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iPhone 12 Pro Maxを「画面、大きすぎ?」と感じるのは理由がある…カメラ性能、サイズにみるメリットとデメリット【実機レビュー】

iPhone 12 Pro Max

iPhone 12 Pro Max。カラーはゴールド。

撮影:西田宗千佳

2020年のiPhoneは4種類あり、2種類ずつ発売される。11月13日には、「iPhone 12 mini」と「iPhone 12 Pro Max」が発売される。すでにiPhone 12 miniについてはレビューをお届けしたが、では、iPhone 12 Pro Maxはどうなのだろうか?

iPhone 12 Pro Maxの箱

12 Pro Maxの箱。ACアダプターとヘッドホンが同梱されなくなったのでかなり薄くなった。

撮影:西田宗千佳

カメラ機能の改善に力を入れた「iPhone 12 Pro Max」。実機レビューで使い込んでみると、「今のスマホ特有の難しさ」も見えてきた。

サイズが少しアップ、でも画面サイズは「もっとアップ」

変化するiPhoneの最大サイズ

アップルのホームページより。これまで「大型のiPhone」はほぼ同じサイズだったが、ついにサイズが変わる。

出典:アップル

iPhoneは2014年発売の「iPhone 6」以降、スタンダードサイズと大型サイズの両方が発売されてきた。初期には「Plus」、ここ数年は「Max」という名称だが、2020年は2019年に引き続き「Pro Max」となった。

スマホの大型化はもう7年以上続く傾向なのだが、意外なことに、「最大サイズ」という意味では、iPhoneはあまり大きさを変えずに来た。

「iPhone 6 Plus」(2014年発売)も2019年の「iPhone 11 Pro Max」も、ホームボタン廃止に伴って画面サイズは大きく変わっている。アップルのホームページでの比較を見てもわかるように、ほぼ同じサイズのままだ。

一方、2020年はほんの少しだが大きくなった。実機を比較してみても、確かにひと回り大きくなっている。

iPhone 大きさ比較

左が12 Pro Max、右が11 Pro Max。ほんの少しだが12世代になって大きくなった。

撮影:西田宗千佳

だが、実際に触るとこのボディーのサイズ差以上に「うわ、大きくなったな」と感じられる。

理由は、ディスプレイが6.5インチから6.7インチへと大型化しているからだ。それに合わせて、ディスプレイの縁(ベゼル)もかなり細くなった。比較してみると、だいたい半分くらいになっているのだろうか。

ベゼルの比較。

ベゼルの太さを比較。左が12 Pro Max、右が11 Pro Max。12になって半分くらいになっている。これには、ボディー形状の変更で、12 Proの側面が直線的に切り落とされていることも大きい。

撮影:西田宗千佳

結果として12 Pro Maxは、11 Pro Maxを使い慣れている人にも「これは大きい」と感じるほど、持った時の感覚が変わっている。一方、重量はどちらも同じ226gだ。

持ち比べてみると「大きい方が重い」と脳が錯覚してることすら感じられる(数字を把握してから持つと同じだと感じるのが、なかなかおもしろいところだ)。

カラーの比較

iPhone 12 Proのシルバー(左)と12 Pro Maxのゴールド(右)の加工を比較。ゴールドはこれまでのiPhoneにないほどストレートな「金」だ。

撮影:西田宗千佳

Pro Maxの大きさを「ダメだ」と思う人もいるかもしれない。それは従来から変わらない。

一方で、実際に使ってみるとポケットなどへの収まりも従来モデルと大差なく、「デザインが変わってディスプレイが大きくなったのだな」という印象に落ち着いてくる。ディスプレイの大きさを魅力に感じて「Max」を選んで来た人ならば、これは好ましく思うのではないだろうか。

今回試用した機種は「ゴールド」なので、縁の加工もゴールド。非常に光沢感が強い加工で、まさに「金」ピカという感じ。

キレイな仕上げだとは思うが、これはかなり好みが分かれそうだ。ちなみに、「iPhone 12 Pro」の試用機材は「シルバー」だったのだが、こちらは「銀」というか「クローム」のような光沢感だ。

