「あれはヌーディストみたいなもの?」ビル・ゲイツ、マスク着用に抵抗する人々を理解できず

ビル・ゲイツ

ビル・ゲイツ(2019年11月6日、ニューヨーク)。

Mike Cohen/Getty Images for The New York Times

  • マイクロソフトの創業者でビリオネアの慈善家ビル・ゲイツは、人々がなぜマスク着用に抵抗するのか理解できないと、最新のポッドキャストで語った。
  • 「あれはヌーディスト(裸体主義者)みたいなもの?」とゲイツは語った。「パンツを履けと言われて、アメリカ人は誰も —— またはごくわずかな人しか —— それがひどいことだとは言わないだろう」
  • ゲイツは、専門家は当初、他の呼吸器系ウイルスについて分かっていることに基づいてアドバイスしていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はそれらとはだいぶ違うことが分かったと言い、今ではマスクを支持するエビデンスが「圧倒的に多い」と指摘した。
  • ゲイツと女優ラシダ・ジョーンズの新たなポッドキャスト・シリーズ『Bill Gates and Rashida Jones Ask Big Questions』では、感染症の専門家でアメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長アンソニー・ファウチ博士のインタビューも行っている。

マスクは新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるのに役立つ。そのエビデンスはたくさんある。

マスク着用が義務付けられた場所では感染率が下がり、最新のあるモデルは全てのアメリカ人がマスクを着用すれば、3月までに6万3000人が命を落とすのを防ぐ可能性があると示している。

だが、全てのアメリカ人が同意見ではない。科学に反対し、独立に賛成する政治的ステートメントとしてマスク着用を拒否する人々もいる。

ビル・ゲイツはこうした人々が分からないという。

「誰かがマスク着用に抵抗しているというのは、わたしにとってはものすごく不思議なことだ」とゲイツは11月16日(現地時間)にリリースされた女優でコメディアンのラシダ・ジョーンズとの新しいポッドキャスト・シリーズ『Bill Gates and Rashida Jones Ask Big Questions』の第1話で語った。

「あれはヌーディスト(裸体主義者)みたいなもの? パンツを履けと言われて、アメリカ人は誰も —— またはごくわずかな人しか —— それがひどいことだとは言わないだろう」

ジョーンズも同じ意見だ。

「すぐにでも通常の生活に戻りたいなら、マスクを着けるか、マスクを着けずに家にいるか。でも、両方を求めるというのは、ただ状況が良くなって欲しいと言っているように聞こえる。状況は良くないのだから、ありのままの現状に対処するしかないのでは?」

するとゲイツは「マスクはより多くのことを教えてくれる」と話した。

パンデミックの初期、なぜマスクは重要だと考えられていなかったのか

この第1話で、ジョーンズはゲイツに、公衆衛生の専門家たちがなぜ新型コロナウイルスの感染拡大の防止にマスクが効果的だと初めから考えていなかったのかを尋ねた。

ゲイツは、パンデミックの初期、専門家たちは一般的な風邪やインフルエンザといった他の呼吸器系ウイルスについて分かっていることに基づいてアドバイスをしていたと説明。こうしたケースでは、咳をした時に感染が広がる恐れはあるものの、単に会話をしただけでも感染が広がりかねないCOVID-19に比べるとウイルスの広がりやすさが全く違うと語った。

「新型コロナウイルスに見られる信じられないほどのウイルス量が、その他の呼吸器系ウイルスの大半では生じない」とゲイツは言う。

例えば、風邪をひいた人がマスクなしで1時間、他の人たちと同じ部屋で過ごしても、大半の人は健康なままだ。だが、新型コロナウイルスに感染した人がマスクなしで1時間、他の人たちと同じ部屋で過ごすと、「かなりの割合の人」が感染してしまう。「はしかのようだ」とゲイツは言う。

「インフルエンザの咳のモデルは、間違いだったと分かった」

また、無症状の人からも広がるCOVID-19の感染力は、まれだとも指摘した。風邪やインフルエンザにかかった人は、周りに感染を広げる可能性がある時期はシンプルに体調が良くないため、家にとどまる傾向があるのに対し、新型コロナウイルスに感染した人は不調を感じないまま歩き回り、知らないうちに周りの人々を感染させる可能性がある。

さらに、今回のパンデミックで専門家たちは、お手製の布マスク(3枚重ねが理想)でもCOVID-19の感染拡大の防止に役立つと知った。パンデミックの初期には、N95マスクや医療用マスクでないと機能しないと考え、限られた物資を医療関係者のために取っておいてもらいたいとしていた。

だが、今では「(マスク着用の)メリットがとてつもなく大きいことは明らかだ」とゲイツは言う。

ポッドキャストの第1話にはファウチ博士とのインタビューも

ゲイツとジョーンズのポッドキャスト・シリーズは、"気候変動を解決するにはもう遅すぎるのか"とか"格差は避けられないのか"といった「わたしたちが今日、直面する最も大きな問題のうちのいくつかに取り組む」とうたっている。ジョーンズは自らを悲観主義者、ゲイツを楽観主義者と位置付ける。

シリーズの第1話で2人は、感染症の専門家でアメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長アンソニー・ファウチ博士をゲストに招いた。ファウチ博士はワクチンがどのような形で展開されそうか、ワクチンが展開されてもマスク着用やその他の公衆衛生の措置を継続することがなぜ重要なのかを語った。

「わたしたちが取り組んでいることの1つは、人々の"コロナ疲れ"だ。これは本当にすごい。時間を歪めるような役割を果たしている」

「わたしは人々に『諦めてはいけない。これはいつか終わる。ワクチンや治療法で科学がわたしたちを助けてくれるだろう。公衆衛生の措置に注意を払えば、わたしたちはこれを制御できる』と伝えたい」

(敬称略)

[原文:Bill Gates says he doesn't understand anti-maskers: 'What are these, like nudists?'

(翻訳、編集:山口佳美)

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