- YouTubeのパートナープログラムは、インフルエンサーが自分のYouTubeチャンネルの動画に広告を埋め込むことで収入を得られるようにしている。
- 広告はGoogleが掲載し、動画の再生時間、長さ、視聴者の年齢層などをもとに投稿者に金額を支払う。同じ100万回再生でも収益に300万円以上の差がつくこともある。
- 再生回数10万回、100万回、1億5000万回の動画はYouTubeで累計どのくらいの収入を得られるのか、トップインフルエンサーたちが明かしてくれた。
YouTubeが投稿者に支払う動画の単価はさまざまな要因で決まる。中でも大きな要因は再生回数だ。
登録者数1000人および総再生時間4000時間を超えると、YouTubeのパートナープログラムに参加し、広告収入を得られるようになる。広告はGoogleによって審査され、投稿者がいくら得られるかは、動画の再生時間、長さ、動画の種類、視聴者の年齢層、その他の要素によって決まる。
トップ投稿者の中には、収益を最大化するために広告掲載の戦略を立てている人もいる。
例えば、パーソナルファイナンスのインフルエンサーであるアンドレイ・ジク(Andrei Jikh)がBusiness Insiderに明かしてくれたのは、8分以上の動画に挿入できるミッドロール広告を使うと収入が上がるということだ。視聴者がスキップできるタイプとできないタイプがあり、投稿者が手動で挿入することも、YouTubeによって自動的に挿入することも可能だ。
また、収入を増やすために避けた方がいいこともある。例えば、汚い言葉が含まれる動画や著作権のある音楽を使用した動画はYouTubeによって収益化対象から外され、投稿者はほとんど(あるいはまったく)収入を得られなくなる。
大物ユーチューバーの一人、デビッド・ドブリク(David Dobrik)はかつてインタビューにこう答えている。毎週投稿している動画の再生回数は平均1000万回に達しているにも関わらず、YouTubeから直接得られる収入は月約2000ドル(約20万円)なのだ、と。実は収入のほとんどはYouTubeからではなく、パートナーシップを組むSeatGeekのようなスポンサーから得ているのだ。
それでは、再生数10万回、100万回、1億5000万回の動画投稿者ごとに、実際YouTubeからいくら収入を得ているのかを見てみよう。
再生回数10万回:500~2500ドル
ナタリー・バルブ
提供:Natalie Barbu
再生回数10万回のYouTube動画の場合、Googleが表示する広告から累計でいくら稼げるかは、動画のコンテンツとそれを観る視聴者によって違うのだが、トップユーチューバーでさえ、この事実に気づかないことがある。
ナタリー・バルブ(Natalie Barbu)がYouTubeチャンネルを始めたのは8年前、まだ高校生の頃だった。
当時は放課後の趣味としてファッションや美容に関する動画を投稿していたが、それがお金になると知ったのはだいぶ後のことだったとBusiness Insiderに語っている。
今や彼女は登録者数28万4000人を誇るユーチューバーであり、日々の出来事を撮影した動画を毎週アップしている。彼女のYouTubeチャンネルには、再生回数10万回を超える動画が20本以上あり、バルブの動画全体では平均200~500ドルを稼ぎ出しているという。
YouTubeからは毎月、口座に振り込みがある。入金があると、その一部を税金の支払いのために設けた別の口座に貯めている。
Business Insiderは2019年2月、再生回数約10万回の動画1本あたりで累計いくら得られるのか、4人のユーチューバーに話を聞いた。
- ナタリー・バルブ:ライフスタイル-500~1000ドル
- ロベルト・ブレイク(Roberto Blake):テクノロジー-800~1500ドル
- マルコ・スラティク(Marko Zlatic):パーソナルファイナンス-1300~1500ドル
- ルビー・アサボー(Ruby Asabor):ビジネス-2200~2500ドル
アサボーは始めたばかりの頃、誰もが同じ金額をもらっていると思っていた。ところが後に、自分より登録者数の多い友人よりも自分の方が収入が多いことを知る。そこで気がついたのは、金融やビジネスに関する自分の動画は対象者の年齢層が比較的高く、Googleの広告主が好む層だということだった。広告主は、ターゲットとする視聴者を引きつける動画が少ない場合、より多くの広告料を払ってくれるのだ。
再生回数100万回:2000~4万ドル
再生回数100万回のYouTube動画が必ずしも同じ金額を稼ぐわけではなく、その額は投稿者によって大きく異なる。
Business Insiderは、さまざまなYouTubeチャンネルを持つインフルエンサー5人にインタビューし、再生回数100万〜150万回の動画から1本あたり累計いくら得ているのかを聞いてみた。
- ジェイド・ダーマワングサ(Jade Darmawangsa):登録者数38万人-3600ドル
- シェルビー・チャーチ(Shelby Church):登録者数140万人-2000~5000ドル
- オーステン・アレキサンダー(Austen Alexander):登録者数16万5000人-6000ドル
- マリナ・モジルコ(Marina Mogilko):登録者数170万人-1万ドル
- ケビン・デビッド(Kevin David):登録者数84万4000人-4万ドル
全員が語っていたのが、バナー広告、プレロール広告、ミッドロール広告など、あらゆる選択肢を活用することが収入につながったということだ。
再生回数1億5000万回:9万7000ドル(ポール・コウスキー)
ボール・コウスキー
提供:Paul Kousky
ポール・コウスキー(Paul Kousky)は、YouTubeにおもちゃの銃に関する動画を投稿しており、登録者数は1400万人にのぼる。
コウスキーはBusiness Insiderのインタビューに対し、収入のほとんどは自分のYouTubeチャンネル「PDKフィルムズ」の広告からだと答えている。彼の動画のうち最も高収入をたたき出したのは、2018年に投稿した「Nerf War: Tank Battle」というもので、投稿から6カ月で世界中に拡散した。
Nerf War: Tank Battle
PDK Films
我々がインタビューした2018年12月に、Googleの広告配信サービスAdSenseの投稿者ダッシュボードに表示された金額を見せてくれたのだが、動画の再生回数が1億5000万回を超えた時点で(現在も増え続けている)、AdSense収入は9万7000ドルになっていた。
コウスキーが最初に動画を投稿した2018年2月には、彼自身がターゲットにしたアメリカの視聴者が約50%を占めていたが、世界中に拡散した同年12月の時点ではその割合はわずか5%へと激減した。
彼の動画の再生時間は平均4~5分。つまり、平均再生時間は全体の約35〜45%に相当するが、YouTubeでは長い方である。この割合は重要で、再生時間が長ければ、YouTubeの自動アルゴリズムが動画の評判が良いと判断し、動画がより注目されて視聴者に勧められることにつながるのだ。
(翻訳・玉城弘子、編集・野田翔)