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実機レビュー:PS5で「SNS化するゲーム体験」のリアル。驚きの静粛・高速読み込みがすごかった

PlayStation 5

PlayStation 5。ディスクドライブ付きモデルの製品版だ。

撮影:西田宗千佳

11月12日に発売が迫った「PlayStation 5(PS5)」の実機レビューをお届けする。

このタイミングではネットワークサービスの一部が動作しておらず、「全機能のレビュー」というわけにはいかない。しかし、実機で自由にゲームを遊んでみると、この新しいゲームプラットフォームの方向性がよりはっきりと見えてくる。

外箱

PS5の箱。かなり大きめだ。

撮影:西田宗千佳

同梱物

PS5には、本体の他に「スタンド」「電源ケーブル」「HDMIケーブル」「コントローラー」「コントローラー用ケーブル」が付属する。

撮影:西田宗千佳

背面

PS5本体背面。上から、USBが2つ・イーサネット端子・HDMI端子・電源端子。

撮影:西田宗千佳

PS5が目指すのは、「ゲームへのエンゲージメントの拡大」。別の言い方をすれば、ゲームそのもののSNS化の加速だ。

それがどういう意味を持っているのか? 実機での動作と、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が公開している「ユーザー体験解説動画」から解説してみたい。

なお、比較対象として、適宜同じくSIEの「PlayStation 4 Pro(PS4 Pro)」を利用するのでその点、ご留意いただきたい。

ゲームの読み込みが「数秒」になる劇的な高速化

メインメニュー

PS5のメインメニュー。ゲームが横に並ぶシンプルな構造だ。

スクリーンショット撮影:西田宗千佳/(C) 2020 MARVEL (C) Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc

今回は、PS5専用タイトルとして、本体と同時発売である「スパイダーマン:マイルズ・モラレス」も一緒に試遊した。このゲームは、2018年9月にPS4で発売された「Marvel's Spider-Man」の続編であり、非常に近いゲーム内容を持っているが、PS5に最適化されているのが特徴的。

筆者は個人的にも「Marvel's Spider-Man」をかなりプレイしているが、今回は改めてゼロからもう一度、序盤をプレイしている。「スパイダーマン:マイルズ・モラレス」と「Marvel's Spider-Man」を比較していくことで、PS4とPS5の体験の違いを比較してみた。

スパイダーマン:マイルズ・モラレス

PS5専用ゲーム「スパイダーマン:マイルズ・モラレス」。

スクリーンショット撮影:西田宗千佳/(C) 2020 MARVEL (C) Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc

PS5を起動した時のメインメニューは非常にシンプルだ。インストール済みのゲームが横一列に並ぶのは、PS4と同じ発想と言っていい。

だが、ゲームを始めてみると、その違いに驚かされる。画質の問題ではない。もちろん画質もすごい。4K+HDRで見るとやはり非常に美しい。

スパイダーマン:マイルズ・モラレス

「スパイダーマン:マイルズ・モラレス」は2018年発売作品の続編にあたるもので、4K+HDR表示を含め、PS5に特化して「リビルド」されている。

スクリーンショット撮影:西田宗千佳/(C) 2020 MARVEL (C) Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc

画質以上に「速い」に圧倒されるのだ。ゲームまでの待ち時間がほとんどない

実際の動画をみていただくのが一番だろう。以下の動画は、PS4 Pro実機(ハードディスク搭載、左上)とPS5のPS4互換モード(右上)で「Marvel's Spider-Man」を、PS5で「スパイダーマン:マイルズ・モラレス」をプレイする際、ゲームが始まるまでの様子を撮影したものだ。

見やすく並べるために編集しているが、それぞれ、ゲームが始まるまでの間は一切カットなどを入れていない。

PS4 ProとPS5のゲームロード時間を比較。PS5でのロードとPS4 Proの差が驚くほどあることに注目。

撮影:西田宗千佳

もう、PS4 Proとはなにもかもが違う。

PS4 Proでは、ゲーム開始までに90秒以上かかっていた。それが、PS5は、同じPS4タイトルをプレイするだけでも、53秒程度になった。4割以上の時間短縮だ。

だがそれも、PS5の構造に特化した「スパイダーマン:マイルズ・モラレス」と比較すると色褪せる。なんと18秒しかかからないのだ。ロード時間は8割の短縮だ。

もう少し正確に言おう。

どうやらPS5には、ゲームの起動について幾つかのパターンがあるようだ。18秒で起動するのは、「PS5をレストモード(PS4時代はスタンバイモードと言われていた)で使ったときのもの」。そのためか、各種ロゴの表示がなくなっていた。

