BI Daily Newsletter

【アメリカ大統領選】バイデン氏「当確」でハリス氏も女性初の副大統領に「当確」 米メディア「歴史をつくった」と報道

米主要メディアはバイデン氏の当確を伝え、副大統領候補のカマラ・ハリス氏を「歴史をつくった」と報じた。

米主要メディアはバイデン氏の当確を伝え、副大統領候補のカマラ・ハリス氏を「歴史をつくった」と報じた。

Getty Images

【UPDATE】ABC、CBS、NBC、CNNなどの米主要メディアは日本時間11月8日午前1時過ぎ、アメリカ大統領選で民主党のジョー・バイデン候補(77)が「当選確実」「次期大統領に選ばれた」と伝えた。各社、激戦州ペンシルベニア州で勝利したことが決定打になったと伝えている。

これにより副大統領候補のカマラ・ハリス氏も「当選確実」となり、このまま就任すればハリス氏はアメリカ史上初の女性、非白人の副大統領となる。ニューヨーク・タイムズなどは「カマラ・ハリスが歴史をつくった」と、その人物像を紹介している。

ただ、トランプ大統領は「不正選挙」を繰り返し主張しており、陣営は既に複数の州で開票を巡って提訴している。今後の情勢はまだ不透明だ。(2020/11/08 02:32)






バイデン氏のメッセージは、全てのアメリカ人に届くのだろうか——。

アメリカ大統領選の開票作業が大詰めを迎える中、民主党のジョー・バイデン候補が11月7日午後(日本時間)に地元デラウェア州でスピーチした。バイデン氏は「この選挙に勝つつもりだ」と勝利への自信を見せつつ、「民主主義では、異論があることのが当たり前のこと」と語り、トランプ大統領の支持者にも融和的な姿勢をアピールした。

バイデン氏は、まだ選挙結果は確定していないとしつつ「数字を見れば明らかだ。(選挙人の過半数を獲得して)この選挙に勝つつもりだ」と強調した。

さらにバイデン氏は、新型コロナウイルスの感染拡大と経済危機についてが「国民は計り知れない苦しみを経験した」と述べ、就任初日からこれらの対策に力を尽くすと述べた。

大統領選で国を二分する選挙戦となったことにも触れた。バイデン氏は「アメリカの建国から244年が経つが、民主主義は機能する」「全ての表は集計される。たとえ妨害しようとしても許すわけにはいかない」と強調した。

一方で、トランプ氏が「不正選挙」を繰り返し主張していることを意識してか、バイデン氏はアメリカの根底にある「民主主義」の価値について説き、融和的な姿勢もアピールした。

「社会の分断ではなく、団結しなければならない」
「民主主義では異論があるのが当たり前のこと。それは健全なことだ」
「ライバルではあるが私たちは敵ではない。アメリカ人だ」

こうした発言には、選挙後の国内を団結させ、政権移行をスムーズに運びたいという意図が見える。

バイデン氏は7日の演説の中で、「明日も話をしたい」と語った。連日、国民に向けてスピーチで語りかけることで、勝利への自信を強調したい考えのようだ。

バイデン氏「激戦州でリード」と報道相次ぐ、勝利条件は?

Business Insider

現在、共和党のトランプ氏が214人、民主党のバイデン候補が253人の選挙人を獲得している。バイデン氏は、当選に必要な選挙人(270人)まであと17人に迫っている。

アラスカ州以外では接戦が伝えられるが、激戦州のペンシルベニア州とジョージア州でバイデン氏が得票数で逆転したと、ワシントン・ポストなどが報道。ネバダ州でもリードを保っている。

ただ、各州ではなおも拮抗が続き、慎重な開票作業には終わりが見えない。ジョージア州では、票差が僅かだったことから票を再集計する方針だ。

主要メディアは、まだバイデン氏に「当確」を出していない。

バイデン氏が決定的な勝利をするには、ペンシルベニア州を確保するか、アリゾナ州、ネバダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州のうち2つの州で勝つことが条件だ。

一方のトランプ氏はアリゾナ州、ネバダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州のうち3つの州で勝ち、さらにペンシルベニア州でも勝利することが絶対条件だ。

