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- この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「AIによる医療事務支援(AI in Healthcare Administration)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから
この10年、アメリカの医療現場で医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)が蔓延しており、年間で46億ドル(約4750億円)もの損失を出す大問題となっている。パンデミック前からアメリカの医師の40%以上がバーンアウトの症状を感じていたが、コロナとの戦いによるストレスで、この数字はさらに拡大していると思われる。
「医師不足」で疲弊する現場にコロナが追い討ち
医師の燃え尽き症候群によって、アメリカでは年間46億ドルもの損失が発生し、コロナ前の時点で40%以上の医師が燃え尽き症状を感じていた。医療の最前線における深刻な問題だ。
Business Insider Intelligence
医師が疲弊する原因のひとつに、人手不足がある。パンデミック前にアメリカ医科大学協会(Association of American Medical Colleges:AAMC)が発表した資料によると、アメリカでは2033年までに13万9000人の医師が不足するという。こうしたなかでコロナウイルスの問題が発生し、医師の疲弊にさらに拍車がかかっている。
医師のストレスを軽減し、燃え尽きによって生じるコストを抑えようと、医療機関はさまざまな方法を探っている。アメリカ合衆国保険福祉省(HHS)もこの問題を重く見て、医療機関と情報を共有しながら対策に乗り出している。
解決策のひとつとして注目されるのが、医療関連の事務作業を支援する機械学習や音声アシスタントなどのAIソリューションだ。近年、多くのデジタルヘルス・スタートアップやIT大手が、こうしたサービスを提供している。医師の負担軽減に向けた業界の動きが活発化するなか、提供企業にとって好機が訪れている。
煩雑な事務作業を効率化するAIソリューション
医師の「燃え尽き」の最大の要因はカルテ記入や書類作成などの「事務作業」。続いて「長時間労働」「職場の人間関係」「デジタル化」「少ない報酬」(2019年6〜9月に行われたオンライン調査)。
Business Insider Intelligence
インサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「AIによる医療事務支援」では、医師を疲弊させている主な原因を示し、バーンアウトをなくすためにデジタルヘルス企業やIT大手が開発しているAIソリューションについて解説する。
レポートの冒頭では、「膨大な量の事務作業」や「長時間労働」など、燃え尽きの背景にある原因を分析。次に、医師の負担軽減に最も役立ちそうな4つのAIソリューションを紹介する。
また、現在使われているこれらのツールには限界もあり、導入を躊躇する医師もいる。そうした課題についても論じ、最後に今後の技術の発展を予想する。
本レポートで言及される企業:
Amazon, Amazon Web Services, Amgen, Apple, Austin Regional Medical Clinic, Cerner, CommonSpirit Health, Google, Google Cloud, Microsoft, Nebraska Medicine, Notable Health, Nuance, Suki, and Wolters Kluwer
本レポートのキーポイント:
- この10年間、医師のバーンアウトの問題は危機的な状況が続いていたが、新型コロナウイルスの流行でさらに深刻化している。
- 医師が挙げる燃え尽きの最大要因が、カルテ記入や書類作成などの事務作業だ。長時間労働も大きな原因だと考えられている。
- デジタルヘルスのスタートアップやIT大手は、医師が診療に集中できるよう、タスクの自動化で事務作業を効率化するAIソリューションを提供している。
- AI技術は医師の負担軽減に役立つが、コストやROIなどの面で課題があるため、導入を躊躇する医療機関もある。
- 医師の事務作業をサポートするAIソリューションを開発するデジタルヘルス企業やIT大手は、現行サービスの制約や欠点を改善することで、さらなる効率化と幅広い普及を目指している。
本レポートの完全版では:
- アメリカの医療現場で問題となっている医師の燃え尽きについて、その主な要因を示す。また、コロナウイルスの流行により、医師にかかる負担が増大したことについても触れる。
- デジタルヘルスのスタートアップやIT大手など、医師の負担軽減に最も有効だと思われるAIソリューションを提供する企業について解説する。
- 現在活用されているAIソリューションの限界を明らかにし、医療機関にとって導入のハードルとなっている課題について論じる。
- 医療現場の事務作業をサポートするAI技術の今後の進化と、市場の発展について予想する。
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(翻訳・野澤朋代)