企業価値1800億円、勢いに乗るD2C靴ブランド「オールバーズ」が初のアパレル進出

オールバーズアパレル

スニーカーD2Cの「オールバーズ」は10月20日、アパレルへの進出を発表した。

画像:オールバーズ

サンフランシスコ発のシューズブランド「Allbirds(オールバーズ)」は10月20日、アパレルへの進出を発表した。

2016年に創業した同社は、タイム誌が選んだ「世界一履き心地の良い靴」にも選ばれた他、レオナルド・ディカプリオなどのセレブリティが出資を決めたことでも話題を集めた。ウォール・ストリートジャーナルの9月27日の報道によると、同社は新たに1億ドル(約105億円)を調達。シリーズEラウンドで企業価値は17億ドル(約1785億円)になったという。

2020年1月には日本に上陸。日本市場での売り上げの数字は公開していないが、世界の22店舗ある実店舗の中で、日本(原宿店)が一番の売り上げを誇っているという。

上陸時、共同創業者のジョーイ・ズウィリンジャー氏はBusiness Insider Japanの単独取材で、シューズの次となる商品ラインナップを準備していると明かしていた。

最初のラインナップはTシャツ(6300円/税込)、ウールカーディガン(1万9000円/税込)、ウールジャンパー(1万7500円/税込)の3つ。11月初旬からはジャケットの一種、パファー(3万3000円/税込)も展開する。

オールバーズアパレル

オールバーズのアパレルラインナップ(写真はウィメンズ)。4アイテムからスタートする。

画像:オールバーズ

原材料に自然素材を活用していることと、無地でシンプルなデザインは、すべての製品に引き継がれている。

気鋭D2Cブランドの明暗…集団訴訟の例も

Casper

2020年2月に上場したマットレスD2C「キャスパー」は株価低迷に苦しんでいる。

Getty Images / Lukas Jackson

小売店を介さず、インスタグラムやFacebookで顧客と直接つながり、オンラインのみで製品を販売する「D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」と呼ばれるビジネスモデルは、ここ数年で一気に広まった。

2014年にアメリカ・ニューヨークで創業したマットレスのD2Cブランド「Casper(キャスパー)」、メガネの「Warby Parker(ワービー・パーカー)」やコスメの「Glossier(グロッシアー)」、アパレルの「Everlane(エバーレーン)」……。

ここ1年ほどで、D2Cの中から企業価値が1000億円を超えるユニコーン企業も続々と誕生している。オールバーズはシューズ分野で成功したD2Cブランドの代表例として取り上げられることも多い。

デジタルな販売網、テクノロジーを駆使した製品デザイン、ユーザーにまずストーリーを共有するという購入体験など、D2Cビジネスは、製品の「売り方」の革命だとしてもてはやされてきた。

Glossier

2014年に創業したコスメD2C「グロッシアー」。

画像:Glossierサイトより

しかし2020年に入り、D2Cの今後を不安視する声も市場から上がっている。

マットレスのキャスパーは1月に新規株式公開(IPO)を果たしたが、CBインサイツなどによると、公募価格は12ドルとなり、上場直後の時価総額は上場前の企業価値の半分以下にとどまった(10月19日時点では、キャスパーの株価は1株8ドルにまで低迷している)

このことにより、キャスパーは投資家らから集団訴訟を提起されているという。

こうしたD2Cビジネスの苦境の背景として、ブランド競争の激化と、それに伴うSNS広告費の上昇をハーバード・ビジネス・レビューは挙げている

オールバーズはアパレルにも、ブランド理念である「right amount of nothing(ちょうど良い何も無さ)」を掲げ、サステナブルでミニマリズムを体現したブランド展開を続ける、としている。

すでにユニコーン企業の仲間入りを果たしたオールバーズが、今後も躍進を続けることができるのか。「オールバーズアパレル」が試金石になるといえそうだ。

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