これでトランプ氏は選挙人269人を確保し、バイデン氏と同数となる。この場合、大統領は下院が、副大統領は上院が選出することになる。

3日連続のスピーチは「勝利への布石」か

投開票日の深夜、支持者に向けてスピーチするバイデン氏。

投開票日の深夜、支持者に向けてスピーチするバイデン氏。

Tasos Katopodis/Getty Images

投開票日以降、バイデン氏は3日連続でスピーチに立っている。11月3日の深夜(日本時間4日午後)は、支持者に向けた短いスピーチだった。

この中でバイデン氏は「結果が出るのは明朝かもしれないし、もっと長くかかるかもしれない」とした上で、「気分は上々だ。私たちは勝利への道に向かっている」と語った。

一方で「我々は忍耐強くあらねばならない」「票の集計が終わるまで待たねばならない」と述べ、開票がまだ続くと強調した。

その後、トランプ大統領が一方的な勝利宣言と不正選挙があると主張するスピーチをしたが、これを受けてバイデン氏は再びスピーチに立った。

バイデン氏は「彼らは敵ではない」と、トランプ氏支持者に対して融和姿勢をアピールした。

バイデン氏は「彼らは敵ではない」と、トランプ氏支持者に対して融和姿勢をアピールした。

Drew Angerer/Getty Images

この時のスピーチで、バイデン氏は自身を支持しなかった有権者に融和姿勢をアピールした。

まず、バイデン氏は民主党の大統領候補ではあるが、当選すれば「全てのアメリカ人のための大統領」として働くと述べた。

さらに「対抗する陣営や支持者と、どれだけ根深く対立しているかわかっている」「彼らは敵ではない」とし、「大統領とは、アメリカ合衆国を代表する人間。投票した人と投票しなかった人を平等に扱う」と語った。

一方で、投票の行方にクギを指すことも忘れなかった。このスピーチが「勝利宣言ではない」としつつ、(270人の選挙人を獲得するために)必要な州で勝利していることは明白だとした。

「投票は神聖なもの」と語るバイデン氏。

「投票は神聖なもの」と語るバイデン氏。

Drew Angerer/Getty Images

さらに6日午前(日本時間)にもスピーチ。バイデン氏は「アメリカにおいて、投票は神聖なものだ。アメリカの大統領を選ぶのは、有権者の意思に他ならない」と語った。

一方で支持者に向けて「どうか冷静に。全ての票は集計される」と呼びかけた。

ネクタイは付けず、少しリラックスしたような雰囲気も醸し出していた。冷静に語りかけることで、不正選挙を繰り返し主張するトランプ氏との違いをアピールすることを意識しているようだった。

バイデン陣営の政権移行チームの公式サイト。スペイン語版もある。

バイデン陣営の政権移行チームの公式サイト。スペイン語版もある。

出典:buildbackbetter.com

バイデン陣営は、ホワイトハウスに入る日に備えて着々と準備を進めている。6日(日本時間)までには政権移行チームの公式サイトをオープン。サイト名は「buildbackbetter.com」。バイデン氏の経済政策「より良く建て直す」にちなんだものだ。

トップページには、このようなメッセージが記されている。

誰が次期大統領になるか、アメリカ国民が決める。まだいくつかの州で開票が続く。国が直面している危機は深刻なもので、パンデミック、景気後退、気候変動、人種差別とあらゆることに及ぶ。

政権移行チームはバイデン・ハリス政権が、就任初日から仕事に着手できるよう全速力で準備を続ける。

4日には、アメリカが地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から正式に離脱したが、バイデン氏は「ちょうど77日後、バイデン政権は再びパリ協定に参加する」とツイート。「77日後」の2021年1月20日は、次期大統領の就任式当日にあたる。

トランプ氏は「不正」主張も、身内の共和党やメディアから批判

会見するトランプ氏。報道陣からの質問は受け付けなかった。

会見するトランプ氏。報道陣からの質問は受け付けなかった。

Chip Somodevilla/Getty Images

トランプ大統領も、現地時間11月5日(日本時間6日午前)にホワイトハウスで会見を開いている。投開票日以降、公の場で語ったのはこれが2回目だった。

トランプ氏は「合法の票を数えれば私の楽勝。違法の票を数えれば、あちら(バイデン陣営)は選挙を盗もうとする」と、不正投票があったと繰り返し主張した。

劣勢が伝えられるトランプ氏、疲れの色は隠せないようだ。

劣勢が伝えられるトランプ氏、疲れの色は隠せないようだ。

Chip Somodevilla/Getty Images

ただ、現時点で不正投票を裏付ける証拠はないことから、各メディアは「トランプ氏は根拠なき主張を繰り返した」と報道。MSNBCは会見中継を中断し、キャスターがリアルタイムで大統領の発言をファクトチェックした。

