(写真はイメージです)
Shutterstock/Gen Epic Solutions
この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「アメリカの銀行のIT支出予測(US Banking Tech Spend Forecast)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから
コロナウイルスのパンデミックは、たった数ヶ月間で世界経済の様相を一変させ、その影響はアメリカの銀行のIT予算にも及んでいる。世界有数の銀行がいくつも存在するアメリカは、現在コロナウイルスの感染者数や感染率でも世界上位にある。
コロナウイルスの感染拡大により、2020年の第1四半期にアメリカ経済は4.8%縮小した。経済の悪化はアメリカの銀行業界のデジタル化戦略に直接的な影響を与えている。本レポートでは、その度合いについて詳細に分析する。
本レポートはeMarketerが2020年5月にまとめた「アメリカの銀行のIT経費に関する予測(US Banking IT/Technology Expenses forecast)」に基づいて執筆された。個人向けの金融サービスを提供するアメリカの銀行のなかで、2020年第1四半期時点で資産規模が最も大きかった9行を取り上げ、各行のIT支出にパンデミックが与える短期的および長期的影響を分析する。
パンデミックの各段階で注目すべき事象と各行特有の事情
アメリカの銀行の年間のIT経費の推移と予測(eMarketerが2020年5月に発表したデータに基づく)。濃色部分はパンデミックの「第1段階」。
Business Insider Intelligence
レポートでは、コロナウイルスのパンデミックを次の3つの段階に分けて考察する
- ロックダウン期(2020年始め〜2021年終わり)
- 段階的再開期(2021年終わり〜2022年始め)
- ニューノーマル期(2022年始め〜2024年以降)
レポート前半では、各段階の社会・経済的状況と、それがアメリカの銀行業界全体に及ぼす影響について論じる。後半では、コロナ危機が9行それぞれにどのようなのインパクトを与えるのかを個別に予測する。
そして、サイバーセキュリティ、ITインフラの維持管理、景気後退など、アメリカの銀行のIT支出を左右するであろう、さまざまな要因を分析する。パンデミックの各段階に特有なファクターや、9行それぞれのファクターを鑑みながら、世界有数の規模を誇るアメリカの銀行業界が、2008年以来最大の経済危機をどのように乗り切るのかを予想する。
本レポートで言及される企業:
Bank of America, Citibank, JPMorgan Chase, KeyBank, PNC, Regions Bank, Truist, US Bank, and Wells Fargo
本レポートのキーポイント:
- パンデミックの第1段階でアメリカの銀行のIT支出は一旦大きく減少した後、プラスに転じる。
- 第2段階では、アメリカの銀行のIT支出は緩やかに伸び続ける。前年比成長率はほとんど変化しない。
- 第3段階になるとウイルス自体の脅威はなくなり、コロナ危機がもたらした社会的、経済的変化によるニューノーマルの時代が訪れる。コロナ以前のペースと比較すると緩やかではあるものの、銀行のIT支出は伸長する。
- 2020〜2024年の間にIT支出を最も増やす銀行はトゥルイスト・ファイナンシャル(Truist Financial) で、年平均成長率は15.42%の予測。年平均成長率が最も低いのがキーバンク(KeyBank)で、0.34%の予測。
- 総資産に対するIT支出額の割合が9行のなかで最も大きいのはキーバンクで、2020年には第1四半期時点での総資産の1.8%をIT支出に充てる。シティバンク(Citibank)が最も少なく、同時期における同行の総資産の0.2%となる。
- 2020年のIT支出額が最も大きい銀行は、ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)で96.1億ドル(1兆58億円)。続いてバンク・オブ・アメリカ(Bank of America)が91.4億ドル(9560億円)、JPモルガン・チェース(JP Morgan Chase)が89.1億ドル(9300億円)となる。
本レポートの完全版では:
- (2020〜2024年までの)予想期間中、銀行のIT支出に影響を与える諸要因を概観する。
- パンデミックの3段階において、銀行のIT支出を後押ししたり、抑制したりする要因に光を当てる。
- 9行のIT支出を後押し・抑制する要因を短期的(2019〜2020年)及び、中長期的(2021〜2024年)なスパンで見ながら予想する。
本レポートの完全版を入手するには:
リサーチストアからレポート完全版をご購入・ダウンロードする。→購入・ダウンロードはこちらから
(翻訳・野澤朋代)