カメラが変更に、レンズ大型化で存在感アップ

iPhone 12 Pro Maxを握っている

片手で持ってみた。流石に大きい。

撮影:西田宗千佳

ベンチマークテストの結果は、12 Pro Maxも他のモデルも、性能的には大差ないことがわかった。

アップル的にも「同じiPhone 12」という扱いで、機種のバリエーションに大きく上下をつけているわけではないから、これはこれでと思う。ただし、メインメモリーの容量は、12 Proと同じく「6GB」になっていた(ノーマルのiPhone 12もminiも「4GB」)。

カメラのでっぱり

順番に、12 Pro Max・12 Pro・12 miniのカメラ部。純正ケースを付けて比較すると、12 Pro Maxがかなり大きく、出っ張りも大きくなっているのがわかりやすい。

撮影:西田宗千佳

そうすると、差別化点はほとんどが「カメラまわり」に集中する。

具体的には、周囲の立体構造を把握するための環境センサーである「LiDAR」の存在(こちらは12 Proにも搭載)と、センサーを大きく変えた「広角」カメラ、そして「望遠」カメラの変化だ。iPhone 11世代までは、ProもPro Maxも同じカメラだったが、iPhone 12世代では「Max」のみ差別化して来た。

カメラが変わったせいか、カメラ部の「出っ張り」方は、他モデルよりも大きくなったようだ。

純正ケースを付けて比較すると、12 Pro Maxのみ、カメラ部をおおう「縁」がより高く加工されているのがわかる。そもそもレンズの径も大きい。カメラが3つあることもあって、かなり存在感が増した印象だ。

Pro Maxの「広角」改良の効果は限定的、しかし「ソフトでの画質向上」はプラス

では、実際に撮影をしてみよう。

12 Pro Maxでは、「望遠」は「広角」比で2.5倍(他モデルでは2倍)になり、「広角」は光学手ぶれ補正をレンズシフトからセンサーシフトに変え、イメージセンサーも47%大型化し、「暗い場所で撮るビデオの画質が87%向上した」(アップル)とされている。

特に「広角」カメラの進化は、数字的にも大きな変化であり、「一眼レフなどでも使われる手ブレ補正方式に変えた」ということから、非常に大きな変化があったのだろう……という印象を持たせる。

iPhone 11 Pro Maxの作例

iPhone 11 Pro Maxで撮影(クリックすると大きな画像で表示)。

撮影:西田宗千佳

iPhone 12 Proの作例

iPhone 12 Proで撮影(クリックすると大きな画像で表示)。

撮影:西田宗千佳

iPhone 12 Pro Maxの作例

iPhone 12 Pro Maxで撮影(クリックすると大きな画像で表示)。

撮影:西田宗千佳

けれども正直に言えば、筆者の目には、ProとPro Maxで大きく改善したようには見えなかった。

もちろん、確かに良くはなる。夜の暗い場所などではぶれの影響が小さくなって絵がシャッキリするし、夜間動画での光の「尾引き」も目立ちにくくなる。

光が当たった柱のような場所の丸みも、12 Pro Maxの方が良いと思う。カメラ性能こだわるのであれば、「iPhoneの中で選ぶなら12 Pro Maxがベストだ」ということは揺るがない。

iPhone 11 Pro Maxの東京駅作例

iPhone 11 Pro Maxで撮影(クリックすると大きな画像で表示)。

撮影:西田宗千佳

iPhone 12 Proの東京駅作例

iPhone 12 Proで撮影(クリックすると大きな画像で表示)。

撮影:西田宗千佳

iPhone 12 Pro Maxの東京駅作例

iPhone 12 Pro Maxで撮影(クリックすると大きな画像で表示)。

撮影:西田宗千佳

だがそれは、場合によっては「画像を拡大して違いを探していくと」というレベルの話になってしまう。

一方、写真画質の改善という意味では、iPhone 12や12 miniも、相当がんばっている。筆者の好みと比較すると「少し明るくはっきり撮れ過ぎる」気もするのだが、iPhone 11時代の写真よりも良いものが撮れるシーンは増えている。

