電動ピックアップトラック「ハマーEV」はガソリン車版「ハマー」のファンを惹きつけられるか。
Screenshot of GMC brand website
- 米ゼネラル・モーターズ(GM)はピックアップトラック「ハマー(Hummer)」の電気自動車(EV)版を2022年に発売する。
- GMの同車担当プロダクト・マーケティング・ディレクターは、オンロードとオフロードそれぞれにおける性能の高さとその組み合わせによって、EVに半信半疑の消費者も満足させられると強調する。
ハマー電動化の発表は、大量のガソリンを消費する多目的スポーツ車(SUV)を看板製品としてきたGMにとって、方針転換を示唆する画期的な宣言と言っていいだろう。
ハマーEVは「GMC」ブランドから発売されるピックアップトラック。GMのコアビジネス部門では、1990年代に登場した「EV1」、プラグインハイブリッド車(PHV)の「シボレー・ボルト」、2016年発売の「シボレー・ボルトEV」に続く、次世代EVラインナップの最先鋒としての位置づけとなる。
GMはこのハマーEVを含め、2023年までに少なくともEV20車種を市場投入しようとしている。
しかし、その計画が成功をおさめるにはまず、ガソリン車をいまだにこよなく愛する消費者を納得させ、新たなテクノロジーに移行させなくてはならない(2019年のアメリカ自動車市場の2%を占めるにすぎない)。
そこでGMが考えたのは、ガソリン車の一番人気モデルを電動化してリリースすることだ。
「ハマーEV」のインテリアビュー。
Screenshot of GMC brand website
先行するEV1、ボルトプラグインハイブリッド、ボルトEVは、いずれもセダンあるいはコンパクトカーに分類される車種。近年はSUVやピックアップトラックに人気を奪われている。
ただ、GMCブランドの公式YouTubeアカウントで公開されているハマーEVのプロモーション動画を見ると、昨今の消費者の趣向に寄り添って、スピードや起伏の多いオフロードでの操作性が強調されている。消費者にとっては、環境性能の高さより、購入したそのクルマで何ができるのかが重要という認識だ。
GMが公開しているハマーEVのプロモーション動画。
GMC YouTube Offical Channel
では、EVに疑念の目を向けるガソリン車版ハマーのファンをどう納得させるのか、ハマーEVのプロダクトマーケティングディレクター、ヘザー・ヴーに聞くと、オンロードとオフロードそれぞれにおける性能の高さとその組み合わせの絶妙さは、GMの他車種では得られないと彼女は指摘した。
GMによれば、ハマーEVは1000馬力、最大トルク1万1500ポンドフィート、航続距離は350マイル。斜め走行機能(「クラブ・モード」)とグランドクリアランスを6インチ引き上げるサスペンションを装備する。
また、ハマーEVの多用途性は、これから先に市場投入を控えるピックアップトラック市場の競合、テスラ「サイバートラック」やリビアン(Rivian)「R1T」とは一線を画するという。
「現在のピックアップトラック市場にハマーEVのようなクルマは存在しないし、これからも出てこないでしょう」(ヘザー・ヴー)
(翻訳・編集:川村力)