ソニー・インタラクティブエンタテインメントの社長兼CEO、ジム・ライアン。
Sony PlayStation
- ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は 11月12日、「プレイステーション5(PS5)」 を発売した。
- PS5の発売に当たって、SIE社長兼CEOのジム・ライアンに、波乱に満ちたこの1年、チームをどのように運営したかについて聞いた。
- ライアン社長は、PS5の発売までに多くのことを学んだと言い、パンデミックが終わっても、ビジネスは昔のやり方に戻らないと信じているという。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は11月12日、次世代ゲーム機のプレイステーション5(PS5)を日本を含む7カ国で発売した。何年にもわたって開発が続けられてきたこのゲーム機は、11月19日に全世界で販売を開始する予定だ。
SIEは当初からPS5を「2020年のホリデーシーズン」に発売する計画だった。しかし、2020年の初めにCOVID-19が世界中に広がったとき、SIEのジム・ライアン社長兼最高経営責任者(CEO)は発売できないのではないかと考えていたという。
「それが何を意味するのか、我々に何ができるのか、誰にもわからなかった」とライアンはBusiness Insiderに語った。
ハードウェア・エンジニアは、このゲーム機の完成させることができるのか? ソフトウェア・エンジニアはPS5のユーザーエクスペリエンスを完成させることができるのか? ゲーム開発者はゲームを作り終えることができるのか?
「当時は、これらすべてがわからなかった」とライアンは述べた。
「しかし、それ以上にわからなかったのは、我々のサプライチェーンがどの程度危険にさらされているかだ。主に中国や東南アジアなどの地域でプレイステーション用の部品を製造している何百もの企業のことだ。その時点では、彼らがどの程度稼働できるのか、まったくわからなかった」
ライアンによると、彼のチームはこの大きな問題に対する答えを「比較的早く」見つけることができたという。
「非常に困難な時期だったが、我々は冷静に、それらを一つ一つこなしていった」と彼は言った。
「我々は(そんな状況から)抜け出して『我々にはできる。妥協点もあるだろうし、COVID-19がなかったら、こんなことにはならなかっただろうが』と思った」
発売までのプロセスは大きく変わった
パンデミックは、PS5の発売までのプロセスを大きく変えた。しかし、いくつかの変更は良い結果をもたらしたという。
「我々は、これまでの行ってきたことの多くが不要であり、場合によってはほとんど無意味で愚かなものだったことを学んだ」とライアンは述べた。
PS5が当初、6月にニューヨーク市で、ゲーム機本体と初のPS5用ゲームを巨大スクリーン、大音量の音楽、ドライアイスを使って披露する予定だった。結局それは実現せず、SIEはこのイベントをオンラインで開催することにした。それは大成功だった。
「このデジタルイベントは、ニューヨークでのショーのストリーミング中継を見なかったかもしれない何百万人もの人々にリーチできたという点で、非常に効率的だった」と彼は述べた。
我々が何年にもわたって行ってきたことの多くは不要であり、場合によってはほとんど無意味で愚かなものだったことを学んだ
また、パンデミックの影響で、グローバル・チームは移動を大幅に減らさなければならなかった。世界中を飛び回って各地のオフィスを訪れていたライアンにとって、一カ所にとどまることは「解放の実現」だった。
ライアンは以前、東京、カリフォルニア、ロンドンを行き来していたが、今は家族と一緒に家にいる。
「あちこちを旅していた頃と比べて、自分のパフォーマンスはそれほど変わっていないと思う。このことは大きな学びになったし、それは私だけではないと思う」
長時間通勤してパソコンの前に座っていたSIEの従業員も同じだ。「今では、そのような仕事は、自宅でできるとわかっていると思う」と彼は述べた。彼は、従業員が自分に合った方法で「自分の人生を豊かにする」ための少し余分な時間を持つことを望んでいる。
「我々がやるべきことは、物事が正常に戻ったとき、2019年の古い働き方に後戻りしないようにすることだ」と、彼は言いました。
「これらは我々が維持しなければならないものだ」
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)