アマゾンが最近お披露目した電気自動車(EV)配送バンについて、ドライバーに感想を聞いた。
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- アマゾンは電気自動車(EV)ベンチャー・リビアン(Rivian)に発注済みの配送用EVバンを先行公開した。
- Business Insiderはこの新型EVについて、アマゾンの配送ドライバーに感想を聞いてみた。
- シングルスピードのギヤボックス、低い重心、配送専用に設計されたドア、いずれも現行のガソリン車が抱える問題を解決してくれるものだという。
10月上旬、アマゾンはEVスタートアップのリビアンに発注した新型配送用バンの実車を公開した。2022年前半のデビュー予定で、2030年までに合計10万台の投入が計画されている。
アマゾンは10月8日のブログで、運転支援テクノロジーや360度の視界をもたらしてくれるカメラ、音声アシスタント「アレクサ」を活用したツールなど、新たな機能をアピールした。
Business Insiderはアマゾンの配送ドライバーに取材。リビアン製の新型EVバンへの感想と、特に重要と思われる機能について聞いた。大枠好印象、というのが彼の結論だった。
マルチスピードのギヤボックスはもちろん必要ナシ
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取材したドライバーによると、現行の配送車は適切なギアを把握できないことがままあるという。要するに、望むスピードまで加速するのに苦労したり、下り坂でスピードが出すぎたり、マニュアルでのギア操作が厄介ということだ。
リビアンのプラットフォームは他のEVと同様にシングルスピードギヤボックスを採用。ギア操作を間違えてエンストしたりすることはない。
重心が低くなった
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EVは床下にバッテリー(車載電池)を配置することが多く、おかげで重心が低くなり、操作性の改善につながる。とくに、配送バンのような高さのある車種の場合、歩行者や障害物を避けようとして急にステアリングを切る際、重心が低いと転倒するおそれが低くなる。
朝方にバッテリーが上がっている心配がない
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取材したドライバーによると、シフト表に従って割り当てられた車両に乗ろうと思ったらバッテリーが上がっていて動けない、というケースがときどきあるという。しかし、EVバンの場合、配送センターにチャージャー(充電器)が備えつけてあるので、朝には常にフル充電で配送作業をスタートできる。
ドアはくり返し開閉することを想定して設計
荷物の配置がしやすいよう貨物室にも工夫がある。
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アマゾンの現行の配送車のなかには、毎日の配送作業で摩耗など劣化することを想定した設計になっていないものもある。とくに背部ドア(リアハッチ)は何度も開閉すると破損するおそれがある。
しかし、リビアンのEVバンはこうしたユースケースを想定して、「間違いなく破損の可能性を最小化する設計になる」と、取材したドライバーは語る。
航続距離についての不安は?
アマゾンが公開した「同社初採用の完全電動配送車」のPRムービー。
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取材したドライバーは、新たなEVバンの航続距離に詳しくないので、配送センターや充電ステーションから離れた配送先に出向く際に何かしら問題が生じるか、現時点では何とも言えないと語った。
アマゾンの本件担当によると、リビアンのEVバンの航続距離は150マイル(約241キロ)で、通常の(配送センターを拠点とした)通常ルート以外での使用は想定されていないという。
(翻訳・編集:川村力)