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絶好調ECサイト、ロコンドが生んだ大ヒットはあのコラボ

locondo

LOCONDOホームページより

Q. ロコンドがコロナ禍で見出したEC新戦略とは?

A. D2CとYouTubeの組み合わせ。LOCONDOのGMVはYoY +39.4%の急成長

今日の記事では、ロコンドの2020年6月から8月の四半期決算を見ていきたいと思います。

全体としては非常に好調な決算ですが、その中でも新しい取り組みが大ヒットしているので、後半でどのような取組みが取扱高の成長に繋がっているのかを、詳しく見ていきたいと思います。

株式会社ロコンド 2020年度(2021年2月期) 第2四半期 決算説明資料

商品取扱高推移

初めに、ECビジネスで最も重要な指標である取扱高を見てみると、全体でYoY(前年比)+24%の52億円、ロコンドはYoY+39.4%の38億円と、大きく伸びていることが読み取れます。

第2四半期LOCONDOの成長理由

ロコンドの取扱高の伸びを分解すると、このグラフにあるように、伸びの最大の理由はReZARDと呼ばれるD2Cから来てることが読み取れます。

D2C: ReZARDとは?

ReZARD

ご存知ない方のために、簡単にReZARDとは何かを説明したいと思います。

「着心地の良さを追求し、こだわりを持った上質な生地をシンプルかつラグジュアリーなデザインに」というコンセプトをもとに、チャンネル登録者数400万人超えの人気YouTuberヒカルが展開するラグジュアリーブランド

ReZARDというのは、ロコンド社が提供するD2Cで、人気YouTuberヒカル氏とのコラボレーションで展開しているブランドです。ロコンドがクオリティが高い商品を製造し、ヒカル氏がYouTubeで宣伝をしていくというコラボレーションになっているものと思われます。

新戦略 D2C X YouTubeのビジネスモデルとインパクト

今回ロコンドは、このD2C戦略が非常にうまくいっており、同社のマーケティング戦略を刷新するレベルになっているので、少し詳しく見ていきたいと思います。

ロコンドのビジネスモデル(2015~)

初めに、こちらが従来のロコンドのeコマース事業と、プラットフォーム事業のビジネスモデルです。

左上から、WEB広告やテレビCMで認知度を向上させ、それが訪問者増に繋がり、訪問者が増えることでショップを増やしやすくなり、売り上げが増えていく、というモデルになっています。

このモデルは皆さん馴染みやすく、理解しやすいのではないでしょうか。

新ロコンドのビジネスモデル(2015~)

今回、D2CとYouTubeがコラボすることで、新しいビジネスモデルが誕生したというのがこちらの図です。

左上がYouTubeです。YouTubeで認知度が上がることで、今まで通りの右側のフローが回るだけではなく、左下にあるように、D2Cの売上が増えるというプラスがあります。

ここでの最大のポイントは、YouTubeが集客の中心になっているという点です。つまり、YouTubeで宣伝をすることで、従来の右側のフローからの売り上げが上がるだけではなく、左下のD2Cから「も」、売り上げが上がるという点です。

新戦略 D2C X YouTubeの収益インパクト

このD2CとYouTubeのコラボによる、収益インパクトを見ていきましょう。

YouTube×D2Cのインパクト

初めに、D2Cからの売上が6.7億円あります。6.7億円という金額は、UUUMの「クリエイターサポートその他(グッズ、イベント、音楽等)売り上げ」よりも大きい金額であり、YouTuberと物販のコラボレーションという領域では、日本でトップクラスと言って間違いないでしょう。

広告費用推移

次に、売り上げが増えるだけではなくて、コストも削減出来ているという話です。

これまでロコンドはテレビCMを積極的に打ってきたわけですが、今回広告予算を大きくYouTubeに移して、大きなコスト削減が出来ました。

つまり、D2CとYouTubeがうまくコラボ出来ると、D2C部分の売り上げが新規に増えるだけではなく、広告宣伝費を削減することが出来る、という具合に、二重にインパクトが出てくるという、素晴らしい結果になっています。

新戦略における新規顧客獲得とリピート施策

新規会員数推移

テレビCMの広告宣伝費を減らした分だけ、新規会員数が減るのではないかと心配している方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はそうなっていません。

さらにはReZARD経由で獲得した新規顧客のうち、10%が他のブランドでも何かしらの商品を購入している、ということで、プラスしかないというのが、今回のロコンドが見つけた新しいマーケティング施策だと言えるでしょう。

成功理由

さらには、YouTubeでの新規会員獲得に依存するだけではなくて、既存のロコンドユーザーへも、ReZARDの商品が売れています。

ReZARDの商品は、主にヒカルさんのファンが好むロゴ有りの商品と、ロゴ無しの商品が選べるようになっているわけですが、実は半数の人が、ロゴ無しの商品を購入しているというデータが公開されています。

つまり、これらの人はかなり高い確率でYouTube 経由ではなく、ロコンドの既存会員としてReZARDを購入していると言えますので、ReZARDの商品は、既存会員へのアクセルにも使えるということが分かりました。

まとめ

今回のロコンドの決算では、D2CとYouTubeという新しい組み合わせが、eコマースビジネスに非常に大きなインパクトを与える可能性があるということを学ぶ、良いケースだったと思います。

今回のロコンドの施策から学ぶべき事は2つです。

1つ目に、これまで広告宣伝費の半分を占めていたテレビCMをほぼ全てカットして、YouTubeに予算を投下し、人気YouTuberとコラボすることで、大きなマーケティング費用の削減になるということが証明されました

2つ目に、さらには自社ブランドでハイクオリティな技術でD2C商品を作ることで、YouTubeでのプロモーションと相性が良いだけではなく、既存の自社会員への販売も、順調に行えているということが証明できたことになります。

これら2つのイノベーションが重なり、ロコンドの取扱高がYoY+38%という大きな成長に繋がったと言えます。

このD2CとYouTubeの組み合わせというのは、今後eコマースビジネスにおいて、間違いなく大きなインパクトをもたらしていくと思いますので、その先駆者としてのロコンドには、今後も注目していきたいと思います。


シバタナオキ:SearchMan共同創業者。2009年、東京大学工学系研究科博士課程修了。楽天執行役員、東京大学工学系研究科助教、2009年からスタンフォード大学客員研究員。2011年にシリコンバレーでSearchManを創業。noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中

決算が読めるようになるノートより転載(2020年11月3日公開

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