選択できるようにしてほしい」(50代、製造業)という意見もあった。

「昇進の障害にならないか不安」

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基本給の減少については、考え方が二分される結果に。

撮影:今村拓馬

週休3日制度を使いたいかについては、基本給の減額の有無で判断が分かれた。

「基本給が減っても利用したい」は50%、一方で「基本給が維持されれば利用したい」41%と回答が割れた。「利用したくない」は6%だけだった。

週休3日・4日制のメリットについては、多様な働き方ができる点を挙げる声が多かった。

「休みが増えモチベーションがあがる。周りとのスケジュール調整が必要になるので、効率的に業務を進めようとする傾向が出る」(30代、卸業・小売業)

・「素晴らしい制度だと思います。パラレルワーカーなど色々な働き方がいっそう促進される」(30代、金融業・保険業)

導入の課題については、評価方法や、周囲の空気感を心配する声も。

「利用することが昇進の障害にはならないのか」(20代、その他サービス業)

・「職場内で理解者を増やせるかで働きやすさが変わりそう」(30代、教育・学習支援業)

・「給与が下がってしまうのは問題がある。成果に対して給料を払う考え方を定着させる必要がある」(20代、その他サービス業)

「週5日働きたくても、指名される恐れ」

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週休3日制について、人件費削減につながるという声も少なくなかった。

撮影:今村拓馬

週休3日制が定着するには、柔軟に制度が使えるかどうかが大事だという意見もあった。

・「日数と減給のぶんだけタスクも減らしてもらうことが必要。時期によって週5勤務に戻せるなどもできるようにする」(40代、そのほかサービス業)

・「勤務時間を延長し、給与は維持するタイプの週休3日制では、週休日が自己研鑽に充てる程の余力とはなりにくい」(30代、教育・学習支援業)

また週休3日制度が、コストカットの目的で設けられるのではないかという不安の声も根強い。

・「賃金を下げるのでは何の意味もない。賃金が同じで休みを増やさないとただの育児時短などと変わらない」(50代、製造業)

・「自分は週5日働きたくても会社から指名される恐れがある」(40代、製造業)

・「私自身もダブルワークや子育てを経験して、副業や自己研鑽の時間が本業仕事に活かせられて成長を感じられた。しかし、周りの人とこの話題で話した時に、新卒一括採用で企業内での昇進が第一という価値観がまだまだ根強い。今回のみずほの事案も単なる人件費削減という側面でしか見ていない人も多いと感じる」(30代、金融業・保険業)

みずほ「コストカットの狙いはない」

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みずほFGは「週休3・4日制を利用すれば、これまでは介護で離職せざるを得なかった職員も働き続けられる」と説明する。

撮影:今村拓馬

こうした不安にみずほFGはどう答えるのか?

みずほFG広報は「あくまで選択した社員が利用するための制度」と強調する。

「個人の人生設計において、働き方の選択肢を増やす目的です。コストカットという狙いはありません。

例えばこれまで介護のために退職せざるをえなかった職員でも、週休3日を選択することで、働き続けられるようになることに期待しています。優秀な職員に長く働いてもうための制度です

また、キャリアアップや専門性を磨く時間にもなると説明する。

「大学院に通いながら仕事をすることもできます。弊社だけの話ではなく、人生100年時代に長く社会に必要とされるスキルを身に着ける必要性があると思っています」

週休3日(週に4日勤務)の場合には基本給が8割、週休4日(週に3日勤務)の場合に基本給が6割になることについては、「例えば100働く社員と、80、60の働く社員が同じ給与にはならない」としている。

「週休3・4日制」の導入が、コストカットを目的にした制度ではないかと言う意見については、「まったく別の話です」と否定した。

日本IBMでは2004年に「短時間勤務制度」

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日本IBMは早くから柔軟な働き方の推進を進めてきたことで知られている。

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実際に「週休3日」を選択できる企業では、どのように制度が使われているのか?

日本IBMでは2004年から、勤務時間を6割か8割に減らす「短時間勤務制度」を導入した。また2009年には、コアタイムをなくし1カ月の労働時間だけを6割か8割に決める「フレックス短時間勤務制度」も追加した。

2004年に制度を始めて以降、短時間勤務の制度を利用したのは延べ数千人(人数の詳細は非公表)。時短勤務制度を使う目的としては、7割が育児を理由にしており、副業のための短時間勤務はほぼないという。

「会社として週休3日制などを打ち出しているわけではなく、育児や介護、妊活、スキルアップなどそれぞれの事情に応じた働き方を選択できるようにしています。

私は短時間勤務を使わずに、夜間のビジネススクールに2年間通っていました。週休3日にしている社員の中には、博士課程に通っている社員もいます」(日本IBM ダイバーシティー&インクルージョン担当パートナー杉田緑氏)

一方で、短時間勤務を選んだ場合は、基本給は減額になる。

「収入面を理解した上で、短時間勤務を選ぶのか、通常の勤務時間の中で調整するのか、判断してもらっています」(杉田氏)

高まるスキルアップの重要性

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コロナの影響で「週休3日制」に注目が集まっている。

撮影:今村拓馬

働き方について研究している、第一生命経済研究所の的場康子・主席研究員は、週休3日の議論はコロナの影響で加速していると指摘する。

在宅勤務や時差出勤が普及したことで、働く時間の自由度が高まった影響が大きい。働く時間を自由に決められることで、週休を増やすという流れにつながったと思います」

今後も週休3日制を含め、時間にとらわれない働き方は広がっていくとみている。

「コロナ前であれば、大企業のホワイトカラーに週休3日制が導入されるとは、あまり考えられませんでした。例えば、1日勤務時間を増やして、週休3日にするような働き方は、ホワイトカラーだけでなく、シフトを見直すなど現場で働く人たちにも広がっていくと予想されます」(的場氏)

一方で、週休について従業員側が選択できる選択肢を広がることで、より主体的に働き方を決める必要が出てくるという。

「デジタル化により産業構造が変わる中で、どう生きていくのかが問われています。週休を増やす分、収入が減る制度を使うのであれば、どのように収入を確保するのかも考えないといけません。

増えた休日に副業したり、兼業して別の会社で働いたりできる時代になりましたが、その流れにどう対応していくのか、スキルアップや学びなおしに目を向ける必要性が高まると思います」(的場氏)

みずほでは2019年10月、それまで禁止されていた兼業・副業を解禁。 全日本空輸(ANA)でも社員の副業を認める方針で、大手企業が副業を解禁する流れが続く。

しかし、コロナによって景況感が悪化していることに加え、副業で稼ぐためのスキルやノウハウの習得は不可欠だ。週休3日制で基本給が減る場合に、すぐに副業で減収分を補える人は多くは多くはないのが実情だろう。

自由に働き方を選べるということは、同時に、生き残るための新たな戦略が求められているとも言える。

(文・横山耕太郎

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