マイクロソフトのビジネスチャットアプリ「Teams(チームズ)」のユーザー数増加が止まらない。
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- マイクロソフトのビジネスチャットアプリ「Teams(チームズ)」の日間アクティブユーザーが1億1500万人を超えた。10月27日に同社のサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)が発表した。
- 4月後半の時点では7500万人だったが、新型コロナ感染拡大の影響でリモートワークへのシフトが進んだのが追い風になった。
- Slack(スラック)などの競合企業は、「Office(オフィス)365」のサブスクリプションにTeamsをバンドリングするマイクロソフトの手法を批判し、とりわけSlackは公正な競争を妨げているとして競争法違反の苦情申し立てにおよんでいる。
- また、「Power Platform(パワープラットフォーム)」は、月間アクティブユーザーが1000万人を超えたという。
マイクロソフト「Teams」の日間アクティブユーザーが1億1500万人を超えた。4月後半の時点では7500万人だったが、新型コロナ感染拡大の影響でリモートワークへのシフトが進んだのが追い風になった。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが、第1四半期決算に伴う投資家向けカンファレンスコールのなかで、最新の数字を明らかにした。
業務アプリケーションの開発およびデータの収集分析をコーディングなしで実現できるマイクロソフトのソフトウェアパッケージ「Power Platform」の月間アクティブユーザーは1000万人を超えたという。
2019年後半の時点で、マイクロソフトは(Power Platformを使った業務アプリの)「月間アクティブディベロッパー」が300万人いるとしており、そこから1年で3倍以上に膨れ上がったことになる。
Teamsはマイクロソフトが提供するコラボレーションおよびコミュニケーション円滑化ツールで、SlackやZoom(ズーム)、Google Meetといったビデオ会議・メッセージアプリとの競合において重要性を増してきている。
マイクロソフトはTeamsを生産性向上ツール「Office 365」とバンドリングして提供しており、そのため、見込み顧客を広く想定できる強みがある。同社はOffice 365の売上高が前年同期比21%増、サブスクリプション契約数が15%増えたことを明らかにしている。
マイクロソフトはTeams単体の売上高は発表していないが、Office製品、Dynamics(ダイナミクス)製品、LinkedIn(リンクトイン)およびクラウドサービスを含む「生産性およびビジネスプロセス」部門の第1四半期売上高が、前年同期比13%増の123億ドル(約1兆3000億円)になったとしている。
Teamsのユーザーはパンデミックの影響で急激に増加しており、3月半ば時点で日間アクティブユーザー数は4400万人だったが、4月後半には7500万人、10月27日の発表では1億1500万人を超えた。
経営陣への評価手法を「Teams寄り」に変更
「Teams」は日間アクティブユーザー数が1億1500万人を超えた。
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また、Teamsはユーザーのみならず、マイクロソフトの経営陣にとっても重要性が増している。同社がTeamsの成長を最優先する戦略に転換し、役員に対するストックオプション付与の方法を変更したことがその理由だ。
マイクロソフトの役員向け業績連動型ストックオプションは、クラウドサービスの売上高やサブスク契約数、定額ゲームサービス「Xbox Game Pass」の契約者数、「Surface(サーフェス)」PCの売上高、LinkedInのセッション数といった指標をもとに決められている。
それらの指標の評価配分が最近になって変更された。
Teamsの月間アクティブユーザー数が2倍の20%に、法人向けクラウドサービスの売上高が35%から33%に、クラウドサービス契約数が34%から32%に、他の指標がそれぞれ7%から5%へと引き下げられたことで、Teamsの成長の重要性が一気に高まったわけだ。
競合のSlackは今年7月、マイクロソフトが競争法に違反しているとして欧州委員会に苦情を申し立てている。TeamsがOffice 365のバンドリングアプリとしてデフォルトでインストールされることが公正な競争の妨げになるというのがその主旨だ。
マイクロソフト側は声明を出し、ユーザーがTeamsを選ぶのは(デフォルトでインストールされるからではなく)ビデオ会議を必要としているからで、Slackにその機能が欠如していることは大きなマイナスだ、と指摘している。
(翻訳・編集:川村力)