電源を一度完全に切り、改めてゲームを起動すると、今度はロゴも表示される。ゲームの初回起動時などはこちらになるだろう。この場合、ロード時間は40秒。長くなったが、それでもPS4互換モードより速い。

「ああ、ロゴスキップができるから早くなったのか」そう思った方は間違いではないが、まだ結論は早い。

再開

ゲームをワンボタンで「再開」することも可能になっている。

スクリーンショット撮影:西田宗千佳/(C) 2020 MARVEL (C) Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc

PS5専用ゲームには「再開」という考え方がある。ゲームの直前のセーブ状態を覚えておいて、そこにワンボタンでジャンプできる。

これを使うと、ゲーム開始までの時間は、たったの「5、6秒」まで短くなる。PS4時代に比べ、ゲームをもう一度始めるまでの時間がほとんどなくなってしまう。

しかもPS5専用のゲームは、4K+HDRに対応するため、PS4用ゲームよりもデータが確実に大きくなっている。それを読み込んですら、この快適さを実現している点に注目すべきだろう。

SSDの採用による高速化はもちろんだが、それだけでなく、ロゴのスキップやゲームプレイ状態の記憶など、多数の工夫を加えて、「ゲームをする行為を阻害する待ち時間」を徹底的にカットしに来たのが、PS5というゲーム機の最大の特徴であることが見えてくる。

対話機能を強化、ゲームの「動画ヒント」まで採用

DualSense ワイヤレスコントローラー

PS5の専用コントローラー「DualSense」

撮影:西田宗千佳

このことはどういう意味を持っているのだろうか?

普段ゲームをあまりしない人には、「読み込みくらい待てばいいじゃないか」と思うかもしれない。だが、そうはいかないのだ。

そうした設計思想は、PS5のネットワーク機能を考察するとより明らかになる。

ただし本日(11月6日)の段階では、PS5向けのネットワークサービスは全てが稼働しておらず、レビュー対象にできない。

そこで、SIEが公開している「PS5のユーザー体験」を開設した動画から、その意図を読み解いてみたい。

SIEが公開しているPS5のUX体験解説動画。

出典:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

PlayStationでは、コントローラーの「PSボタン」が重要な役割を果たす。ゲームの切り替えや電源を切るときなどは、ここからメニューを呼び出して使う。そこはPS4時代と変化がない。

ただし、PS5ではPSボタンが「1回押し」と「長押し」で意味が変わった。長押し時には、冒頭でも紹介した「メインメニュー」が出てくる。しかし「1回押し」では新たに「コントロールセンター」と呼ばれるコンパクトなメニューが現れる。

コントロールセンター

PS5コントローラーの「PSボタン」を1度押すと現れる「コントロールセンター」。

スクリーンショット撮影:西田宗千佳/(C) 2020 MARVEL (C) Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc

コントロールセンターからは、よく使う機能がすぐに呼び出せる。その時に重要なのは「ゲームを一切止めない」「画面もあまり隠さない」ということだ。

コントロールセンター2

「コントロールセンター」では、各種設定など、よく使う機能は、ここからゲームを止めずに操作できる。

スクリーンショット撮影:西田宗千佳/(C) 2020 MARVEL (C) Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc

なぜなら、ここで重要になってくる「よく使う機能」とは、ネットワークを介し、よく遊ぶ仲間とコミュニケーションをとるための機能であり、ゲームをより楽しむための機能だからだ。

ネットワークサービス

SIEの説明動画より。ネットワークサービスが稼働し、ゲーム側でも対応が行われると、このように色々な情報が表示される。

出典:ソニー・インタラクティブエンタテインメント/(C) 2020 MARVEL (C) Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc

わかりやすいのはコミュニケーションだろう。

以前より、各ゲームプラットフォーマーは、自社サービス内に、プレイヤー同士のコミュニケーション機能を搭載してきた。テキストチャットや、同じゲームを一緒にプレイするための「招待」に使われてきた。

PS5ではコントローラーにマイクも搭載され、ボイスチャットがさらにやりやすくなった。音声での文字入力にも対応、テキストチャットも非常に楽になっている。

DualSense のマイク

PS5の専用コントローラー「DualSense」。手元にはマイクが内蔵され、そのためのミュートボタン(写真で光っている部分)もある。

撮影:西田宗千佳

それだけではない。画像のシェアは以前からできたが、友人のゲームプレイを小画面でみながら、音声で会話しつつ自分も別のゲームをしたり……ということも可能だ。

友人がプレイ中のゲームの動画1

SIEの解説動画より。

出典:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

友人がプレイ中のゲームの動画2

簡単に友人と同じゲームを楽しめるのはもちろん、「友人がプレイ中のゲームの動画」を見ることも可能。

出典:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

さらに、ゲームの進捗に合わせた情報表示が行われるのも、PS5のコントロールセンターの特徴だ。現在プレイしている場所が「その章の何%目くらい」なのかを表示したり、ゲーム内でプレイできる「チャレンジ」を表示したりもする。

