Rudy's Vegan Butcher
- イギリス初の完全菜食肉店が「世界ビーガン・デー」の11月1日、オープンする。
- ロンドンのイズリントンにある「ルディーズ」は、プルドポークやペパロニ、さらにはフル・イングリッシュ・ブレックファストの食材など、通常の肉屋に並ぶ商品の「ミートフリー・バージョン」を販売する。
- イギリスの人口に占めるビーガンの割合は1%に過ぎないものの、「ミートフリー市場」は活況を呈している。
新鮮な肉を売る普通の肉屋に見えるかもしれないが、ロンドンのイズリントンにある「ルディーズ(Rudy's)」は、厳格なビーガン(完全菜食主義)の店だ。イギリス初の完全菜食の肉屋として、「世界ビーガン・デー」の11月1日にオープンする。
店内は普通の肉屋に見えるが、代替肉だけを販売する。
Rudy's Vegan Butcher
ルディーズでは、従来の食肉製品を代替肉だけで製造したものが販売される。
例えば、ビーガン向けのプルドポーク(調理した豚肉をほぐしたもの)やミートボールのほか、「ロブスターサラダ」や、チリコンカーン(chili con carne)ならぬ「チリ“ノン”カーン(chili non carne)」といった惣菜だ。
ルディーズの商品を使えば、自宅でビーガン向けフル・イングリッシュ・ブレックファストを作ることができ、ほかにも多くの肉料理を、動物を殺すことなく作ることができる。
Rudy's Vegan Butcher
これらの代替肉製品は、大豆やグルテンミートを原料とし、肉の食感や味に似せて作られている。
ルディーズには、肉や乳製品を使わずに製造されたベーコン、スクランブルエッグ、ブラック・プディング(血液の腸詰)の代替品など、ビーガン向けのフル・イングリッシュ・ブレックファストを作るのに必要なものがすべてそろっている。
ルディーズでは、血のソーセージの一種であるブラック・プディングの代替品が、ビーガン向けに販売されている。
Rudy's Vegan Butcher
ビーガン向けのスモークハム、プロバンス風サラミ、ペパロニ、パストラミといった代替肉の加工品のほか、クリスマスに向けてビーガン・ターキーも販売される。
さまざまなビーガン向け代替肉加工品が販売されている。
Rudy's Vegan Butcher
ルディーズでは、ビーガン向けという特性を強調するために、製品の多くの名前を工夫している。鶏肉のchickinをもじって「“chick'n” lover pâté」にするといった具合だ。
同店ではイギリス国内向けに発送も行う。オープン初日に注文すると、無料のベーコン(Bacon)ならぬ「ベイコン(baycon)」が1パックついてくるという。
ルディーズのオーナーは、ロンドンのカムデン・タウンで、同名のアメリカンスタイルのダイナーを成功させており、今回の開店はそれに続くものだ。2018年4月にオープンしたダイナーでは、ビーガン向けのホットドッグ、モッツァレラ・スティック、バッファロー・ウィング、ミルクセーキを販売している。
ルディーズのオーナーは、2018年にロンドンでビーガン向けダイナーをオープンさせた。
Rudy's Vegan Diner
ビーガンはイギリス人のわずか1%―それでも「ミートフリー市場」はブームに
イギリスでは代替肉市場が活況を呈している。イギリスの市場調査会社ミンテル(Mintel)のアナリストが行った調査によると、植物由来食品の売上高は2014年から2019年の間に40%増加し、年間約8億1600万ポンド(約1100億円)となった。2024年には11億ポンド(1500億円)以上に増加すると予測されている。
その調査によると、2019年に発売されたイギリスの食品の新製品は、その23%がビーガン向けだった。
ミンテルは2020年1月に、イギリス人のビーガンは1%に過ぎず、これは過去2年間であまり変わっていないと述べた。その代わり、「準菜食主義(フレキシタリアン)」への人気が高まっており、ビーガン向け食品の需要が伸びたのはそれが原因だと、同社のグローバル飲食品アナリスト、ケイト・ヴリエットストラ(Kate Vlietstra)は述べた。
「多くの消費者は、植物性の食品はより健康的だと認識しており、この考え方が近年の肉類消費量の減少の要因となっている」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)