「変わらなければ離婚される」ホールフーズCEO、アマゾンによる買収を"結婚"に例える

ジョン・マッキー

ホールフーズのCEOジョン・マッキー氏。

Dustin Finkelstein/Getty Images for SXSW

アメリカの高級食品スーパー「ホールフーズ」のCEOジョン・マッキー(John Mackey)氏にとって、アマゾンによる買収はまさに"結婚"だった。そして今、ホールフーズは"離婚"されないように努力しなければならない。

ホールフーズとアマゾンの関係について、マッキー氏は11月4日に放送された『Freakonomics Radio』の中で語った。マッキー氏は、アマゾン傘下になることは「想像以上に大きな変化だった」とし、買収される前からホールフーズのミッションとコアバリューははっきりしていたと話した。

「それらを一体化させるのか、そのままにしておくのか? いや、彼らはそれを変えようとはしなかった」とマッキー氏は語った。

「わたしたちのカルチャーはどうか? わたしたちをアマゾンに同化させようとするのか、わたしたちはアイデンティティーを失うのか? いや、わたしたちはそうしたくない」

マッキー氏は、アマゾンに買収されてからホールフーズは「互いを尊重する形で」進化したと言う。

「わたしはこの例えをよく使うんだ。結婚したら変わるか? と。答えは『当たり前』だ。変わらなければ、離婚される」

「だから、ホールフーズも変化している。でも、それはアマゾンに無理に押し付けられているからではなく、わたしたちが取り入れたいことを彼らがたくさんやっているからだ」

ホールフーズは2017年、137億ドル(約1兆4300億円)でアマゾンに買収されたと報じられている。マッキー氏はこれを「熱烈な求愛」と、自身の新しい著書『Conscious Leadership』の中で表現している。

買収が発表された翌日、マッキー氏は従業員に、2つの企業が6週間前に「ブラインドデート」をし、「一目惚れ」だったと語った。マッキー氏とアマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏、そしてそのチームは2017年4月にシアトルで3時間のミーティングを行い、その4日後には契約条件を調整するために、アマゾンの幹部がテキサス州オースティンにあるホールフーズの本社へ飛ぶこととなった。

「わたしたちはたった数カ月で、デートから婚約、結婚へと移行していった」とマッキー氏は著書に書いている

買収後、ホールフーズの変化は明らかだった。店内でアマゾンのスマートスピーカー「Echo」を売り始め、さまざまな商品の価格が下がった。2018年までに、アマゾンはプライム会員向けにホールフーズでの割引を提供、ホールフーズの商品をアマゾンの配送サービス「Prime Now」で取り扱い始めた。

だが、ここ数カ月、ホールフーズの従業員と、オンラインで注文を受け、商品を詰めて配送するPrime Nowのスタッフとの間で緊張が高まっている。ホールフーズの従業員たちは9月、新型コロナウイルスの流行で食料品事業は急成長しているものの、それが安全性の問題や店舗の混雑を招いたと、Business Insiderに語った

「これまでに見たことがないほど、チームメンバーの気力が低下しているんです」とある従業員はBusiness Insiderに語った。

「(オースティンにあるホールフーズの本社)グローバルはわたしたちにフィードバックを求め続け、わたしたちはこう言い続けているんです。チームメンバーは安全だと感じていない、と。ウイルスからも、顧客からも安全だと感じていないんです。これほど多くの人がものすごくストレスを感じ、怖がっているのをわたしは見たことがありません」

そして10月、ホールフーズは従業員の服装に関するポリシーの全面的な変更を発表した。同社のドレスコードはこれまで、従業員がそれぞれの個性を表現できる緩やかなものだった。厳しくなったドレスコードは、ホールフーズのカルチャーがそのルーツから離れていっているという大きな傾向を表していると、複数のホールフーズの従業員がBusiness Insiderに語っている。

「もしかしたら、アマゾンがとても厳しくて、全員をロボットのように、同じような見た目にしたいのかもしれませんね」とある従業員は話した。

[原文:Whole Foods' CEO says the company hasn't lost its identity, but likened the Amazon acquisition to a marriage: 'If you don't change, you're going to get a divorce'

(翻訳、編集:山口佳美)

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