イタリア、コロナ第2波で医療崩壊の危機…診療待ちの車内で酸素吸入

車の中で待っている間に酸素吸入を受ける患者。2020年11月9日、イタリア、ナポリのコトゥーニョ病院で。

車の中で待っている間に酸素吸入を受ける患者。2020年11月9日、イタリア、ナポリのコトゥーニョ病院で。

Ciro de Luca/Reuters

  • スカイニュースによると、イタリアのナポリにあるコトゥーニョ病院では、治療を待っている患者に車の中で酸素吸入を行った。
  • 映像には、駐車場で待機している車の列が写っており、医療従事者が車の窓からチューブを差し込み、酸素を供給していた。
  • ​イタリアではCOVID-19の第2波の真っただ中にあり、新たな症例が急増している。​11月11日に新たに3万3000人の感染者と死者623人が報告されている
  • ​最近では、ナポリの別の病院のトイレで死亡した患者が発見され、イタリア全体に衝撃を与えた。

イタリアのナポリでは、コロナウイルス感染が疑われる患者が、病院の駐車場の車の中で酸素吸入を受ける事態になっていると、スカイニュースが報じた

ナポリのコトゥーニョ病院の外に並んだ自家用車や救急車には医療従事者が付き添い、呼吸困難を訴える患者のために酸素ボンベを用意したという。

​The Irish Timesがツイッター(Twitter)に投稿した動画が、この状況を示している。

コトゥーニョ病院は感染症の専門病院で、パンデミック第1波では、当時スカイ・ニュースが報じていたように「モデルとなる病院」だと称賛された。

イタリアは、COVID-19パンデミックの第2波を迎えている。同国は2020年11月11日に新たに3万3000人の感染者と623人の死者を報告し、3月の数字に近づいている。

イタリアのルイジ・ディマイオ(Luigi Di Maio)外相はフェイスブック(Facebook)の投稿で、ナポリを含むカンパニア州に「直ちに介入」する必要があると述べた。ディマイオ外相は、別のナポリの病院のトイレで死亡しているのが発見された患者の動画についても言及した。

「ここで話していることが現実だ」と彼は述べ、州から報告された深刻な状況を説明した。駐車場の車の中で治療を受けている人々、救急隊員が病院に運べず救急車で亡くなっている人々、電話をかけ続けても家から出られない人々がいる、と。

2020年11月9日、コロナウイルス感染症が拡大する中、コトゥーニョ病院の外で車の横で待機する人々。

2020年11月9日、コロナウイルス感染症が拡大する中、コトゥーニョ病院の外で車の横で待機する人々。

Ciro De Luca/Reuters

The Local Italyによると、カンパニア州はイタリアの3段階のリスクカテゴリーの「黄」のゾーン(第1段階)にあり、ロックダウンによる行動制限は最小限にとどまっている。​しかし、閣僚らは、軍を派遣し、より厳しい「オレンジ」または「赤」のゾーンへ移行させることを検討していると、地元紙のイル・マッティーノ(Il Mattino)が報じた。

​同紙によると、イタリアのジュゼッペ・コンティ(Giuseppe Conti)首相は、「ナポリの医療機関の重大な問題が広く報告されているのであれば、警告を発する必要がある」と述べた。

第2波の到来で状況が全国的に悪化する中、10月26日に導入された新しいロックダウン施策は、ナポリを含むいくつかの主要都市では暴力的な抗議活動で迎えられた。

病院のトイレで死亡した患者の映像が流出

​ナポリ市内の別の病院、アントニオ・カルダレッリ病院で、COVID-19の治療を受けていた男性が救急治療室のバスルームで死んでいるのが発見された、とイル・マッティーノが報じた。死因はまだ特定されていない。病院のスタッフが彼が長い時間病室にいないことに気がついたことで遺体が発見されたという。その後、遺体を映したビデオが、インターネット上で広く出回った。同紙によると、​病院関係者らが遺体を運び出すため担架を探している間に撮影されたものだという。同病院のジュゼッペ・ロンゴ(Giuseppe Longo)院長は、この事件が「世間に恐怖と危険を広めることを目的とする行動の対象になったことは遺憾だ」と述べた。

ディマイオ外相はフェイスブックの投稿で、この映像が「衝撃的だった」と述べている。

「カルダレッリ病院で遺体が発見されたことは、カンパニア州から毎日のように私のもとにやってくる数多くの報告の中でも、最も生々しく、最も暴力的なものだった」

[原文:A hard-pressed Italian hospital resorted to giving oxygen to COVID-19 patients in their cars outside

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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