- 10月29日に開催された「ロボレース」のイベントで、自動運転のレーシングカーがいきなりクラッシュした。
- Acronis SIT Autonomousが手掛けたマシンは、スタートしてすぐに右に急旋回し、壁に向かって加速した。
- ロボレースは、レースシリーズとしての課題解決に取り組んでおり、「シーズン・ベータ」を開始したばかりだ。
運転支援システムの技術はかなり進歩したものの、公道で実際に自律走行ができる車になるのはまだ先のことだ。最先端の運転支援システムであるテスラ(Tesla)のオートパイロットやシボレー(Chevrolet)のスーパークルーズも、人がしっかりと見守る必要があり、どこでも乗れるというわけでもない。
また、このほど開催された自動運転車によるレースでの事故は、自動運転技術の確立がいかに困難な挑戦であるかを示すことになった。
ロボレース(Roborace)は、自動運転システムによるレーシングシリーズで、まだ実験段階にある。10月29日に初めて開催されたイベントのストリーミング配信では、1台のマシンがスタートから間もなく壁に衝突する様子が見られた。ソフトウエア会社のアクロニス(Acronis)とスイスのシャフハウゼン工業大学(SIT)が提携したAcronis SIT Autonomousチームのマシンは、ラップを開始しようとしたが、以下のツイッター(Twitter)の投稿に見られるように、すぐに90度回転し、バリケードに向けて加速した。
ロボレースは、世界初のドライバーなしの自律走行型モータースポーツだ。
これは初めてのライブ配信イベントのひとコマ。
これは2度目の走行。
壁に突っ込んでいった。
別のアングルからの映像はこちら。
なんてことだ!ライブなのに
ロボレースは2019年の「シーズン・アルファ」を終え、2020年に「シーズン・ベータ」を始めたばかりなので、このような事故の発生や、経験から学ぶことがあるのは当然のことだ。
ロボレースの意義は、各チームが独自に、同一のマシンを動かす自動運転ソフトウェアを開発することだ。現在は「DevBot 2.0」というマシンが使われている。
最近ではウェイモ(Waymo)がアリゾナ州フェニックスで完全無人の配車サービスを開始すると発表した。また、GM傘下のクルーズ(Cruise)は2020年内にサンフランシスコで無人運転のテストを開始すると発表、テスラ(Tesla)は一部のユーザーに「完全自動運転ソフトウェア」のベータ版を公開した。だが、今回のロボレースの事故は、自動運転の実用化にどれだけの進歩が必要かを思い起こさせるものになるだろう。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)