2019年5月16日、フランス、パリで撮影。
Chesnot/Getty Images
- 中国の億万長者であるジャック・マー氏は、世界の金融規制を司る人たちは「老人クラブ」のようなものであり、既存のルールは中国には適していないと述べた。
- 「昨日の手法を未来の規制に使うことはできない」と、マー氏は上海での会議で語ったとフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。
- このコメントは、マー氏のフィンテック企業、アント・グループが、中国でのIPOに向けて準備を進めている中で行われた。同グループの評価額は2000億ドル以上と言われており、ゴールドマン・サックスのような世界的な銀行を上回る可能性がある。
- 同社は過去に、中国の銀行事業に進出して何百万人もの顧客を奪い取ったことから、規制当局から注視されている。
ジャック・マー(Jack Ma)氏は、国際的な金融規制の背後にいる政策立案者を批判し、既存のフレームワークはスマートフォンアプリやその他のテクノロジーを活用する21世紀の世界では時代遅れのルールブックだと述べた。
タイムズによると、アリババ(Alibaba)の創業者で億万長者のマー氏は、上海で開催されたカンファレンスでこのように述べたという。報道によると、彼は、世界中の金融機関を監督するための銀行規制に言及し、「バーゼル合意は老人クラブのようなものだ。未来を規制するために昨日の方法を使うことはできない」と述べたという。
フィナンシャル・タイムズによると、同氏は、このルールは中国の開発やイノベーションには適しておらず、発展途上国や若い消費者に与えられるべき機会を排除していると述べたという。
アント・グループにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ジャック・マー氏は中国の持ち株会社アリババの創業者であり、同社が運営するオンラインマーケットは中国の小売業界を支配し、「中国のアマゾン」と呼ばれることもある。アント・グループはアリババ・グループのフィンテック企業で、アメリカにおけるペイパル(PayPal)のように中国人の間で広く使われている決済処理サービス、アリペイ(Alipay)の親会社としても知られている。
アント・グループは、世界で最も価値のあるフィンテック企業と言われ、その評価額は2000億ドル以上とされている。同社は香港と上海での同時上場を準備中で、ブルームバーグの報道によると、上海市場での価格は1株当たり68.8元(約1080円)、香港は80香港ドル(約1080円)に決まった。
アント・グループはこれまで、中国での銀行事業に参入して数百万人の顧客を奪い取ったとして批判を浴びてきた。同社が立ち上げたファンドは6億人以上の投資家を集め、世界最大規模に膨れ上がった。これは中国の人口の3分の1に相当する。このファンドは中国の金融システムに大きな影響を与え、「吸血鬼」と呼ばれたという。
アント・グループは企業イメージを、金融会社ではなくテックサービス・プロバイダーに変えようとしており、6月には社名をアント・フィナンシャル・サービスからアント・グループに変更した。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)