これは、センサーなどの進化だけでなく、ソフトウェアによる写真画質改善、いわゆる「コンピュテーショナル・フォトグラフィ」の効果がはっきり出ている証拠だろう。

iPhone 11 Pro Maxのズーム作例

iPhone 11 Pro Maxで撮影(クリックすると大きな画像で表示)。

撮影:西田宗千佳

iPhone 12 Pro Maxのズーム作例

iPhone 12 Pro Maxで撮影(クリックすると大きな画像で表示)。

撮影:西田宗千佳

だとすると、やはり多くの人にとっては「iPhone 12になったことによる変化」の方が大きく、Pro Maxであることの変化は付加的である……とは言えないか。

現在は実装されていないものの、今後のソフトウェアアップデートでは、「Apple ProRAW」という新しい保存形式が登場する。そうすると、より微細なデータを使って写真の画質を突き詰めることもできるだろう。

Pro特有のメインメモリーの多さ(4GB→6GB)は、そうした部分でプラスでもある。Apple ProRAWは12 Proと12 Pro Maxにしか搭載されないのだが、そういう事情があるのかもしれない。

なお、「望遠」の強化は誰の目にも明らかだ。ほんのちょっとだが「もっと寄れる」のは大きな価値である。

スマホ搭載LiDARのもつ「3Dスキャン」の可能性

Polycam 水飲み場

「Polycam」を使い、近所の公園の水飲み場を正面まで移動。

撮影:西田宗千佳

もう1つの価値である「LiDAR」はどうだろう?

こちらも写真に影響がある。しかし、12 Proのレビューでもわかったことだが、明るいところでの変化は限定的で、夜で補助的に使われているようだ。

むしろこちらも、コンピュテーショナルフォトグラフィの効果が大きく、「iPhone 12全体での改善が大きい」部分だった。

LiDARについてはやはり、iPad Proと同じく「AR関連」で楽しむがベストだ。

iPhone 12 Proのレビュー時は発売前だったので、LiDARを使うiPhone向けアプリはほとんどなかった。しかし今は12 Pro発売後であるので、アプリがかなり公開されるようになった。

個人的におもしろかったのは「3Dスキャン」だ。LiDARで目の前の風景の3Dデータをつくるものだが、iPhoneというスマホに搭載されると途端に手軽になる。

iPad Proを抱えるのに比べ、やはり楽だ。筆者がオススメするのは「Polycam」というアプリだ。

公園の水飲み場をスキャンして別の場所に持って行ったり、東京駅前にあるオリンピックのカウントダウンクロックを自宅に持ち帰ったりと、普通はできないことが手のひらの中の端末だけでできる。

Polycam 東京駅

東京駅前でキャプチャしてきた「カウントダウンクロック」を近所の公園に「召喚」。サイズは実寸大だ。

撮影:西田宗千佳

アップルが採用しているLiDARはそこまで高精度なものではないようで、細かいディテールまでは取り込めないことも多い。だが、ここで示したようなことが「数分以内」、キャプチャだけなら数十秒で終わるなら、画期的なことだ。

多数の画像から同じように3Dモデルを生成する技術(フォトグラメトリー)もあるが、その違いは「手軽さ」に尽きる。

もちろん、こうして自由に色々な立体物を取り込めるようになると、トラブルも考えられる。しかしそれよりも、こうした技術が生み出す産業やエンターテイメントの可能性に目を向けたい。建築や教育、デザインなどの分野には極めて大きな影響が生まれそうだ。

(文、撮影・西田宗千佳


西田宗千佳:1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。主な著書に「ポケモンGOは終わらない」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)、「ネットフリックスの時代」(講談社現代新書)、「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)がある。

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