開発凍結の方針と報じられた三菱重工業の「スペースジェット」(旧MRJ)。
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共同通信などが10月22日に「事業を凍結する方向で最終調整」と報じていた、三菱重工業による国産初のジェット旅客機(スペースジェット、旧MRJ)開発プロジェクトについて、同社がコメントを発表した。
以下に全文を掲載する。
10月22日(木)以降、共同通信等の報道において、SpaceJet事業に関する報道がありましたが、これは当社及び当社子会社である三菱航空機株式会社(取締役社長:丹羽高興、本社:愛知県西春日井郡豊山町)が発表したものではありません。
SpaceJet事業については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響も踏まえ、引き続き開発スケジュールの精査を行うとともに、現下の当社グループを取り巻く厳しい状況を考慮した適正な規模の予算で開発を推進しております。
こうした中で、様々な可能性を検討していることは事実ですが、開発の凍結を決定した事実はありません。
SpaceJet事業も含めた、当社グループの次期事業計画については、10月30日に公表予定の当社2020年度第2四半期決算とあわせて、お知らせする予定です。
10月23日発表の三菱重工業プレスリリース。
Screenshot of Mitsubishi Heavy Industries press release
MRJは2008年に開発を開始し、これまでに世界中から400機以上の受注を獲得。2019年には名称をMRJから「スペースジェット(Spacejet)」に変更、さらに大規模なモデルの開発も検討し始めていた。
しかし、たび重なる開発遅延による納品の延期がくり返され、近年は100機規模の受注キャンセルが発生。今年2月にも、年内に予定していた量産機の引き渡しを2021年度以降に見直す方針を示すなど、開発や営業活動の先行きが不安視されていた。
(文:川村力・三ツ村崇志)