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ユーグレナ減収減益も、売上高は「待望の」増加基調に転換果たす。来期は過去最高を予想

決算

2020年9月期の通期決算資料。前期と比較して、減収減益となった。

出典:ユーグレナ2020年9月期本決算説明および2021年9月期事業方針資料

11月16日、ミドリムシを利用したバイオジェット燃料や健康食品などを開発・販売するバイオベンチャー・ユーグレナは2020年9月期(2019年10月1日〜2020年9月30日)の決算報告会を開催。

売上高は約133億円と2期連続の減収。営業利益も、約18億円の赤字だった。

一方で、2018年9月期の第4四半期(7〜9月)をピークに減少が続いていた売上高については、2020年9月期の第2四半期(1〜3月)を機に上昇傾向へ転換。

直近の第4四半期(7〜9月)の売上高は、ピークの約9割に当たる約38億円まで回復した。来期(2021年9月期通期)の売上高は過去最高となる152億円になるとの見通しを示している。

定期購入者数は過去最高水準の29万人超え

2021年の見通し

2021年9月期の業績見通しでは、過去最高の売上高を予想している。

出典:ユーグレナ2020年9月期本決算説明および2021年9月期事業方針資料

ユーグレナは前述のピークから減少傾向が続いた売上高を改善するため、事業ポートフォリオの見直しなどを進めてきた。

ただし、広告の最適化を図るなかで売り上げが減り、粗利益も減少。同時期にバイオ燃料の実証プラントが稼働したことで研究開発費が増加していた。

はたから見れば「不調」というわけだが、永田暁彦副社長は、

「全体的に事業が不調というように見えてしまうかもしれないが、そうではないと考えている」

と説明。

自信を見せた理由は、セグメント単独で見ると以前から黒字を維持していたユーグレナの主力、ヘルスケア事業の売り上げが改善されたことにある模様だ。

売り上げトレンド

ユーグレナの売り上げ推移。2020年9月期の第2四半期(1〜3月)を底に、大きな回復を示している。

出典:ユーグレナ2020年9月期本決算説明および2021年9月期事業方針資料

永田副社長は、

「ブランドの数が増えて、最適なブランドに投資できる環境が整ってきた」

と好調の要因を説明する。

成長の軸となっているのは、通販事業(直販)の販売数の伸び。

通販事業の売り上げ

定期購入者数は2019年12月で底打ち、増加に転じている。また、マーケティング戦略を変更した成果か、オンライン経由で購入される割合も増えてきている。

出典:ユーグレナ2020年9月期本決算説明および2021年9月期事業方針資料

もともと、ユーグレナの通販事業ではハガキや電話による注文の割合が多かった。そこで、マーケティングをデジタルにシフトさせたことで、直販におけるオンライン比率が上昇。

「(ユーグレナグループの商品の)定期購入者数は2018年4月をピークに減少の一途をたどっていたが、2019年12月を底に再成長に入っている。この9月末には、29万6000人と過去最高水準にまで戻ってきた」(永田副社長)

とりわけ、フルリニューアルした主力商品「からだにユーグレナ」への集中投資により、売り上げが増加しており、2021年以降も引き続きユーグレナ(ミドリムシ)の素材としての価値、商品の認知向上に向け、同商品に対する投資を進めていくとしている。

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ユーグレナの主力商品のひとつ、「からだにユーグレナ」の商品紹介サイト。

撮影:三ツ村崇志

また、2020年5月以降、直販ブランドであるMEJ社のダイエット健康食「C COFFEE」の売り上げも急成長。

「詳細は開示していませんが、100億円規模のヘルスケア事業の中で、十分主力と言える存在に成長した」(永田副社長)

ユーグレナとしては、こういった主力事業で利益を確保しながら、バイオ燃料事業をはじめとした先端投資領域への投資を進めていく方針。

なお、ヘルスケア事業の成長は、コロナ禍における健康意識の高まりも追い風となった模様だ。

バイオ燃料事業は2025年以降の「商業化」目指す

バイオ燃料

11月には、日本航空がサンフランシスコとの定期便にバイオジェット燃料を利用することが報じられた。日本でのバイオ燃料の需要も高まっている。

出典:ユーグレナ2020年9月期本決算説明および2021年9月期事業方針資料

ユーグレナの悲願は、ミドリムシを由来とした「バイオジェット・ディーゼル燃料」の実用化・商用化だ。

2020年1月末には、バイオジェット燃料の国際規格「ASTM認証」を取得。3月には、神奈川県横浜市鶴見区にある同社のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントでのバイオ燃料の製造を開始し、4月以降、続々とパートナー企業に対してバイオディーゼル燃料の供給を進めてきた。

2020年9月期は、同社としてバイオ燃料事業で初めて売り上げが発生したことになる。

また、10月には、ユーグレナがインドネシアで進めるバイオジェット燃料商業プラントに関する研究開発事業がNEDOの公募事業として採択され、5年間で数十億円規模の助成金を獲得。研究開発が欠かせないバイオ燃料事業にとって、当初想定していたよりも自社資金の投資を抑制することが期待される。

ポジティブな話題が多い一方で、当初2020年9月期中に予定していたバイオジェット燃料を利用した航空機の商業フライトは、関係各所への新型コロナウイルスの影響を鑑み、「2021年9月期中の早いうち」に延期した。

なお、バイオジェット・ディーゼル燃料の商用プラント完成までのスケジュールについては、以前までと同様、2025年以降を目指している。

永田副社長は、商用プラントの開発に関する現状の課題を「設置場所とパートナー企業の確定と発表が重要なマイルストーンになる」と語る。

横浜市鶴見区に現在稼働中の実証プラントを建設した際には、場所とパートナー企業の確定から建設まで3年かかった。これを踏まえて考えると、仮に2025年に商業プラントを稼働させようとするなら、それほど時間に余裕はなさそうだ。

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ユーグレナは2020年8月、コーポレートフィロソフィーを「サスティナビリティ・ファースト」とすることを発表。各事業をこの考え方に準じた形へと変化させている。

出典:ユーグレナ2020年9月期本決算説明および2021年9月期事業方針会見画面キャプチャ

また、同社は2020年8月に、企業理念を刷新しコーポレートフィロソフィーとして「サスティナビリティ・ファースト」を掲げた。これに伴い、各事業の再定義を進めている。

これまで社会貢献活動の一貫として見られることが多かったバングラディシュへの食料支援やWFP(国連世界食糧計画)と連動した農業支援などについても、持続可能なソーシャルビジネスとして転換を図っていく方針を示している。

(文、三ツ村崇志

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