2016年とは全然違う! 米大統領選後の政権移行に向け、何が起きたかを1日ごとに比較してみた

2016年、2020年

2016年(左)と2020年(右)では、かなり様子が違う。

Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images / John Minchillo/AP

  • アメリカでは、トランプ大統領が大統領選での敗北を認めることを拒否し続けていることで、民主党の大統領候補で当選が確実となったジョー・バイデン氏の政権移行に向けた準備に影響が出ている。
  • 今の状況は、2016年の状況 —— ヒラリー・クリントン候補が"敗北宣言"をし、オバマ政権がトランプ大統領やその側近にきちんと引継ぎを行った —— とは対照的だ。
  • 4年前との比較を1日ごとに見ていこう。

トランプ大統領が大統領選での敗北を認めることを拒否し続けていることで、民主党の大統領候補で当選が確実となったジョー・バイデン氏の政権移行に向けた準備に影響が出ている。

これは4年前、大統領選で"勝利"したトランプ氏にオバマ政権が道を譲った際の状況とは対照的だ。

Business Insiderでは、アメリカの複数の主要メディアが当選確実を報じてからの2016年と2020年の状況を1日ごとにまとめた。4年前との比較を見ていこう。


1日目:ヒラリー・クリントン候補(当時)が敗北を認める/トランプ大統領はゴルフへ、自身の"勝利"を主張

クリントン、トランプ

(左)敗北宣言をしたヒラリー・クリントン候補、(右)ゴルフに出かけたトランプ大統領。

Matt McClain/The Washington Post via Getty Images / Samuel Corum/Getty Images

2016年、クリントン候補は大統領選の一般投票が行われた日の夜、日付をまたいだ午前2時30分頃、トランプ氏に彼の勝利を受け入れる旨、電話をかけたとガーディアンが報じた

CBS Newsによると、翌日には一般調達局(GSA)が政権移行にかかる資金の放出を認めた。

クリントン候補は11月9日昼までに敗北宣言をし、The Weekによると、アッシュ・カーター国防長官(当時)は同日、平和的な政権移行を正式に命じた。

2020年、複数の主要メディアがバイデン候補の当選が確実になったと報じる中、トランプ大統領の姿はゴルフ場にあった。

大統領の個人弁護士ルディ・ジュリアーニ氏はFour Seasons Total Landscapingという造園会社の前庭で記者会見を開き、大統領が選挙結果をめぐって訴訟を起こす考えであることを発表した。

その日の夜、トランプ大統領は「この選挙はわたしが勝った、大差をつけて!」とツイートした


2日目:オバマ大統領(当時)は報道陣の前で握手/トランプ大統領は"不正選挙ホットライン"を開設

トランプ、オバマ

2016年11月10日、ホワイトハウス。

Reuters

2016年11月10日、バイデン副大統領(当時)は"次期副大統領"のマイク・ペンス氏と、ファーストレディーのミシェル・オバマ夫人(当時)はメラニア・トランプ夫人とそれぞれ会談した。

オバマ大統領(当時)とトランプ氏は大統領執務室で1時間半をともに過ごしたと、ニューヨーク・タイムズは報じた。報道陣の前でオバマ大統領はトランプ氏と握手もした。

2020年11月8日、無党派のCenter for Presidential Transitionはトランプ大統領に政権移行の手続きを進めるよう求める声明文を発表した

だが、共和党支持者らはトランプ大統領が開設した"不正選挙ホットライン"に通報するよう求められた。その後、ホットラインにはいたずら電話が殺到した

同日、メラニア夫人は「全ての合法的な票は集計されるべきだ」とツイートし、選挙に不正があったとするトランプ大統領の主張を支持するコメントを初めて発表した。


3日目:オバマ大統領(当時)は"お別れツアー"を準備/トランプ大統領は法廷闘争を煽る

バイデン

新型コロナウイルス対策チームのメンバーとビデオ会議を行うバイデン氏(2020年11月9日、デラウェア州)。

Jonathan Ernst/Reuters

2016年11月11日、オバマ大統領(当時)の各国を回るお別れツアーの詳細が発表された。ツアーは同盟国にトランプ氏と仕事をする準備をしてもらうための助けになるだろうとオバマ大統領が語ったと、AP通信は報じた