ニューヨーク・タイムズによると、生中継をしていたABC、CBS、NBCの全米3大ネットワークなども根拠なき嘘が多いとして中継を中断した。これまでトランプ氏を支持する姿勢だったFOXニュースも、キャスターらが「主張を裏付ける根拠は現時点で確認できない」と解説した。

身内の共和党の一部からも批判が出ている。重鎮の一人ロムニー上院議員は「全ての票を数えるのは民主主義の根幹だ」などと声明を発表した。

国を覆う不穏なムード、平和的な政権移行には道遠く…

ミシガン州のトランプ氏の支持者。「ズルをやめろ」と記されたプラカードなどを掲げている。

ミシガン州のトランプ氏の支持者。「ズルをやめろ」と記されたプラカードなどを掲げている。

John Moore/Getty Images

勝敗の行方が決まるまでは、まだ時間がかかりそうだ。

トランプ陣営は法廷闘争に持ち込む構えだ。ミシガン州で「陣営が開票と集計作業を見学するための十分なアクセスが多くの場所で提供されなかった」として提訴。ジョージア州でも集計を止めるために裁判所に訴えを起こした。

法廷闘争となった場合、最終的な決着が付くまで時間を要する可能性もある。

2000年の大統領選でもゴア氏とブッシュ氏がフロリダ州の票の再集計をめぐり、連邦最高裁が再集計を認めないと判断し、選挙結果が確定するまで1カ月を要したことがある。

一方的な勝利宣言をしたトランプ氏。

一方的な勝利宣言をしたトランプ氏。

Somodevilla/Getty Images

トランプ氏が、票の集計をやめるよう連邦最高裁に訴え出る意向を示したことも波紋を広げている。

ペンシルベニア州のウルフ知事は「まだ100万超の数えるべき郵便投票がある。私は全てを数えると市民に約束した」「これは、ペンシルベニア州の選挙、私たちの投票、民主主義に対する党派的な攻撃だ」とツイートし、トランプ氏の発言を批判した。

トランプ氏の発言は、熱狂的なトランプ支持者にも影響を与えた。トランプ氏がリードしている州の開票所には「開票を止めろ」という声が、トランプ氏が追う展開の開票所では「開票を続けろ」という声が響いた。

トランプ氏は今もTwitterを更新し続け、不正選挙をがあったと主張し続けている。こうした中、両候補の支持者の衝突や暴動なども懸念されている。

ペンシルベニア州フィラデルフィアの集結したバイデン氏の支持者とトランプ氏の支持者。

ペンシルベニア州フィラデルフィアの集結したバイデン氏の支持者とトランプ氏の支持者。

Chris McGrath/Getty Images

ペンシルベニア州では、武装した男が襲撃を企てたとしてフィラデルフィア警察が男を逮捕するなど、国全体には不穏なムードが漂う。

CBSによると、7日現在(日本時間)の得票数はバイデン氏は7438万票で、オバマ前大統領の記録(6949万票)を抜いて過去最多となった。

一方、トランプ氏もまた7020万票以上を獲得し、オバマ氏の記録を上回っている。

票数を見れば、アメリカという国全体がトランプ氏を拒絶したとは必ずしも言えない状況だ。

バイデン氏の「民主主義では異論があることは普通のこと。それは健全なことだ」「ライバルではあるが私たちは敵ではない。アメリカ人だ」というメッセージは、全ての国民に届くのだろうか。

アメリカ合衆国が誇ってきた共和政の伝統でもある「平和的な政権移行」が実現できるのか。次期大統領の就任式が予定される2021年1月20日を平穏無事に迎えられるのか、なおも予断は許さない状況だ。

(文・吉川慧

※Business Insider Japanでは、全米各州の開票状況など最新情報を随時お伝えします(※開票状況はBusiness Insider US版などによる)

【UPDATE】タイトルを更新しました(2020/11/08 2:38)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み