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「嵐の前の静けさ」首都ワシントンD.C.は米大統領選後の混乱と暴力に備えている

ビル

破壊行為から守るため、ビルの入口には木の板が(2020年10月28日、ワシントンD.C.)。

Sarah Silbiger/Getty Images

  • 11月3日(現地時間)の大統領選を目前に控え、ワシントンD.C.は息を凝らしている。
  • Business Insiderが話を聞いたワシントンD.C.の住民らによると、辺りはまだ静かだが、多くの人々が大統領選の後の暴力を恐れていて、「張り詰めた雰囲気」と「不安」が漂っているという。
  • 一部の店やビルは、破壊行為に備えて板張りを始めている。複数のグループがすでにデモの許可を申請していて、当局は衝突に備えている。

11月3日の大統領選を目前に控え、アメリカの首都ワシントンD.C.は息を凝らしている。

街中で行われるデモには慣れているワシントンD.C.だが、2020年の大統領選に対する期待と不安は特別だ。

「嵐の前の静けさのように感じます」とBusiness Insiderに語ったのは、ワシントンD.C.在住のコンサルタント、テイラー・レアさん(27)だ。

「選挙の結果が心配なんです…… 誰が勝つにしても、何が起こるか本当に分かりません」と話している。

自宅がホワイトハウスのすぐ近くだというレアさんは、身の危険が迫っているとは感じていないものの、選挙後に暴力が激しさを増した場合の"バックアップ"は用意しているという。

「ありがたいことに、わたしの両親やボーイフレンドが近くに住んでいて、どちらも車を持っているので、必要があればここを離れることはできます」

ドラッグストア

ホワイトハウス近くのドラッグストアにも、すでに木の板が(2020年9月29日、ワシントンD.C.)。

Yasin Ozturk/Anadolu Agency via Getty Images

YouGovの最新の世論調査によると、アメリカ人の74%は大統領選の結果が出た後、暴力が発生すると考えている。53%は「たくさん」の暴力が、21%は「少しだけ」暴力が起こると見ているという。

ただ、"恐れ"はあるものの、街は比較的落ち着いているように見える。

ソーシャルメディアに10月30日に投稿された写真からは、落ち着いた街の様子や、警察官がラファイエット広場の前にコンクリート製の障害物を設置する様子、一部の店が用心のために板張りをする様子が伝わってくる。

ワシントンD.C.在住のローラ・ガルシアさん(24)は「間違いなく、張り詰めた雰囲気は漂っています。中心街の店は、夏の初めにBlack Lives Matterのデモが一部暴徒化した時のようにまた板張りをしてます」とBusiness Insiderに語った。

2016年の大統領選の時もワシントンD.C.に住んでいたガルシアさんは、自身の周りでも政治への関わりをめぐって、変化があったと話している。

「全般的に、4年前に比べて人々が政治にものすごく熱心になったように感じます。それは良いことだと思います」とガルシアさんは言う。

「(大統領選は)早く終わって欲しいけど」

街は備えている

警察は先週、今後、中心街の多くで道路が封鎖され、駐車が規制されることになるだろうと発表した。

ワシントン・ポストによると、ジョージ・ワシントン大学は学生に対し、大統領選に備えて1週間分の食料と日用品を確保しておくようアドバイスするメッセージを送った。

当局は店の経営者に対し、地域の犯罪アラートに登録し、保険の情報を手元に置いておくようアドバイスしている。

店舗と店舗内の資産を守り、修繕するために全国的な小売チェーンと地元の請負業者をつなぐServiceChannelのCEOは10月30日、同社には用心のための板張りや警備の強化のリクエストが入ってきているとBusiness Insiderに語った

「誰が勝っても、選挙をめぐって何らかの混乱が生じるだろうと(小売業者たちは)判断しています」とCEOのTom Buiocchi氏はBusiness Insiderに語った。

「その混乱は、少なくとも今年は、社会不安や抗議活動として現れるため、彼らはそれに正面から取り組み、重要な店舗を守る必要があると決断したのです」という。

警察官の配備も増加

だが、起こり得る混乱に備えているのは、店だけではない。

NBC Newsによると、米移民・関税執行局(ICE)の捜査官たちは今回初めて、11月3日の大統領選の日からしばらくはワシントンD.C.にある連邦政府の財産を守るため、スタンバイしておくよう国土安全保障省から指示されたという。

デモ

ホワイトハウスの外でジョージ・フロイドさんの死に抗議する人々。

Reuters/Tom Brenner

ワシントン・ポストによると、ワシントンD.C.のピーター・ニューシャム署長は10月、連邦議会議員らに対し、「誰が勝つかにかかわらず、11月の選挙の後には混乱が生じるだろうと広く考えられている」と語ったという。

「1月にワシントン・D.C.で大統領就任式が開かれる際にも、暴動が起こる可能性が高いと考えられている」とニューシャム署長は付け加えた。

法執行機関は、特定の脅威はないと話しているが、複数のグループがすでに11月1日から選挙後にかけて、ワシントンD.C.でのデモの許可を申請しているという。

「ミリシアやその他の武装組織が深刻な脅威に」

フェイスブック(Facebook)の元コンテンツ・モデレーターで、10月に開かれたイベント「Real Facebook Oversight」でも話をしたヴィアナ・ファーガソン氏によると、フェイスブックではここ数カ月、ユーザーによる「実行しようとしている暴力」に関する主張が増えているという。

フェイスブックの広報担当者は「わたしたちは前回の選挙から学んだことを生かし、専門家を雇い、さまざまなシナリオに備えるべく、経験豊富な新たなチームを作っています」とBusiness Insiderに語った

他の組織も、暴力を煽ろうとする集団に目を光らせている。

非営利組織のArmed Conflict Location & Event Data Project(ACLED)は、「ミリシア(編集注:極右武装集団)やその他の武装した非国家主体がアメリカの有権者の安全に深刻な脅威をもたらしている」とワシントン・ポストに語っている。

ACLEDが公表した最近のレポートでは、研究者たちがここ数カ月の80以上の過激派組織の動向を追跡していて、ジョージア州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州、オレゴン州は「選挙日および選挙後にミリシアの活動が増えるリスクが最も高い」という。

オレゴン州ポートランドでは、暴力的な抗議活動が数カ月にわたって続いていて、右派の武装グループは11月3日、武器を堂々と持って投票所などに姿を見せる計画だ。左派のグループも同様の準備をしているという。

ミリシア

武装して集まったミリシアのメンバー(2020年8月15日、ジョージア州ストーン・マウンテン)。

REUTERS/Dustin Chambers

ワシントンD.C.在住の大学院生ジョシュア・ブラットさん(27)は、「この街でも、国中のあらゆる場所でも、もう何カ月もデモが続いていて、ある種の抗議行動が起こることは間違いないと思っています」とBusiness Insiderに語った。

「何らかの暴力の可能性をぼくたちが話題にしているという事実がまさに、ここ数年で起こった大きな変化を示しています。もう誰も暴力の可能性を笑い飛ばしていないことが、不安なんです」

[原文:'Calm before the storm:' Washington DC braces for possible post-election disorder

(翻訳、編集:山口佳美)

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