2020年は、バイデン候補の当選が確実になったと報じられてから3日経ってもトランプ大統領は"敗北"を認めていない。バイデン氏は自身の新型コロナウイルス対策チームのメンバーを発表、ビデオ会議を行った。

ツイッターでは、トランプ大統領が選挙に不正があったとする主張を繰り返した。自身を支持する右派メディアのリンクや一部の州での票集計にまつわる噂などを含むツイートを合計で25回投稿した。その多くはツイッターから"誤解を招く恐れのあるコンテンツ"とのラベルを付けられた。


4日目:トランプ氏はオバマ大統領(当時)のレガシーを取り消そうともくろむ/ポンペオ国務長官は「トランプ政権2期目」を予測

バイデン

オバマケアについて語るバイデン氏(2020年11月10日、デラウェア州)。

Jonathan Ernst/Reuters

2016年11月12日、トランプ氏はクリス・コリンズ氏を自身の政権移行チームの責任者に指名したと、ロイターが報じた

政権移行チームはニューヨーク・ポストに対し、トランプ氏がオバマ大統領の方針を覆し、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する考えを示した。

(バイデン氏は自身が大統領に就任したら、パリ協定に復帰する考えを示している)

2020年、"当確"が報じられてから4日が経つ中、トランプ政権はバイデン氏の進捗を遅らせ続けていた。

ポンペオ国務長官は記者会見で「トランプ政権2期目」に向けて円滑な移行があるだろうと語り、のちに大統領から称賛された。

だが、トランプ大統領の側近からは、選挙結果を争っても勝ち目はなさそうだとの声も聞かれると、ワシントン・ポストは報じている

政権移行に向け、現政権から協力が得られていないことについて記者会見で尋ねられたバイデン氏は、「率直に言ってこちらの作業は何も停滞していない」と答えた。

また、トランプ大統領が"敗北"を受け入れていないことについては「恥ずかしい」としたものの、「大したことではない」と付け加えた。


5日目:"次期大統領"は重要な課題を設定しようとする/現職大統領が世論調査は陰謀だと主張

トランプ

"次期大統領"としてテレビ番組に出演したトランプ氏(2016年11月)。

CBS News/YouTube

2016年11月13日、トランプ氏は自身の首席補佐官にラインス・プリーバス氏を、首席戦略官にスティーブ・バノン氏を指名したとガーディアンが報じた

CBSの番組『60 Minutes』が放送したインタビューでは、オバマケアに対する自身の強硬姿勢を転換させるなど、政権移行を前に選挙戦で打ち出した自身の方針の一部を加減した。

2020年、トランプ大統領は非難を続けている。今回、攻撃したのはABC Newsとワシントン・ポストだ。2社が共同で行ったウィスコンシン州の世論調査が、支持者の投票へ行く気を削ぐために、大統領選でトランプ大統領が勝つ可能性を意図的に低く発表したと主張している。

この主張を裏付ける証拠はない。だが、トランプ大統領は「我々は今、この州で勝つ準備をしている」と付け加えた。


6日目:トランプ氏は自分の3人の子どもたちに機密情報へのアクセス権限を与えるよう求める/国務省がバイデン氏へのメッセージをブロック

子どもたち

トランプ大統領の子どもたち(2016年12月14日、ニューヨーク)。

Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images

2016年11月14日、トランプ氏はホワイトハウスに対し、自身の子どもたち —— イバンカ、ドナルド・ジュニア、エリック —— に最高レベルの機密情報へのアクセス権限の付与を検討するよう求めたと、NBC Newsが報じた

この要求は拒否されたが、2018年にはイバンカ氏とその夫ジャレッド・クシュナー氏にアクセス権限を付与するため、トランプ大統領は首席補佐官の判断を覆した。

一方、2020年の"6日目"は、バイデン氏が世界の指導者たちからのお祝いのメッセージへのアクセスを未だに国務省から与えられていないと、CNNが報じた

国務省は伝統的に、こうしたメッセージを"次期大統領"に渡してきた。だが、トランプ大統領が自身の"敗北"を受け入れていないため、国務省はメッセージを渡すことを拒否しているという。

[原文:A day-by-day timeline of how Trump is blocking the kind of presidential transition he got from Biden and Obama

(翻訳、編集:山口佳美)

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