2019年4月18日、ニューヨーク。
Carlo Allegri/Reuters
- YCharts.comのデータによると、ビデオ会議サービス「Zoom」で知られるズーム・ビデオ・コミュニケーションズがその時価総額で米石油大手エクソンモービルを上回った。
- 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で「Zoom」のビジネス利用が広まる中、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは年初来658%伸びている。
- 一方、空の旅が減り、経済活動が鈍化する中、石油に対する需要は大幅に落ち込み、エクソンモービルの価値は今年に入って55%失われた。
2011年に創業したビデオ会議サービスがその時価総額で、1870年のスタンダード・オイル設立までその歴史を遡ることのできる石油大手を上回った。
YCharts.comのデータによると、10月29日の取引でズーム・ビデオ・コミュニケーションズの価値は1400億ドル(約14兆6400億円)となり、エクソンモービルの1370億ドルを上回った。
これは、新型コロナウイルスのパンデミックがアメリカ経済とアメリカ人の生活にいかに影響を与えているかを示すものだ。
アメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月下旬には各地で経済活動が一時的にストップした。学校や企業は普段通りに近い日常を送るために「Zoom」をはじめとするビデオ会議サービスに大きく依存するようになった。
これが「Zoom」のビジネス利用の増加につながり、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株価は年初来658%伸びた。4月には「Zoom」の参加者数が3週間で1億人増えたという。
一方のエクソンモービルは、その逆を行っている。石油価格の低下もあり、同社の市場価値は今年に入って55%失われた。
空の旅は3月、4月にほぼストップし、未だにパンデミック前の水準に戻らない中、石油に対する需要は打撃を受けている。経済活動も全体として鈍化していて、石油に対する需要は伸びす、供給過剰が価格に影響を及ぼしている。
エクソンモービルの苦境は続く。同社は10月29日、経費削減を推し進めるためにアメリカで1900人を削減し、向こう2年で全世界の人員の15%を削減する考えを示した。
では、ズームとエクソンの状況をひっくり返すことができるのは何か? JPモルガンによると、それは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンだ。JPモルガンは、COVID-19のワクチンが開発されると伸び悩む銘柄としてズーム・ビデオ・コミュニケーションズを挙げている。
ワクチンによってこれまでの"普通の生活"に戻ることができれば、「Zoom」への依存は減り、空の旅や経済活動が回復することで石油に対する需要も拡大するかもしれない。
[原文:Zoom overtakes Exxon Mobil in market value amid COVID-19 pandemic]
(翻訳、編集:山口佳美)