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アメリカでは、人権団体と監視団体がトランプ大統領のツイッター・アカウントを凍結するようCEOのジャック・ドーシー氏に呼びかけた。大統領のアカウントはツイッター社の"市民の清廉性に関するポリシー"に何度も違反しているという。
非営利組織「Lawyers' Committee for Civil Rights Under Law」と「Common Cause」は11月5日(現地時間)、トランプ大統領に2020年の大統領選について誤った主張を投稿させないよう、ツイッター社に対し、さらなる取り組みを求める共同書簡を書いた。
「ツイッター社が対応しなければ、大統領は多くのツイッターユーザーだけでなく一般市民に対し、わたしたちの民主的なプロセスの公正性を非正当化し、投票および選挙プロセスの不確実性を植え付け、潜在的に公務員などへの暴力をあおるという目的を果たすかもしれないとわたしたちは恐れています」と、Lawyers' Committeeのプレジデントでエグゼクティブ・ダイレクターのクリステン・クラーク(Kristen Clarke)氏がツイッターに投稿した書簡には書かれている。
書簡は、今すぐ12時間のアカウントロックをするだけでも「複数の違反を認識する、冷却期間になるだろう」と指摘している。トランプ大統領のツイートの「激しさと頻度」は、大統領が「今後、偽情報を広める」ためにツイッターを使い続けるであろうことを示すものだという。
Business Insiderの取材に対し、ツイッターの広報担当者は「書簡を受け取ったこと、対応をするつもりであることを認める」とコメントしている。
トランプ大統領は、身内である共和党員や国際社会の選挙監視活動を行う組織など多くが"アメリカの選挙プロセスを間接的に攻撃するものだ"と指摘する主張を繰り返していて、そのために自らのプラットフォームが使われることをトランプ大統領に許しているとして、ツイッターは批判にさらされている。
書簡には、トランプ大統領が大統領選の一般投票が行われた11月3日以降、いかにツイッターのポリシーに違反してきたかを示すリストも含まれている。集計作業がまだ続いているのに、自らがペンシルベニア州、ジョージア州、ノースカロライナ州で勝利したという根拠のない主張や、票が不正に抹消されたり、追加されたりしているという誤った主張などもこれに含まれている。
ツイッターは、誤解を招く恐れのあるコンテンツが含まれる投稿には制限やラベルを付けると発表していて、トランプ大統領が4日にツイートした5つの投稿がその対象となっている。これは偽情報や選挙妨害の拡散を取り締まるための、より大きな戦略の一環だ。ただ、それでも大統領の投稿は目立っているため、書簡は対応が「不十分」だと指摘している。
トランプ陣営は3日以降、アメリカの選挙のあり方に異議を唱え続けている。激戦州のウィスコンシン州などでは票の再集計を呼びかけ、ミシガン州やジョージア州などでは不在者投票の扱いをめぐって訴訟を起こし、民主党によって選挙が不正操作されているとの根拠のない主張を拡散し続けた。トランプ大統領とその支持者たちは、ペンシルベニア州、ジョージア州、ミシガン州で票の集計を止めるよう呼びかける一方で、ネバダ州やアリゾナ州では票の集計を続けるよう要求した。
世界の選挙監視活動を行っていることでも知られる欧州安全保障協力機構(OSCE)は5日、2020年の大統領選は不正なものだと根拠のない主張を続けるトランプ大統領とその「国民の信頼を損なおうとする前代未聞の試み」がアメリカの民主主義を弱体化させていると指摘した。
ツイッターの"市民の清廉性に関するポリシー"は「市民活動について誤った情報や誤解を招く情報が含まれるツイートには、背景情報を提供するために、ラベルを付けたり、拡散を抑制する場合があります」としている。
(翻訳、編集:山口佳美)