さらに、有料サービスである「PlayStation Plus」の加入者であれば、動画で提供される「ゲームのヒント」を見ながらプレイできる。

ヒント動画1

SIEの解説動画より。

出典:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

ヒント動画2

ゲームの進行状況を数字で簡単に把握できるほか、ゲームのヒント動画を「ゲーム画面の横に出して」チェックできるようになっている。

出典:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

もちろん、そこで「ネタバレ」があるとつまらない。なのでPS5中には「ネタバレを禁止するか」という設定項目まである。

ネタバレ防止機能

PS5の中には「ネットワークからシェアされる画像・動画からのネタバレを防止する」機能もある。

スクリーンショット撮影:西田宗千佳

ゲームにはたくさんのコンテンツがあるが、それをすべての人が楽しむのは難しい。

ウェブや攻略本、雑誌記事などで情報も提供されているが、より「ゲームから離れず」「ゲームをプレイするファン同士で」ゲームを楽しむ方法論を組み立てているのが、PS5の考え方だ。

もう10年以上前、ネットワークがゲームにとって必須のものになって以降、ソニーだけでなくすべてのゲームプラットフォーマーは「コミュニティー」の醸成に力を尽くしてきた。

長期的なエンゲージメントが収益につながるからだ。PS5では、ゲームへのエンゲージメント強化について、「対話」だけでなく「ゲームの中身へのアクセス性強化」をはかることで対応した。

ある意味、ゲーム自体をSNS化することで、コミュニティーとエンゲージメントの強化を同時に狙っている。

そのためにはゲーム側でもコントロールセンターを活用する工夫が必要になり、そのための手間は大きな課題だ。だが、「そこにコストをかけても長くゲームファンとのビジネスが続くようになる」ことをSIEは狙っており、ゲームデベロッパーにもそこを訴求したいのだろう、と感じる。

ここで、話が「ロードの速さ」に戻ってくる。

そうやって、いろんなゲームを行き来したり、ゲームの中のパートを移動したりするならば、「ゲームプレイ中の読み込みの遅さ」は致命的な問題になりえる。

スマホでSNSが成立するのは、「待たなくてもその場でサクサクコミュニケーションが取れる」からである。毎回90秒待つのでは、スマホに慣れた人々の速度感に合わない。

だからこそ、ゲームコミュニティーのSNS化を強化するには、「ゲームの読み込みを究極まで高速化する」ことが必須だったのだ。

動作音が感じられない「静粛性」もゲームへの没入に必須の要素

PS5の本体上部

PS5の本体上部。ファンが奥にあり、エアフローを相当気にした設計であるのがわかる。

撮影:西田宗千佳

最後にもう1つ、重要な要素を指摘しておきたい。

PS5の実機は、比較的サイズが大きい。これは、PS5世代でプロセッサーの性能が上がり、静かで効率の良い放熱のために大きなファンが必要になったためだ。

その成果は明確だ。PS5は、使っていても音がほとんどしない。空気清浄機やエアコンが動いていればまず気にならないだろう。

スマートフォンの簡易的な騒音計での計測だが、本体から50cm離れた場所から計測した場合、室温(22度程度)でのゲームプレイ中のPS5の動作音は平均35デシベル程度。計測場所での周辺ノイズが平均33デシベルなので、「ほぼ変化がない」といってもいい。

自宅のPS4 Proで同じテストをすると、メニュー動作時は平均38デジベル程度で大差ないが、負荷の高いゲームを少し長くやった時には50デシベルを超え、かなりうるさいと感じる。

PS5にピッタリと耳を近づけると、何かが回っている音はするし、本体に触れると若干の振動を感じるため、ファンは相当しっかり回っている。しかし、大口径のものをゆっくり、常に同じように回し続けているので、ゲームプレイを阻害するような音がしないのだろう。

ゲーム機の動作音という意味で、PS4は同時期のライバル機種に比べ劣っていた、という印象を持っているのだが、PS5はそんなことはなさそうだ。これで、宅内で最もうるさい機器は「高負荷動作時のPC」になった。

こうした動作音の変化もまた、「ゲームを日常的に、負担を感じずにプレイしてもらう」という、ゲームのSNS化のために必要な要素だったのである。

(文、撮影・西田宗千佳


西田宗千佳:1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。主な著書に「ポケモンGOは終わらない」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)、「ネットフリックスの時代」(講談社現代新書)、「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)がある。

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