太陽系外惑星K2-18b(右)、その主星である赤色矮星K2-18(左)、K2-18を公転する別の惑星K2-18c(中央)の想像図。K2-18bは、生命活動の維持に関わる水と温度を持つスーパーアースだ。
- 天文学者は、地球のような惑星を持っている可能性のある太陽のような恒星を1004個確認している。
- その太陽系外惑星に、知性を持ったエイリアンがいるとしたら、彼らは地球にある生命の足跡を発見しているだろう。
- 研究者らは、これらの惑星が、地球外生命体を探索するに当たっての主要なターゲットになると述べている。我々がエイリアンの存在を知り、エイリアンも我々の存在を知っていれば、コミュニケーションが取れるチャンスが高まるだろう。
もし我々の銀河系にエイリアンがいるとすれば、彼らはすでに我々のことを知っているかもしれない。
2人の天文学者が1004個の太陽のような恒星を発見した。これらを周回する惑星の中には、地球のような星が存在する可能性がある。そこに知性を持ったエイリアンがいるとしたら、彼らは地球を発見し、生命が発する化学的なサインを見つけることだろう。
それは、これらの惑星の視点からは、地球が公転するたびに、小さな黒い点として燃え盛る太陽の前を通過する様子が見えるからだ。
このように惑星が主星(恒星)の光を遮りながら通過する現象をトランジットという。地球の天文学者は、太陽系外惑星を発見するために、トランジットする小さな黒い点を観測する。この方法により、わずか11年で3000個以上の惑星が発見された。
トランジットの際に、恒星の光がどのように変化するかを測定することで、その惑星の大きさや、場合によっては大気の組成を知ることができる。知性を持つエイリアンであれば、地球に関してこれと同じことができるはずだ。そうなると、彼らは地球に生命の兆候を見出すだろう。植物が大気を酸素で満たし、亜酸化窒素がバクテリアによって生成されているといったことだ。亜酸化窒素は生物学的プロセスを経なければ出現しない。
「もし、活気にあふれた生物圏を持つ惑星が発見されたら、そこに誰かがいて、我々を眺めているのだろうかと、きっと気になってしまうだろう」と、新たな論文の著者で、コーネル大学のカール・セーガン研究所のディレクターを務めるリサ・カルテネッガー(Lisa Kaltenegger)は、プレスリリースで述べた。彼女は共著者のリーハイ大学物理学教授、ジョシュア・ペッパー(Joshua Pepper)とともに、王立天文学会月報に10月20日付で論文を発表した。
彼女たちが発見した惑星はすべて地球から326光年以内の距離に存在する。これらの惑星が、エイリアンを探索するに当たっての主要なターゲットになる。我々がエイリアンの存在を知り、エイリアンも我々の存在に気が付けば、コミュニケーションを取るチャンスが生まれるかもしれない。
「我々を見つけ出すことができ、交流を図りたいという知的生命体を探す場合に、どこを最初に見ればいいのかを示す星図を作成した」とカルテネッガーは述べている。
カルテネッガーとペッパーは、NASAがトランジット系外惑星探索衛星(TESS)の探索ターゲットとした恒星のリストから、分析する恒星を選び出した。TESSは全天の約75%をスキャンし、新しい惑星数十個と、天文学者が確認中の惑星候補約2000個を発見している。
カルテネッガーらは、信頼できるデータのない恒星はリストから除外したため、地球を見ることができる位置にある惑星を有する恒星は、1004個よりもずっと多いかもしれない。このリストの中で、これまで惑星の存在が確認されたのは2つの恒星だけだ。だが、ほとんどの恒星が惑星を有することから、天文学者は、我々の銀河系の中にある何十億もの恒星の中には、居住可能な惑星を有するものもあると考えている。
「太陽系外惑星のごく一部だけが、地球からの視界に入り、トランジットする様子を観測できる」とペッパーはプレスリリースで述べた。
「だが、我々がリスト化した地球近隣の1004個の恒星はすべて、地球が太陽の前をトランジットする様子を見ることができるので、知的生命体がいれば興味を持つことだろう」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)