アリババの創業者、ジャック・マー。
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- アント・グループは、中国の規制当局がジャック・マーら経営幹部と会談した翌日、の新規株式公開手続きを中断した。
- 上海証券取引所は、監督官庁の面接結果と金融技術規制環境の変化などにより、アント・グループは「上場の条件を満たさなくなる可能性がある」と述べた。
- アント・グループは11月6日に上海と香港の2つの取引所への上場を計画していた。
- アリババの株価は3日に10%近く急落した。
決済サービスのアリペイを運営するアント・グループ(Ant Group)の新規株式公開(IPO)は、中国当局が同社の共同創設者で億万長者のジャック・マー(Jack Ma)と2人の経営幹部を呼び出して面談した翌日の11月3日、上海、香港の両証券取引所ともに停止された。
ロイターによると、規制当局はマーとアントの会長であるエリック・ジン(Eric Jing)、最高経営責任者であるサイモン・フー(Simon Hu)に対し、「収益性の高いオンライン金融事業は、政府の厳しい監視に直面することになる」と述べたという。
上海証券取引所によると、監督官庁との面談や金融技術規制環境の変化などにより、アント・グループは上場基準を満たさなくなる可能性があるという。同取引所は「報告された重要事項のため、上場の条件や情報開示の要件を満たしていない可能性がある」と声明で述べている。
アント・グループは3日、香港証券取引所への上場を停止することを明らかにした。「上場取り消しと申込金の払い戻しなどは、可能な限り速やかに行われる」と同社は声明で述べている。
アントは6日に上海と香港の両取引所での同時上場を計画していた。この金融サービス会社の上場には、投資家から3兆ドル以上の注文があったという。また、当局に提出された書類によると、上海だけで19兆1000億元(2兆9000億ドル)の買い注文があり、その合計は取引所全体の872倍の金額だった。
今回の上場は、345億ドルの資金調達を目指していた。アントの評価額は3130億ドル以上で、2019年のサウジ・アラムコが記録した金額を更新することが期待されていた。
アントの親会社、アリババ・グループの株式は3日、10%近く急落した。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)